どれを選ぶかは、石の値段より「着けたいか・何を残したいか」で決めます。ここに出す金額は、工房や宝飾店が公式サイトに載せた料金を集めたものです。同じ額で頼めるという意味ではありません。
加工代は石の値段で決まらない
小さな色石の指輪は、石の値段より加工代のほうが高くなりがちです。加工代は、作業の手間と地金(金やプラチナ)の量で決まるからです。ある店は、石を持ち込んで作る指輪の価格について「ルース持ち込みオーダーの価格は多くの場合、地金代で決まる」としています。
ある工房がガーネットの指輪を作り替えた実例では、石を留める代金は石留め代5,000円(税別・SV925のフルオーダー実例、合計104,000円)でした。合計の大半は、形を作る原型と鋳造(金属を流し込んで形にする作業)の代金です。石が小さくても、新しく形を作る手間は変わりません。
だから「石より加工代が高いから損」と考えなくて構いません。比べるのは、加工代と、その指輪をまた着けられることの価値です。今の枠を直すより新しく作るほうが安いこともあり、ある工房は「新しく作るほうが安くできる場合も少なくない」としています。見積もりでは、今の枠を生かす案と新しく作る案の両方を聞いてください。
安い順に4つの方法
| 方法 | 公開料金の目安 | 残るもの |
|---|---|---|
| 新品仕上げだけ | 6店の中央値2,100円 | 指輪のまま |
| サイズ直しだけ | 8店の中央値2,500円 | 指輪のまま |
| 指輪ごとペンダント | 金具の公開例30,800円 | 指輪の形 |
| 石を新しい枠に移す | 4店の中央値89,800円 | 石だけ |
※ どれも他店の公開料金。新品仕上げとサイズ直しは「〜から」の最低料金で、税込・税別・税の表示なしが混ざります。ペンダントは1件の実例の金具の代金だけで、チェーン・取り付け・磨きは別です。新しい枠は4店とも税の表示なしで、地金の相場で変わります。
新品仕上げ・サイズ直しだけ
くすみや細かい傷が気になるだけなら、新品仕上げ(表面を磨いて光らせる作業)で戻ります。指に合わないだけなら、サイズ直しで済みます。サイズ直しの料金の決まり方は指輪のサイズ直しの料金にまとめています。
熱に弱い石は、サイズ直しの前に外すことがあります(下の「石ごとの注意」)。サイズ直しを断られたときはサイズ直しができないときの次の手を見てください。
指輪の形のままペンダントにする
指に着けなくなった指輪は、チェーンを通す金具(バチカン)を付けると、形のままペンダントになります。ある工房の実例では、金具の代金が30,800円でした。
石の枠だけを残してペンダントトップにする方法もあります。ある宝飾店が指輪の石と枠を生かしてトップにした実例は、54,000円(チェーン別・4本爪の枠にバチカンを付けてPtトップに)でした。
石を新しい枠に移す
既製の空枠(石の入っていない枠)やセミオーダーの枠に石を移しても、思ったほど安くなりません。確かめた4店の公開価格は次のとおりです。
| 公開例 | 内容 | 価格 |
|---|---|---|
| 公開例1 | 空枠から作る(小さな石用) | 60,000円〜(お石を預かり空枠から製作・3×4mmオーバル用) |
| 公開例2 | セミオーダーの枠 | 89,800円(セミオーダーリング枠・ルースとセットのみ、約6〜8週間) |
| 公開例3 | 手持ちの石を4本爪に | 99,999円(K18セミオーダーリング・手持ちの石を4本爪で) |
| 公開例4 | セミオーダー(K10) | リングK10YG 89,800円〜/ペンダントトップK10YG +15,000円〜 |
※ どれも税の表示なしの最低価格。素材と石の大きさはそろっていません。
枠を選ぶ方式ではなく、石に合わせて地金から作る工房もあります。ある工房は「既製枠から選んで石だけ留める方式ではなく、地金から作る」としています。ある宝飾店がガーネットの指輪を新しく作った実例は50,000円(K18YG・6ct以上のガーネット指輪、納期9〜14日)でした。枠を選ぶか石に合わせて作るかで、費用の高い・安いが逆になることもあります。
手元の石でどんな形にできるかは、石と枠の写真を送って工房に相談できます。
手持ちの石が既製の枠に入らないとき

既製の枠は、決まった大きさと形の石に合わせて作られています。手持ちの石が合わないと、追加の代金がかかるか、断られることがあります。公開されている条件は次のとおりです。
- 大きさのずれ:ある通販の工房は、石が枠の適正サイズに合わないと、枠の修正代が別にかかる(おおむね±0.3mm以上)としています。
- 形と厚み:ある通販の店は、縦横の一方が長すぎる石・厚みがありすぎる石・加工できない石は断る場合があるとしています。
- 石の傷み:ある工房は、ひび(クラック)のある石・破損している石・もろい石は受けないとしています。
古い指輪の石は、長年の着用で縁が欠けていることがあります。枠に移すつもりなら、石の縦・横・厚みを測ってもらい、修正代がかかるかを先に聞いてください。
手元の地金の価値を確かめる
古い指輪の地金は、作り替えの材料に使えたり、下取り(店が元の金属を買い取り、代金から引くこと)に出せたりします。地金としてのおおよその価値を出しておくと、払う額の見当がつきます。
- K18製品1gの買取の公表価格
- 16,120円(K18製品・造幣局・他社刻印・1g・2026年10月24日に確認)
- 重さ
- 3g(石の重さを除く)
※ 重さは計算の仕方を見せるための仮の値です。下取りや作り替えでこの額がそのまま引かれるわけではありません。
刻印と重さから自分の指輪の目安を出すには、地金の価値の目安を使ってください。地金代を含めた作り替えの総額の読み方は、指輪のリフォームの値段にあります。
石ごとの注意
誕生石には、熱や超音波(細かい振動で汚れを落とす洗浄)に弱い石があります。サイズ直しや作り替えの前に、石を外すかどうかを確かめてください。ほかの石の注意は宝石別の加工可否×料金の表にあります。
| 石 | 硬さ(モース硬度) | 気をつけること |
|---|---|---|
| ガーネット | 6.5〜7.5(種類による) | スチーム |
| ペリドット | 6.5〜7 | 急な熱・超音波 |
| ムーンストーン | 6〜6.5 | 熱・衝撃・超音波 |
※ 宝石の研究機関GIAの日本語の手入れの案内から。モース硬度は数字が小さいほど傷つきやすい目安です。
ガーネットは、スチームの洗浄は勧めないとされ、超音波は通常は安全(フラクチャーのある石を除く)とされています。
ペリドットは、GIAによると急な・不均一な熱でひびが入るおそれがあり、洗浄は超音波洗浄器・スチームクリーナーは勧めないとされています。ある工房は、ペリドットについてリフォームでガードル(石の縁)やファセットの角が欠ける可能性があるとしています。
ムーンストーンは、いちばん気をつける石です。GIAは「靭性に乏しく、劈開が2方向ある」としています(劈開は、決まった向きに割れやすい性質)。熱は「高温・急な温度変化で損傷のおそれ」、洗浄は「超音波洗浄器・スチームクリーナーは決して勧めない」とされています。丸く磨いた形が多いので、ある工房はほぼカボションなので、高さを抑えた石座の指輪・ペンダントにできるとしています。
写真で分かること、現物で決まること
写真で決まるのは、どの方法が候補になるかと見積もりの見当までです。石の種類と傷みは、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 石の数・形と、留め方(爪か、金属で包む形か)
- 刻印(K18・Pt900など)の有無
- サイズ直し・ペンダント・枠に移すのどれが候補か
現物で決まること
- 石の種類(似た色の別の石もある)
- 爪の下や縁のひび・欠け
- 石の正確な大きさと、枠に入るか
石の名前を「誕生石だから」と決めつけず、分からなければ分からないと伝えてください。種類によって、熱を加えてよいかが変わります。
どの方法が合うか迷うなら、予算を書き添えて、正面・真横・内側の刻印の写真で相談することができます。
加工しないで残す判断
手を入れないほうがいい場合もあります。
残すなら、汚れは石けん水で落とします。GIAも、ムーンストーンについて温かい石鹸水での洗浄だけを勧めるとしています。
今日やること
- 1石と刻印を見る石の名前(分かれば)と、内側の「K18」「Pt900」などの刻印を確かめる
- 2予算を決めるサイズ直しだけ・ペンダント・新しい枠のどこまで出せるかを決める
- 3写真を撮って聞く「◯◯の指輪を、予算◯万円で着けられる形にしたい」と書き、正面・真横・刻印の写真を添える
