指輪やネックレスのプラチナや金は、錆びてなくなることはありません。ただ、着けるたびに少しずつすり減り、爪はゆるみ、チェーンのつなぎ目は弱ります。何年もつかは品物ごとではなく、部位ごとに決まります。
高級宝飾ブランドも、修理の案内で日常使用による摩耗や事故は避けられず、それで損傷することがあると書いています。素材が丈夫でも、毎日の着け外しや家事で傷む部位は残ります。
部位ごとの傷み方と替え時
先に傷むのは、細い部位と、ほかの物に当たる部位です。宝飾店や工房、業界団体の手入れの案内にある目安を、部位ごとに並べると次のとおりです。
| 部位 | 起きること | 点検・替え時の目安 |
|---|---|---|
| 爪・石座 | すり減る・ゆるむ | 半年から1年ごとに点検 |
| アーム(輪) | 薄くなる・曲がる | 磨き直しの回数に限りがある |
| チェーン・留め具 | つなぎ目が弱る・切れる | 爪と一緒に点検 |
| ピアスのポスト | 曲がる・折れる | シリコンのキャッチは3〜4年で劣化 |
| 真珠の糸 | 伸びる・切れる | 店の目安は数年ごと |
| WGのメッキ | はがれて黄ばむ | はがれたらかけ直し |
※WGはホワイトゴールド。目安はどれも店や団体の説明で、着ける回数と場面で前後します。
年数の数え方より大事なのは、長く着けるほど直す回数が増えることです。ある宝飾店は、ブライダルジュエリーは30〜40年以上肌身離さず着ける人もいて、クリーニングや石の留め直し・サイズ直しが要る場合があると書いています。
爪と石座がいちばん先に傷む
石を押さえる爪は細く、物に当たりやすい部位です。ある高級宝飾ブランドは、手入れの案内で定期的にプロング(爪)や台座に緩みがないかを確かめるよう勧めています。
爪は、すり減っても見た目では気づきにくい部位です。ある宝石店は、すり減ると石が緩んだり落ちたりすると説明しています。家でできる点検は、ある工房の案内のとおり、鉛筆の先で突いてみて、ダイヤが動くようなら、無くなる前に修理に出すことです。
爪のすり減りは、買った店の保証でも有料になることがあります。ある宝飾ブランドは、変形や破損、爪の摩耗による緩みは有料の修理になるとしています。爪の点検の仕方と直す料金・日数は指輪の爪の修理代にあります。
自分の品だといくらで直るかは、壊れた所の写真を送って工房に相談できます。
アームは磨くたびに薄くなる

指輪の輪(アーム)は、毎日着けるうちに少しずつ減っていきます。ある工房は、毎日着けていると、指輪がすり減ったり変形したりすると書き、すり減ったまま着け続けると、指輪が切れてしまうとしています。
傷を消す磨き直しも、表面を削る作業です。ある高級宝飾ブランドは、表面を薄く削るため、ロジウム加工のホワイトゴールドはおよそ2回、イエローゴールドはおよそ3回を超えるポリッシングを勧めないとしています。長く着ける結婚指輪ほど、磨く回数を残しておく考え方が要ります。
輪が薄くなっても、作り直しまでは要らないことがあります。ある工房は、薄く歪みやすい指輪も、腕交換で厚みのあるしっかりした指輪にできると書いています。補強・アーム交換・作り直しの選び方は指輪のアームが薄くなったらで確かめられます。
チェーン・留め具・ポストは消耗品
ネックレスのチェーンは、細い輪をつないだ作りです。業界団体は、チェーンは作り(細すぎ・ろう付けが甘い)の問題のほか、使い方の問題でも切れると説明しています。留め具の近くの小さな輪(丸カン)について、丸カンは安全のためあえてろう付けしないことが多く、開くとチェーンが外れるとも書いています。
ある宝飾店は、引き輪やチェーンは硬い金属でも、使ううちに摩耗する。経年劣化・金属疲労・部品同士のこすれで壊れることが多いと書いています。別の工房は、長年使ううちにチェーンのつなぎ目が弱り、切れやすくなるものがあるとしています。
切れた1か所は直せます。ある工房の公開料金では、プラチナ・K18は1か所3,500円〜、K18WGは1か所4,000円〜です(税の表示なし・最低料金)。
ただ、何度も切れる古いチェーンは、つなぎ目全体が弱っていることがあります。同じ工房は、切れやすさを直すには全部のつなぎ目を溶接し直すことになり、現実的ではないとしています。2回目、3回目と切れるなら、チェーンの交換を考えます。
ピアスのポスト(耳に通す針)も細い部位です。ある工房は、ポストは細い部品なので、折れたり曲がったりという相談が多いと書いています。別の工房では、シリコンのキャッチを外そうとしてK18のポストが折れた例があるとしています。キャッチが固いときは、ポストを曲げないように、まっすぐ引いて外します。
「劣化しない素材」はあるか
ありません。錆びにくい、変色しにくい素材はありますが、減る・曲がる・直しにくい、のどれかが残ります。素材ごとに、長く使ったときに出やすいことが違います。
素材ごとに長く使うと出ること
- ①プラチナ・K18変色しにくい。すり減りと傷は出る爪とアームの点検は同じように要る
- ②K10・ピンクゴールド金以外の金属が多い業界団体の説明では銀は黒く、銅は赤く変わる
- ③ホワイトゴールド白さは表面のメッキはがれると下の地金の色が見える
- ④シルバー黒ずむ。柔らかく曲がる同じ所を何度も曲げると折れる
- ⑤ステンレス・チタン錆びにくく硬い硬いぶん、サイズ直しが難しい
K10やピンクゴールドの変色は、混ぜた金属のせいです。業界団体は、K18などの金合金は銀や銅を含み、表面の銀は硫化で黒く、銅は酸化で赤くなると書いています。一方、ある宝飾店は、10金も18金も、変色しているものは見ていない(2〜4年の範囲)としています。数年で目に見える差が出るとは限りません。
ホワイトゴールドは、ある宝石店の説明でホワイトゴールドの地はシャンパンゴールドのような色で、最後にロジウムで白銀色に見せている作りです。ある工房は、ロジウムはコーティングなので、長く使うと取れてくると書いています。
シルバーについて、ある宝飾店はシルバーは柔らかく、一部にだけ力を入れて曲げると、金属疲労のような状態で折れると書いています。
ステンレスについては、ある工房がステンレスは錆びにくく耐久性も高く傷がつきにくいが、硬いためサイズ直しができない場合もあると書いています。別の工房は、ステンレスの指輪は固く貴金属用の道具で加工できないため、サイズアップができない(内側に銀板を貼る縮めのみ)としています。指が太くなったときの直し方が限られる点は、長く着けるなら知っておきます。
真珠・オパール・珊瑚は石そのものが傷む
真珠・オパール・珊瑚は、金属より先に石が傷むことがあります。水分や、生き物がつくった成分を含む石だからです。
真珠について、業界団体は真珠は貝がつくる生物起源の宝石で、汗や酸・アルカリに冒されやすいと書いています。GIA(米国宝石学会)は、時間の経過・乾燥・加工時の過度の漂白で、もろくなる真珠があると書いています。
真珠のネックレスの糸替えは、店の目安で通常2〜3年に一度、別の店で3〜4年が目安です。ある高級宝飾ブランドは、パールジュエリーを頻繁に着けるなら年に1度の糸替えを勧めるとしています。替え時のサインと料金は真珠ネックレスの糸替えにあります。
オパールについて、GIAは水分の損失は、熱・過度の乾燥・明るい光や直射日光で起こる場合があると書いています。珊瑚は、GIAによると熱や化学薬品(化粧品・香水を含む)で艶と色を失うことがあるとされています。どちらも、日の当たる窓辺や暖房の近くに置かず、化粧や香水の後に着けます。
直すときの公開料金
部位ごとに直すときの、他店の公開料金を集めると次のとおりです。
| 直すこと | 公開料金 |
|---|---|
| 爪の補強 | 2,000円から9,900円 |
| 真珠の糸替え(1連) | 2,400円 |
| WGのメッキ | 1,100円から8,800円 |
| チェーンの切れ1か所 | プラチナ・K18は1か所3,500円〜、K18WGは1か所4,000円〜 |
※爪の補強は確認した9店、WGのメッキは6店の最低料金の幅。どちらも税込・税別・税の表示なしが混ざります。真珠の糸替えは8店を税込に直した中央値(通常の通し方)。チェーンは公開例1店(税の表示なし)。
写真で分かること、現物で決まること
写真で分かるのは、どの部位が傷んでいそうかの見当です。爪がどれだけゆるんでいるか、輪があと何回磨けるかは、現物を見て決まります。
写真で分かること
- 爪の曲がり・すり減り、石の傾き
- アームの手のひら側の薄さ・ゆがみ
- 留め具やつなぎ目の形の崩れ
現物で決まること
- 石がどれだけ動くか
- アームの厚みと、あと何回磨けるか
- チェーンの弱りがどこまで広がっているか
長く使っている品で、今直す部位とまだ大丈夫な部位を分けたいなら、写真で相談できます。指輪は内側から輪の厚みが分かる角度、爪の真上と横からのアップを撮ります。ネックレスは留め具とその近くのつなぎ目を、ピアスはポストを横から撮ります。「何年くらい、どのくらいの頻度で着けたか」を書き添えると、見当が付けやすくなります。
今日やること
- 1爪と石を見る鉛筆の先で石を軽く突き、動かないか、爪が曲がっていないかを見る
- 2留め具とポストを見る留め具がしっかり閉まるか、ポストが曲がっていないかを確かめる
- 3気になる所を撮る内側の厚み・爪のアップ・留め具を撮り、着けた年数を書いて相談する
