手元に残った品や形見と同じジュエリーは、貴金属なら作れます。どこまで近づくかは、現物があるか、写真だけかで決まります。
作り方は3つ
同じものを作る方法は、型を取る・測って作る・写真から作るの3つです。手元に何が残っているかで決まります。
型を取る
- 現物から型を取り、同じ形を流し込む
- 形がいちばんそろう
- 元の品に手が入ることがある
測って作る
- 現物の寸法を測り、一から作る
- 元の品に手を入れずに済む
- 細部は少し違うことがある
写真から作る
- 写真をもとに寸法を決め直す
- 現物がなくても作れる
- 大きさ・厚みは推し量りになる
片方だけ残ったピアスや、兄弟でそろえたい形見のように現物があるなら、型を取るか測って作ります。なくした指輪の写真しかないなら、写真から作ります。どの方法でも職人の手作業が入るので、ピアスの片方を専門に作る店も一から手作りするので、デザインによっては細部が少し違うことがあると説明しています。
型を取るときに知っておくこと
型を取る方法は形がいちばんそろいます。そのかわり、元の品を一度加工することがあります。
ある工房がダイヤのピアスの片方を作った例では、残ったピアスのポスト(耳に通す芯)を切り、ダイヤを外してから、枠の型を取るという順番でした。型を取る前に、残った品から耳に通す芯や石を一度外すわけです。外した部分を元の品にどう戻すかは、頼む前に聞きます。
型の材料によっては、仕上がりが元より小さくなります。同じ工房は、通常のゴムでは型の材料しだいで縮みが出て、左右の大きさがそろわなくなると説明し、縮みを抑えるため、少し費用が上がってもシリコンで型を取るとしています。ゴム型を作る業者の案内でも、デザインなどにより5〜10%ほど縮むとされています。型そのものの代金は全体の一部で、ゴム型を作る業者の料金は小さい品で3,300円(税込)からです。これに金属を流し込む作業・磨き・石留め・地金の代金が加わります。
形見のように元の品に手を入れたくないなら、「元の品は切らずに、測って作ってください」と最初に伝えます。
作りたい物がいくらになるかは、イメージを送って工房に相談できます。
写真だけのときに足りないこと
写真だけでも、同じデザインで作る工房はあります。ある工房は、他店で買った指輪でも、写真やスケッチから同じデザインで作れる(貴金属のみ・シルバー不可)としています。
ただし、写真では大きさと厚みが決まりません。正面の写真だけでは、裏側の形も分かりません。足りない分は、ほかの材料で補います。同じ工房は、再現の材料として、指輪の画像・写真入りの鑑別書・相手の指輪を送ると案内しています。号数は、サイズを確かめたい人には、見本を送って確かめてもらうという方法をとっています。
保証書・鑑別書・注文書の控えがあれば、素材・石の重さ・号数が書かれていないかを見ます。写真から作った指輪の号数が合わなかったときは、サイズ直しで合わせます。費用は指輪のサイズ直しの料金で確かめられます。
原型の段階で形を確かめられるかも聞きます。ある工房の作り方では、金属を流し込む前のワックス原型の時点で確認できるとされています。写真から作るときほど、この確認が役に立ちます。画像をもとに作った例は工房の事例にもあり、ある工房は指輪の画像を持ち込んでもらい、同じ形に作った例があるを公開しています。
石と真珠を合わせる

石や真珠は、まったく同じものはありません。合わせられるのは、大きさ・色・形が近いものまでです。ピアスの片方を作る店も、石や真珠は天然のもので一つ一つ違うため、より近いものを使い、まったく同じものは使えないとしています。
- ダイヤ:ある工房はダイヤのピアスの片方を作るときは、残った片方の石を外して測り、同じようなカット・クラリティ・カラットのダイヤを仕入れると説明しています。残った片方の鑑定書があれば、一緒に見せます。
- 真珠:ある宝飾店は、同じくらいの巻き(真珠層の厚み)の真珠を、もう片方の分だけ探すのは難しいと書いています。色と照りの近い珠が見つかるかは、現物を見ないと決まりません。
- 色石:色の濃さが近い石を探します。左右に並べて着けるピアスは、色の差が見えやすい品です。
石を探す代金は別にかかります。ある工房の石留めの料金表でも、留める石を失くした場合は、同等の石を探す(別料金)としています。表面の仕上げも同じで、ある工房はマット仕上げ・ヘアラインなど表面の模様はまったく同じには再現できないとしています。並べて着けるなら、残った品も一緒に仕上げ直せるかを見積もりのときに聞きます。
内側の文字と刻印
内側に彫られた名前や日付は、新しい品にも入れられます。作った工房に記録が残っていれば、内側の文字まで同じにできることがあります。ある工房は、自店で作った指輪は制作データが残っており、同じサイズ・同じデザインで内側の文字まで作れるとしています。
記録がないときは、元の品か写真から文字を読み取って彫り直します。レーザーで入れる刻印の公開例はレーザー彫り(アルファベット・数字)12文字まで7,500円(税別)です。素材の刻印(K18・Pt900など)は新しい品の素材に合わせて入れてもらいます。ブランドのロゴや店の刻印は、新しい品には入れられません。
費用の公開例
費用は、品物の大きさと石の有無で大きく変わります。工房や宝飾店が公式サイトに載せた公開例を、2026年10月20日に確かめました。どれも他店の例で、同じ額で作れるという意味ではありません。
| 品物 | 公開例 |
|---|---|
| ピアスの片方(6件の中央値) | 29,000円 |
| 結婚指輪を1本(写真から) | 1本10万円前後から |
| ペアリングの片方(似た形) | 加工代金 80,000円(税の表示なし・掲載当時) |
| 結婚指輪を1本(自店の記録から) | 183,060円(税・送料込み) |
※ピアスの中央値は、税別と税の表示なしが混ざった公開例から出しています。6件のうち5件は同じ1店の例です。指輪の例は素材・幅・税の扱いがそろっていません。
片方だけ作っても、ペアの半額にはなりにくいです。形を作る工賃が1個目にかかるからです。ある工房は、原型を作る工賃は1個目にだけかかり、2個目以降は型から複製するので含まれない(単品のほうが割高)と説明しています。公開例の多くは加工の代金だけを書いているので、地金・石・刻印が入っているかを見積もりの欄で確かめます。
作り足すか、残った片方を作り替えるか
残った片方をペンダントなどに作り替える道もあります。ある宝飾店が片方だけ残ったダイヤのピアスをペンダントにした公開例は16,500円(税の表示なし)で、片方を作る中央値より安い額でした。ただし作り替えた後では、ペアには戻せません。
迷うなら、作る見積もりを先にもらいます。作り替える側の費用と方法は片方だけ残ったピアスのリメイクと指輪のリフォームの値段で確かめられます。なくしたのが結婚指輪なら、遺失届や購入店の紛失の制度を結婚指輪をなくしたらで先に確かめてください。
作らないもの・急がなくていいケース
同じものを作るのは、自分の持ち物を補うときだけです。ブランドのデザインやロゴをまねた品は、商標や意匠(登録されたデザイン)の権利にふれるおそれがあるので頼めません。工房の側にも線引きがあり、ある修理店は類似品・模倣品と判断した品は断るとしています。雑誌やSNSで見た誰かのオーダー品と同じものも、頼めないと考えてください。
店で注文して作った品なら、その店に記録が残っていることがあります。ある手作り工房は、手作り工房が制作データを保管しており、同じサイズ・同じデザイン(内側の文字も)でスタッフが作って送ることもできるとしています。買った店が分かるなら、そこに先に聞きます。
写真で分かること、現物で決まること
残った品の写真があれば、どの作り方になるかと費用の見当までは決まります。型を取れるか、石をそのまま使えるかは、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 型取り・採寸・写真のどれで作るか
- 石の数と留め方、仕上げの種類
- 内側の文字の有無と書体
現物で決まること
- 型を取るときに切る・外す場所
- 石の割れや欠け、真珠の照り
- 地金の重さと、耳に通す芯の太さ
残っている品の正面・横・裏・刻印を定規と一緒に撮って写真で相談すると、作り方の候補と費用の目安が出ます。元の品を切らずに作りたいなら、その希望も最初に書き添えます。
今日やること
- 1材料を集める残っている品、写真、保証書・鑑別書・注文書の控えを1か所にまとめる
- 2品を撮る正面・横・裏・内側の刻印を、定規を横に置いて撮る。写真しかないなら、写っている写真を全部そろえる
- 3写真を送って相談する「これと同じものを作りたいです。元の品は切らずに作れますか。石・刻印を含めた税込の総額と、元と違ってしまう所を教えてください」と書いて送る
