指輪やネックレスの刻印は、「どの金属が、少なくともどれだけ入っているか」を示す表示です。金属の記号(K・Pt・SV)、割合の数字(750・925)、後ろの記号(WG・GP・GF)の3つに分けると読めます。刻印が見つからないときは、もう一度探し、それでもなければ店で素材を確かめてもらいます。
刻印の写真の撮り方

刻印はとても小さな文字なので、肉眼では読みにくいことがあります。スマホで撮って拡大すると、読めることが多くなります。
- 1刻印の場所を探す指輪は輪の内側、ネックレスは留め具の近くの小さな板(プレート)や留め具そのもの、ピアスは耳に通す軸の付け根
- 2やわらかい布で拭く皮脂や汚れで溝が埋まっていると、文字が光って読めない
- 3明るい窓際で、光を斜めから当てる真上からの光や照明の映り込みは、文字を白く飛ばす
- 4少し離して、ズームで撮る近づけすぎるとピントが合わない。ズームか、マクロ(接写)を使う
- 5向きを変えて何枚か撮る撮った写真を拡大して、全部の文字が読めるか確かめる
指輪の内側は丸いので、一度に全部の文字が写らないことがあります。文字の並びに合わせて、少しずつ回しながら撮ってください。読めない文字は推測で埋めず、「K1?」のように分からないまま書き留めます。写真の撮り方全体は写真で相談するときの撮り方でも確かめられます。
刻印を3つに分けて読む
刻印は、次の3つの組み合わせです。
- 金属の記号:金は K か Au、プラチナは Pt、銀は SV・SILVER・Ag
- 割合の数字:1000のうちどれだけがその金属か(750 なら1000分の750)
- 後ろの記号:色(WG・PG)、めっき(GP・RHP)、金張り(GF・RG)、中空([H])
数字は「最低でもこれだけ入っている」という意味です。日本ジュエリー協会の表示規定では、品位=貴金属合金中に含まれる該当貴金属の最低含有率(純度)とされています。K18 の「18」は、24を純金としたときの数で、24分の18が750に当たります。
手元の品で何ができるかは、写真を送って工房に相談できます。
金の刻印
| 刻印 | 金の割合 |
|---|---|
| K24・999 | 99.9%以上 |
| K22・916・917 | 91.6%以上 |
| K20・833・835 | 83.3%以上 |
| K18・750 | 75%以上 |
| K14・585 | 58.5%以上 |
| K10・416・417 | 41.6%以上 |
| K9・375 | 37.5%以上 |
K の数字と1000分の数字の対応は、表示規定ではK24=999、K22=916、K20=833、K18=750、K14=585、K10=416、K9=375、K8=333(千分率)です。古い品物の917・417は今の916・416と同じです。造幣局は金の「917」は「916」、「417」は「416」に表示が変わった(2012年4月以降の受付分)と説明しています。金が33.3%未満の品物は、金製品と表示できません。
「18K」のように数字が先に来る刻印は、海外でよく使われる書き方です。表示規定にもKは原則として数値の前に置く(海外では18Kのように後ろに置くことがある)とあり、18K というだけで偽物にはなりません。ただし、ある修理店は刻印が「18K」のように数字が先にくるものは、表示と中身が違うことがあり、受けられない場合があると書いています。海外で買った品物やもらった品物に 18K とあるなら、修理を頼む前に素材を確かめてもらってください。
プラチナの刻印
| 刻印 | プラチナの割合 |
|---|---|
| Pt999・Pt1000 | 99.9%以上 |
| Pt950 | 95%以上 |
| Pt900 | 90%以上 |
| Pt850 | 85%以上 |
| Pm900 など | Pt と同じ読み方 |
| Pt だけ(数字なし) | 店で確かめる |
古い品物の「Pt1000」は、今の「Pt999」と同じ意味です。造幣局は「999」は改正前の「1000」と証明している品位は同じと説明しています。祖父母の代の指輪にある「Pm」は、昔のプラチナの記号です。表示規定にもプラチナの表示にかつてPmが使われていたが現在は使われていないとあります。プラチナが85%未満の品物は、プラチナ製品と表示できません。
銀の刻印
| 刻印 | 銀の割合 |
|---|---|
| SV1000・SV999 | 99.9%以上 |
| SV950・Ag950 | 95%以上 |
| SV925・Ag925・STERLING | 92.5%以上 |
| SILVER・SV だけ | 92.5%以上 |
銀は、Ag925・Silver925・SILVER925・SV925は同じ品位の表示です。数字のない SILVER や SV だけの刻印は、銀が92.5%以上の品物にしか使えません。銀が80%未満の品物は、銀製品と表示できません。
後ろの記号(色・めっき・張り・中空)
| 記号 | 意味 | 本体 |
|---|---|---|
| WG・PG・YG | 金の色 | 前の数字どおりの金 |
| RHP・PTP | 白いめっき | 前の刻印どおり |
| GP・GEP | 金めっき | 金ではない |
| GF | 金張り(厚め) | 金ではない |
| RG | 金張り(薄め) | 金ではない |
| [H]・[中空] | 中が空洞 | 前の刻印どおり |
WG・PG・YG は色の違いで、金の量は前の数字どおりです。ホワイトゴールドは、表面にロジウムという白い金属のめっきをかけて仕上げることがあります。そのため、ある工房はホワイトゴールドはサイズ直し後にロジウムを再コーティングするとしています。
白く見えても、中は黄色い金という品物もあります。表示規定は、色のある金合金にロジウムめっきをかけてホワイトゴールドと表示するのは不当な表示としていて、正しくは「K18 RHP」のように書かれます。刻印に RHP があれば、めっきの下は黄色い金です。直した部分は黄色く見えるので、めっきのかけ直しまで頼んでください。
GP は金めっきで、本体は別の金属です。表示規定ではめっきの表示は最表面の皮膜金属を表すことになっていて、K18GP の「K18」は表面の金のことです。本体も貴金属なら、本体の刻印が前に付きます(例:SV925 GP)。前に本体の刻印がない GP は、本体が真鍮などの貴金属ではない金属だと考えてください。
GF と RG は金張りです。土台の金属に、金の合金の薄い板を張り合わせたものです。GF は張った金合金が重さの5%以上、RG は5%未満の品物です。「1/20 K18GF」なら、金そのものは品物の重さの3.75%以上です。
K18・750(本体が金の合金)
- 全体の75%以上が金
- 削っても中まで同じ金属
- サイズ直し・溶接を受けてもらいやすい
GP・GF・RG(金は表面か一部だけ)
- 金は表面の膜か、薄い板だけ
- 削ると下の金属が出る
- 溶接を断られることがある
造幣局のホールマーク
日の丸とひし形の中の数字が並んだ刻印は、造幣局のホールマークです。このホールマークは、造幣局が事業者の依頼で品位試験を行い、合格した製品に証明記号を打刻するものです。ひし形の数字は、1000のうちの金属の割合です。
ホールマークは、メーカーや店が頼んだときだけ付く印です。任意の制度で、マークのない市販品もあるので、ホールマークがないから偽物、ということにはなりません。逆に、K18 や Pt900 という刻印は、メーカーや店が自分で打つ表示です。造幣局はK18とだけ刻印のある金製品は、造幣局で品位を証明したものではないと説明しています。
ホールマークがあれば、K18 の文字がない品物もあります。造幣局の品位証明刻印がある金・プラチナ製品は、種類と品位の表示を略せるからです。古い品物には、今は使われていない数字のホールマークもあります。造幣局は「835」「625」「500」の区分は2012年4月以降に廃止されたが、そのホールマークの製品は品位が証明されたものとして扱えると案内しています。
刻印がないときの見分け方
刻印が見つからなくても、すぐに偽物とは決まりません。次の順に確かめます。
刻印は、使ううちにすり減って消えることがあります。サイズ直しで輪を切った位置に刻印があった場合も、消えていることがあります。まず、拭いてから全体を撮り直してください。
古い品物は、刻印がなくても本物のことがあります。表示規定には、アンティーク・歴史的なジュエリー・ナゲットを使ったジュエリーには品位の刻印がないものがあるとあります。祖父母の品物で刻印がないなら、捨てる前に素材を確かめてもらってください。
見た目の色や重さだけでは、素材は決められません。刻印のない品物の扱いは店で分かれます。ある修理店は素材不明品・品位を示す刻印がない品物は受付対象外としています。別の工房は地金不明の品は分析後に可否判断(分析は有料)としています。チェーンについては、刻印のないチェーンは溶接せず丸カンでつなぐとする店もあります。刻印がない品物の確かめ方は、刻印がない指輪・ネックレスでさらに詳しく確かめられます。
写真で分かること、現物を見ないと決まらないこと
刻印が写真で読めれば、素材の表示と、直すときに気をつけることは分かります。中身が表示どおりかは、写真では決まりません。
| 写真で分かること | 現物を見ないと決まらないこと |
|---|---|
| 刻印の文字(K18・Pt900・GP など) | 中身が表示どおりか |
| ホールマークの有無 | 刻印のない品物の素材 |
| WG・RHP などめっきの記号 | 中空か、厚みが足りるか |
表示と中身が違う品物を、刻印だけで見分けることはできません。中身を確かめるには、修理店などで分析を頼みます。
修理・リフォームでの扱い
刻印は、修理店や工房が「受けるかどうか」「どう直すか」を決める最初の手がかりです。修理店・工房の公式サイトに書かれた扱いは、次のとおりです。
| 刻印の状態 | 公開されている扱いの例 |
|---|---|
| 刻印がない | 断る・分析してから受ける |
| GP・めっき・真鍮 | 溶接を断られやすい |
| 18K(数字が先) | 素材を確かめてから受ける |
| [H]中空 | 大きくする直しはほぼ不可 |
| WG | 直した後にめっきをかけ直す |
| Pt900 と K18 のコンビ | 別に見積もる |
めっきの品物は、溶接で熱を加えると表面が傷みます。ある修理店は金・プラチナ・シルバー以外のメタルは溶接不可としています。中空の指輪について、ある店は中空リングはサイズアップがほぼ不可能としています。コンビの指輪は、複数の素材を使った製品は素材ごとに品位を表示(例 Pt900の部位にPt900、金の部位にAu750)ことになっていて、金属ごとに直し方が違うため、別に見積もる店があります。
サイズ直しでは、輪を切る位置によって刻印が残るかどうかが変わります。ある工房は刻印のない位置で切るため多くの場合は刻印を残せると説明し、別の工房は再刻印では元の字体と変わる可能性があると書いています。残したい刻印があるなら、頼むときに最初に伝えてください。サイズ直しの料金は指輪のサイズ直しの料金で、刻印や素材で断られたときの次の手は指輪のサイズ直しができないときで確かめられます。
刻印が分かったら、地金としてのおおよその価値は地金の価値の目安計算で出せます。なお、石の「0.3ct」の ct は石の重さの単位で、金の K とは関係ありません。
今日やること
- 1刻印を撮る布で拭き、窓際で光を斜めから当て、少し離してズームで何枚か撮る
- 23つに分けて読む金属の記号(K・Pt・SV)、数字(750・925)、後ろの記号(WG・GP・GF)を上の表で確かめる
- 3写真を送って相談する直したい・作り替えたい品物なら、刻印と全体の写真に「刻印なし」「GP」「18K」など読めた文字を書き添えて写真を送って相談する
