費用をかけてよい石か、先に決める
翡翠の作り替えで最初に決めるのは、どんな形にするかではなく、その石に費用をかけるかどうかです。翡翠には、色を付ける、白くする、樹脂をしみ込ませるといった処理をした石があるからです。GIA(米国宝石学会)も、翡翠には染色・漂白・樹脂のしみ込ませなどの処理があると説明しています。
気をつけるのは、色を付けた樹脂をしみ込ませた石です。こうした石は、樹脂をしみ込ませる前に酸で汚れを抜いています。GIAによると、ジェダイトは、望ましくない褐色の成分を除くために酸で漂白することがよくあり、その後に樹脂(ポリマー)をしみ込ませて隙間を埋めるとされています。酸で抜いた石はもろくなっているので、作り替えの力で欠けることもあります。
費用をかけてよい石
- 鑑別で樹脂の処理が見つからなかった石
- 新しい枠に留め直す作り替えも選べる
- 鑑別書は作り替えた後も手元に残す
費用のかけ方を見直す石
- 色を付けた樹脂をしみ込ませた石
- 石を外さず、金具を付けるだけのペンダントにする
- または、そのまま保管する
処理した石でも、思い出の品として作り替えるのは自由です。ただし、作り替えても石の価値は上がりません。新しい枠を作る作り替えは、下の公開例で110,000円(石留め含む・税別)などの金額になります。金額に見合うかを、処理が分かってから決めます。
石ではなく枠のほうで、色を濃く見せていた例もあります。ある工房の説明によると、枠に色を乗せて翡翠を濃く見せていた例があり、外して洗浄すると色がぐっと薄くなったとのことです。石を外すと、色が薄く見えることがあると知っておきます。
鑑別の料金
処理の有無は、見た目では分かりません。鑑別機関に、鑑別書(どんな石かを調べて書いた書類)と、樹脂が入っているかを調べる検査を頼みます。樹脂の検査は、赤外線を当てて調べる方法(FT-IR)で行います。
| 鑑別機関 | 鑑別書 | 樹脂の検査 | 合計 |
|---|---|---|---|
| ある鑑別機関 | 3,850円(税込) | 1石1,100円(税込) | 4,950円(税込) |
| 別の鑑別機関 | 3,500円(税込) | 1,500円(税込) | 5,000円(税込) |
| もう1つの鑑別機関 | 4,400円(税込) | 1石1,100円(税込) | 5,500円(税込) |
※ 一般の人が頼むときの公式の料金(税込・石1つ)です。送料は含みません。ほかの鑑別機関では、ジェイダイトの樹脂含浸の検査1,100円(税込)という料金表もあります。仕上がりまでの日数は、2つ目の鑑別機関が届いてから、通常の検査なら営業日で中1日ほど(点数が多いと長くなる)と案内しています。ほかは申し込むときに聞きます。
鑑別書が手元にあるなら、まずコメント欄を見ます。宝石鑑別団体協議会(AGL)によると、AGL会員機関の鑑別書は、コメント欄に処理の情報を記載するとされています。コメント欄に樹脂の処理が書かれていれば、新しく鑑別に出す必要はありません。石を外さない作り替え(指輪の石座を残してペンダントにする等)にすると決めているなら、鑑別は後でも構いません。
手元の石でどんな形にできるかは、石と枠の写真を送って工房に相談できます。
熱と酸:石を外すか、レーザーでつなぐ
翡翠の作り替えで一番の心配は、金属をつなぐときの熱です。GIAによると、翡翠は作業用バーナーの熱で損傷のおそれとされています。ロウ付け(金属を熱で溶かしてつなぐこと)やサイズ直しをするなら、石を外して作業するか、レーザー溶接(熱が狭い範囲にしか届かない溶接)でつなぎます。
石を外す店の例として、ある宝飾店は熱に弱い石について、熱に弱い石は一度外して保護しながら作業と説明しています。別の店は、翡翠の腕輪をペンダントにしたとき、金具に付いた黒い樹脂のようなものが何か分からなかったため、ロウ付けをやめてレーザー溶接でつないでいます。
熱のほかに、酸や薬品にも気をつけます。ある修理店は、翡翠は化学物質や酸が付くと変色・腐食すると書いています。店の洗浄やメッキで薬品を使う工程があるなら、その前に石を外すかを聞きます。
サイズ直しを断られることもあります。ある店のサイズ直しの案内には、硬度の低い色石は、サイズ直し・修理を断られる場合があるとあります。断られたときの次の手は指輪のサイズ直しができないときで選べます。ほかの石と比べた熱への強さは、宝石ごとの加工できる・できないの一覧で確かめられます。
くりぬきの指輪と帯留め

石だけでできた、金属を使わない翡翠の指輪(くりぬきの指輪)は、金属の指輪のように切って足すことができません。指に合わないなら、紐や金具でペンダントとして下げる形になります。自分で削ったり穴をあけたりすると石が欠けるので、加工は店に実物を見せて相談します。
翡翠の帯留めは、ペンダントやブローチに作り替えられます。逆に、指輪やブローチの翡翠を帯留めにすることもできます。ある宝石店は、帯留めの既成の枠はほぼ無く、ブローチの枠に帯の幅に合う金具を付けて作ると説明しています。帯留めとブローチを兼ねる形にしたいなら、金具の選び方はブローチのリメイクで確かめられます。
費用と期間の公開例
石を外さずに形を変える作り替えは、石を外して新しい枠に留める作り替えより安く済みます。工房と宝飾店が公式サイトに載せた例は次のとおりです。他店の公開例で、同じ金額で作れるという意味ではありません。
| 石 | 作り替え | 公開された金額 | 税 |
|---|---|---|---|
| 外さない | 指輪の石座を残してペンダントトップに | 17,000円(金具代込み・税別) | 税別 |
| 外さない | 指輪の腕を切って金具を付け、ペンダントに | 33,200円(税別) | 税別 |
| 外さない | 腕輪の一部をペンダントに | 14,000円(税別) | 税別 |
| 外す | 手持ちの石(ルース)をペンダントに | 36,000円(税別) | 税別 |
| 外す | 横置きの金の指輪に | 99,000円 | 表示なし |
| 外す | 手持ちの石で新しい指輪に | 110,000円(石留め含む・税別) | 税別 |
| 外す | ネックレスに(ダイヤを足す) | 178,000円 | 税込 |
※ どれも店が公開した当時の価格で、元の枠の下取りを引く前の額です。税別の5件は同じ店の2014年〜2024年の価格で、その店は物価や地金の相場で料金が変わると書いています。ほかに、レール留めの指輪165,000円、アンティーク調の金の指輪194,400円、カフスを指輪に245,000円の例があります(いずれも税の表示なし)。
期間は、ある宝飾店が納期 約2週間〜約1か月、ある工房が仕上がりまで3〜4週間と案内しています。形を大きく変えると長くなり、別の店の例ではヒスイの指環の作り替え(高さを落とし丸みをつける)は約1か月半で完成です。鑑別に出すなら、その日数も足して、使いたい日から逆算して頼みます。
見積もりを読むときは、下取りの前か後か、税込か税別かを確かめます。加工代・地金・石の内訳の読み方は指輪リフォームの値段の決まり方で、元の枠を下取りに出すか返してもらうかは形見の指輪をペンダントにする費用と流れで確かめられます。
写真で分かること、現物で決まること
写真で決まるのは、作り替えの候補と費用の見当までです。処理の有無と欠けは、現物と鑑別で決まります。
写真で分かること
- 金属の枠か、くりぬきか
- 留め方(爪か、覆輪か)と、石を外さずに形を変えられるか
- 帯留め・ブローチ・ペンダントのどれが候補か
現物で決まること
- 樹脂の処理の有無(鑑別で調べる)
- 石の欠け・ひびと、枠に色を乗せていないか
- くりぬきの厚みと、金具を付けられるか
正面・横・裏の写真と、鑑別書があればコメント欄の写真を添えて写真を送って工房に相談すると、石を外すかレーザーでつなぐか、どの作り替えが候補かを先に確かめられます。処理が分からない石は、「鑑別に出してから決めたい」と書いておくと、鑑別の後の見積もりになります。
今日やること
- 1石と書類を確かめる正面・横・裏を撮り、鑑別書があればコメント欄に処理の記載があるかを見る
- 2処理が分からなければ鑑別に出す鑑別機関に「翡翠の鑑別書と、樹脂含浸の検査をお願いします」と頼む
- 3費用をかけるかを決める色を付けた樹脂の石なら、石を外さないペンダントか保管も考える
- 4写真を送って相談する「翡翠の指輪です。熱をかける前に石を外しますか、レーザーでつなぎますか。欠けたときの対応と、税込の総額・期間を教えてください」と書いて、正面・横・裏の写真と一緒に送る
