ブローチの針(ピン)や留め金の故障は、部品を整えるか、新しい部品に替えて直すのが基本です。工房が公開している料金表では、針の整え直しや付け直しは「〜から」の最低料金で示されています。金額を大きく動かすのは、新しくする部品の素材です。
壊れ方ごとの直し方と料金
壊れ方ごとの直し方と、ある工房が公開している料金表の最低額は次のとおりです。
| 壊れ方 | 直し方 | 公開料金(〜から) |
|---|---|---|
| 針が曲がった | 針を整える | 1,500円より |
| 針が取れた・折れた | 新しい針を付ける | 1,500円より |
| 金具ごともげた | 付け直すか新しく作る | 2,500円より |
| 石・真珠が動く | ゆるみを止める | 2,500円より |
※他店1店の料金表で、税の表示はありません。宝石・貴金属の品の料金と書かれています。
ほかの店の実例は、次の額でした。ある修理店は、取れた針を付け直して4,000円(税別)でした。別の宝飾店は、曲がった針をまっすぐにして磨き直し、5,500円(税込)でした。ピンの付け直しの料金は、料金表の額と実例に分けて部位別の修理料金にもまとめています。
針は、長く使ううちに根元から折れることもあります。ある工房は、長年使ってカシメが硬くなり、針が根元から折れたという例を挙げ、新しい針に付け替えています。
石や真珠が動くのは、留めている爪や座がゆるんだためです。取れる前に止めるほうが、石をなくさずに済みます。爪のすり減りや石のぐらつきの直し方は、指輪の例ですが爪・石座の修理にまとめています。
部品を新しくすると高くなる
料金表の額は、手持ちの部品を直すか、安い部品で済む場合の最低額です。金やプラチナのブローチで部品を新しくすると、部品代が加わります。
- 受け具(針先を留める金具)の代金(税込)
- 34,100円
- ロー付け(金属どうしを溶かしてつなぐ作業・税込)
- 4,400円
※ 他店が公開した1件の実例。地金相場や工賃の改定で変わると店自身が書いています。加工期間は約3〜4週間でした。
この例では、作業代より部品代がはるかに大きくなっています。見積もりでは「部品代」と「作業代」を分けて出してもらってください。
部品を元と同じ金にするか、別の素材にするかは選べることがあります。ある宝飾店は、針を長いK18の針に替えた例で、針先の留め金を金メッキとK18から選べるとしています。部品の素材ごとの額を聞いてから決めます。
自分の品だといくらで直るかは、壊れた所の写真を送って工房に相談できます。
回転式の金具とスライド式の金具

18金のブローチに付いている「風車」(職人の言葉)と呼ばれる回転式の留め金は、外れやすいことがあります。ある工房はブローチの18金の回転式の金具(風車)は使いにくく、外れやすいと書いています。
回転式(風車)
- 18金のブローチに付いている金具
- 外れやすいと説明する工房がある
- 閉まりが悪いなら、調整か交換
スライド式(テッポウ)
- 回転式から付け替えられる
- 付けやすくなると説明する工房がある
ピンブローチの金具
- 針を刺して裏からキャッチで留める
- 付け替えた実例がある
ある工房は、スライド式の金具(テッポウ金具)に付け替えると付けやすくなると書いています。留め金が壊れたときは、同じ形で直すか、付けやすい形に替えるかを選べます。
針が短くて服に付けにくいなら、長い針に替える方法もあります。ある宝飾店は、1.5cmほどの短い針を、6cm前後のK18の長い針と専用の留め金に替えたことで、付けやすくした例を出しています。
カメオ・真珠のブローチは熱に注意
カメオや真珠のブローチは、金具を直す熱で傷むことがあります。ロー付けは、つなぐ部分の周りが高温になる作業だからです。真珠について、GIA(米国宝石学会)は高温の熱は真珠を焼き、変色・分裂・ひび割れの原因になると注意しています。
直し方は2つです。1つは、カメオや真珠を外してから金具を直し、戻す方法です。ある工房は、真珠について真珠は熱に弱いので、必要に応じて真珠を外してから修理して戻すとしています。ただしシェルカメオは、シェルカメオは付けたままでは修理できず、外そうとすると固定の爪が折れやすいと説明されています。
もう1つは、熱を狭い範囲にとどめるレーザーで付ける方法です。同じ工房は、カメオなど熱に弱い宝石や、石を外せないジュエリーはレーザーロー付けで直せるとしています。ただし、レーザーロー付けは点でくっつくので、案外強度はないとも書いています。針のように力のかかる部分は、どちらの方法で付けるかを聞いてください。
カメオのブローチの留め金具を替えた実例では、修理店がカメオ本体に熱や火が及ばないよう保護して溶接うえで、18,000円(税別)でした。
メッキ品・本体の素材で付け方が変わる
針の付け方は、本体の素材で変わります。ある店は、金属製のブローチのピンは本体に溶接され、プラスチック系や木の本体は接着かビス留めと説明しています。同じ店は、セルロイドの本体のピンを長いピンに替え、ねじで留め直しています。
メッキや真鍮のブローチは、溶接の熱で傷むことがあります。ある修理店は真鍮・メッキ品は溶接を伴う直しができないと説明しています。一方で、料金表を出している工房はメッキ製品の修理料金は、貴金属の料金表より安くなる場合があるとしています。メッキ品は「溶接をしない直し方があるか」を聞いてください。
素材が分からないときは、裏側の刻印(K18・Pt900・SV925など)を撮っておくと、伝えやすくなります。刻印の読み方は刻印の読み方にあります。
写真で分かること、現物で決まること
写真で分かるのは、壊れた部品と直し方の見当までです。付け根の金属の傷み具合と、熱をかけられるかは、現物を見て決まります。
写真で分かること
- 壊れたのが針か、留め金か、付け根か
- 留め金の種類(回転式・スライド式)
- 裏側の刻印と、カメオ・真珠の有無
現物で決まること
- 付け根の金属が薄くなっていないか
- 熱をかけられる素材か(メッキ・接着の有無)
- 石や真珠を外さずに直せるか
壊れた所を先に知りたいなら、裏側の金具を正面から、針を開いた状態と閉じた状態で撮って写真で相談することができます。カメオや真珠のブローチは、表の写真と刻印の写真も添えると、外して直すかどうかの見当が付きやすくなります。
直すより作り替えるか、そのまま残すとき
次の場合は、元どおりに直せないことがあります。
石を失くした場合、ある修理店は取れた石を失くすと付け直せず、石の形によっては代わりの石を用意できないと書いています。素材について同じ店は、木材・ドライフラワー・布など、修復や溶接・研磨ができない素材のブローチがあるとしています。元の形については、元の形が分からないものは、修理する側も直せないとも書いています。家族の古い写真に着けている姿が写っていれば、一緒に用意します。
直しにくいときの道は2つです。残っている石や飾りを使ってペンダントなどに作り替えるか、直さずにそのまま残すかです。作り替える費用と方法はブローチをペンダント・ネックレスにリメイクする費用にあります。
ブローチの形のままペンダントとしても着けたいなら、金具を足す方法があります。料金表を出している工房では、ペンダントの金具の取り付けが6,000円より(チェーン別)です。
見積もりで確かめること
見積もりでは、次の4つを聞きます。
見積もりで確かめる欄
- ①作業代針・留め金・石のどれを直すか壊れた所が複数なら、全部を一度に見てもらう
- ②部品代新しくする部品の素材部品の素材で額が変わる。メッキやほかの素材も選べるか聞く
- ③付け方ロー付けか、レーザーか、接着かカメオ・真珠は外すか、付けたまま直すか
- ④外した部品返却か、下取りか元の針や金具を引き取って、支払いから引く例もある
外した部品の扱いは店で違います。ある修理店は、外した元の針や金具を買い取り、支払額から差し引いたとしています。元の金具を残したいなら、最初に「外した金具は返してください」と伝えます。
今日やること
- 1着けるのをやめる針が曲がった・留め金が閉まらないまま着けず、取れた石や部品は小さな袋に入れて残す
- 2裏側を撮る裏側の金具を正面から、針を開いた状態と閉じた状態で撮り、表と刻印も撮る
- 3写真を送る「ブローチの針(留め金)が壊れました。部品代と作業代を分けた見積もりと、カメオ(真珠)を外すかどうかを教えてください」と書いて送る
