ネックレスの留め具は、種類よりも「大きさ」と「つまむ所の形」で付けやすさが変わります。小さな引き輪が付けにくいだけなら、大きめの引き輪かカニカンに替えると、見た目をあまり変えずに済みます。
結論
- 付けにくいだけなら、大きめの引き輪かカニカンに替える方法があります。K18の引き輪の交換は、ほかの修理店5店の公開最低額の中央値で3,550円です。
- 指先でつまむこと自体が難しいなら、マグネット式も候補です。ペースメーカーなどの医療機器を使っている人は、選ぶ前に主治医に聞きます。
- 喜平の中折れ金具が緩んだら、自分で曲げずに見てもらいます。交換になった公開例は65,000円(税の表示なし)でした。
5つの留め具の違い
ネックレスの留め具は、つまみを引いて開く形(引き輪・カニカン)、折りたたんで留める形(中折れ)、差し込んで留める形(差し込み式)、磁石で留める形(マグネット)に分かれます。
| 種類 | 留め方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 引き輪 | つまみを引いて輪を開く | 小さいとはめにくい |
| カニカン | つまみを引いて爪を開く | 引き輪より口が大きい |
| 中折れ | 金具を折りたたんで留める | 緩むと外れやすい |
| 差し込み式 | 棒を受け口に差し込む | 金・プラチナ製が少ない |
| マグネット | 磁石で留める | 強く引くと外れる |
部品メーカーの説明では、引き輪はツメが小さく開く部分が狭いので、はめにくいと感じる人が多い留め具です。カニカンは、ツマミを引いて開くのは引き輪と同じで、開き方が大きく留めやすい留め具です。中折れは喜平などの太いチェーンに、差し込み式は真珠のネックレスによく使われます。差し込み式は大きな部品なので金・プラチナ製は少なく、シルバーにロジウムメッキのものが定番なので、金やプラチナのネックレスで使いたいなら、その素材で作れるかを聞きます。
引き輪とカニカン、どちらが付けやすいか
口が大きく開くのはカニカンです。ただし、カニカンに替えれば必ず付けやすくなるわけではありません。ある専門店には、カニカンを引き輪に替えて、つまみをつかみやすくした実例があります。
付けやすさを決めるのは、つまみが指にかかる大きさです。今の留め具のどこが難しいかで選びます。
小さくてつまめない
- 同じ引き輪の大きいものに替える
- 見た目があまり変わらない
- 部品代は大きさで変わる
開いた口に通しにくい
- 開きの大きいカニカンに替える
- 太めのチェーンにも合う
指先の力が入らない
- マグネット式に替える
- 医療機器と重さの注意がある
引き輪は大きさで部品代が変わります。ある工房の料金表では、K18の引き輪の部品代が小(5mm)1,540円〜大(8mm)4,180円(税込)で、これに金具交換の基本料金1,100円(税込)を足します。大きい引き輪ほど部品代は上がりますが、留め具の種類を変えるより見た目は変わりません。
自分の品だといくらで直るかは、壊れた所の写真を送って工房に相談できます。
付けやすい留め具に替える料金
次の表は、ほかの工房・宝飾店が公式サイトに載せている料金です。どれも他店の公開例で、同じ額で替えられるという意味ではありません。
| 替え方 | 他店の公開料金 |
|---|---|
| K18の引き輪に交換 | 5店の最低額の中央値 3,550円 |
| マグネット式に交換 | 公開例 8,140円(K18・納期10日の実例) |
| 真珠用のクラスプに交換 | 公開例1 6,050円(税込)〜・公開例2 8,800円〜 |
| 喜平の中折れ金具を交換 | 公開例 65,000円 |
※ 引き輪の中央値は、K18の料金を出している5店の最低額から出しました(税込4店・税の表示なし1店)。マグネット式と中折れの公開例は税の表示なし。真珠用クラスプの公開例1はシルバー製の最低額(税込)、公開例2はシルバーのワンタッチ式で税の表示なしです。
留め具の交換の料金は、店によって大きく開きます。ある店の留め金の交換はK18 2,530円〜/K18WG 2,970円〜/Pt900 3,080円〜・即日で、部品代込みで出している別の店は2,805〜16,500円(税込)・即日です。見積もりを頼むときは「部品代込み・税込で」と伝えます。部品代込みと工賃だけを分けた留め具の交換料金は、部位別の修理料金で確かめられます。
留め具を替えるついでに、仕上げ直しも合わせて頼む例があります。カニカンを引き輪に替えたK18WGの実例では、引き輪の部品代に磨き直しとコーティングを足して14,850円(税込)でした。留め具だけを替えたいなら、仕上げを含むかを先に聞きます。
ある工房は、元と同じ形のほかに、形や大きさの違う金具も選べるとしています。この工房には、差し込み式のクラスプを引き輪に替えた例もあります。チェーンの太さによっては付けられない留め具もあります。
後付けのマグネット部品で済ませる場合

今の引き輪に付けて使う、後付けのマグネット部品も売られています。留め具を加工しないので、替える前に試すには手軽な方法です。ただ、次の点は替える場合と同じように確かめます。
- 医療機器の注意は、替える場合と同じ
- 部品の素材が、ネックレスの金・プラチナと同じとは限らない
- つなぎ目が1つ増え、外れたときにネックレスごと落とすおそれがある
毎日着ける金・プラチナのネックレスなら、試して付けやすさを確かめたうえで、留め具そのものを替えるかを決めます。
マグネット式に替える前の注意
マグネット式は、近づけるだけで留まります。指先の力が入りにくい人には付けやすい留め具です。ただし、医療機器・外れやすさ・重さの3つを先に確かめてください。
ペースメーカーのメーカーは、磁石や磁石を使ったものを、植込み部位の上に置いたり胸ポケットに入れたりしないようにと案内しています。理由は、磁気がペースメーカーの作動に影響を及ぼすおそれがあるためです。磁石メーカーも、ペースメーカーなど電子医療機器を着けた人に磁石を近づけるのは大変危険と警告しています。ネックレスは胸元の近くに着けるものなので、植込み型の医療機器を使っている人はマグネット式を避けるか、主治医に確かめてから選んでください。
外れやすさが気になるなら、磁石に加えて金具が噛み合う形を選びます。ある留め具メーカーは、磁石だけで留まる一般的な形について強く引っぱられると外れてしまうことがあると書き、自社の形は着けているあいだ地金どうしが噛み合うと説明しています。替えるときは「磁石だけで留まる形か、噛み合う形か」を聞きます。
喜平の中折れ金具が緩んだとき
中折れ金具が緩んで外れそうなら、自分でペンチで曲げずに見てもらいます。ある修理店は、中折れ式の主なトラブルは差し込み部分の摩耗とセーフティ(ストッパー)の緩みと説明しています。
開け閉めする部分が折れた場合について、ある工房は、開閉する部分が折れた中折れ金具は、溶接では強度が出ないため交換と説明しています。交換の料金は、ある修理店の料金表で30,000円〜100,000円(税込の目安)で、中折れクラスプの交換は、ネックレスの幅や重量で部品代が大きく変わるとしています。折れる前の緩みの段階で見てもらえば、交換のほかに直し方が残っているかを確かめられます。
引き輪・カニカン・ボックスクラスプが開かない・壊れたとき
引き輪とカニカンは、中の小さなバネでつまみが戻る作りです。ある修理店は、つまみが戻らない・固まって動かない・閉じたのに隙間が空くのは、中のバネが壊れているサインと説明しています。原因は、長年の使用による金属疲労でバネが折れる、皮脂や汚れが詰まって動きが硬くなる、錆びるといったことが考えられるとしています。
バネが壊れた引き輪・カニカンは、直すより新しい部品に替えるのが基本です。別の工房も、引き輪はゆがみやつぶれで動かなくなることがあり、そうなると修理が効かず交換になると書いています。この工房が同じ大きさの引き輪に替えた事例は6,000円(期間1週間)(税の表示なし)でした。
開かないからといって、つまみをこじ開けたり、ペンチで挟んだりはしません。最初の修理店は、中のバネが壊れたら自分で分解して直すのはまず無理で、無理にこじ開けると部品全体が変形し、かえって直しにくくなることがあると注意しています。
ボックスクラスプ(板を箱に差し込んで留める差し込み式)は、差し込む板のばねが弱ったり、板が折れたりすると、抜けやすく・留まらなくなります。ある宝石店は、ダイヤのテニスブレスレットなどの差し込み式の金具は、案外抜けやすいとしています。
- 板が折れた例:同じ店は、長年使って折れた差し込み式の金具の差し込む部分を、先端をロウ付けで広げてバネ性を持たせ、差し込むとパチンと留まるように直したと説明しています
- 落とさない工夫:同じ店は、金具の両端に金具が外れても落としにくくするチェーン(セーフティチェーン)を付ける方法を案内しています
同じ店は、金具の交換を税抜3,000円〜としています。外れかけた留め具のまま着け続けると、ネックレスごと落とすことがあります。
高齢の親のために替えるとき
首の後ろで小さな金具をつまめなくなったなら、マグネット式に替える方法があります。ある宝飾店には、高齢で金具をつまむのが難しい人のネックレスを、マグネットの金具に替えた例があります。
親がペースメーカーを使っている、または使っているか分からないなら、マグネットではなく大きめの引き輪かカニカンにします。
もう一つの方法は、留め具を替えずに、前で留めてから後ろへ回すことです。留め具を替えるか決める前に、親に一度試してもらってください。
真珠のネックレスの留め具
真珠のネックレスの留め具は、糸替えのときに一緒に替えます。真珠を通した糸を切って付け直すので、留め具だけを先に替えると、糸替えの時に二度手間になります。ある工房も、留め具は糸替えの機会に見直すことを勧めています。
真珠用の留め具には、差し込み式・ワンタッチ式・マグネット式があります。糸替えの料金と時期は真珠のネックレスの糸替えで確かめてください。
写真で分かること、現物で決まること
写真で分かるのは、替えられる留め具の候補と見積もりの見当までです。付けられる大きさは、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 今の留め具の種類と大きさ
- チェーンの太さと、つなぎの輪の形
- 刻印(K18・Pt・SILVER など)
現物で決まること
- つなぎの輪が溶接で閉じてあるか
- 地金の厚みと、付けられる留め具の大きさ
- ばねの傷み
今の留め具とチェーンの太さが分かる写真で相談すると、替えられる留め具の種類と見積もりの見当を聞けます。「留め具が付けにくいので替えたい。素材は◯◯」と、困っている動作を書き添えてください。
留め具を替えなくていいケース
丸カン(留め具とチェーンをつなぐ小さな輪)が開いただけなら、家で閉じ直せることもあります。どこまで自分で触ってよいかはジュエリーを自分で直せる範囲で確かめてください。
今日やること
- 1困っている動作を決める「小さくてつまめない」「口に通せない」「指に力が入らない」のどれか。医療機器を使っているかも確かめる
- 2今の留め具を撮る留め具の正面と横、チェーンの太さが分かる写真を、定規かコインを横に置いて撮る
- 3料金の条件をそろえて聞く「替えられる種類と、部品代込み・税込の料金を教えてください」と書いて送る
