海外ブランドの品を正規に出すか正規以外で直すかは、無償の直しや保証が残っているかと、品の作りで決まります。正規以外で直すと、その後ブランドの保証や修理を受けられなくなることがあります。正規以外に出すのは、保証が残っておらず、正規の手入れに戻れなくてもよいと決めた品です。
正規に出す品と、正規以外で直してよい品
分け方は、品の状態と作りの2つです。保証書と購入日を確かめてから、次の表に当てはめます。
| 品の状態 | 出す先 |
|---|---|
| 保証の期間内 | 正規 |
| 購入後の無償の調整が残る | 正規 |
| 割れた石や貝を同じ物に替えたい | まず正規に聞く |
| 購入時の書類がない | まず正規に聞く |
| 保証切れで、正規で断られた | 正規以外も可 |
| 保証切れで、正規の期間が合わない | 正規以外も可 |
無償の調整の期間は、ブランドが公式に出しています。ヴァン クリーフ&アーペルは「購入から12か月以内の作品は無償で調整を受けられる(一部は追加費用あり)」としています。ショーメはサイズ変更や刻印は、購入後の一定期間に限って受け付けるとしています。
石や貝を同じ物に替えたい品は、まず正規に聞きます。割れた石と同じカットの物を、正規以外で用意するのは難しいことがあるからです。
購入時の書類がない品も、先に正規に聞きます。正規品であることを書類で示せないと、受けてもらえないことがあります。ショーメは修理の対象は正規品のジュエリーのみとしており、ブシュロンはブティックでのサービスには、インボイス(可能なら保証書も)を見せる必要があるとしています。海外で買った品は、ハリー・ウィンストンの場合購入した国以外でアフターサービスを受けるには、輸入を証明する書類が必要です。
ブランド品全般の、正規店に聞く順番はブランドのジュエリーを正規店以外で直すときにあります。
正規以外で直した後の扱いは、ブランドで違う
正規以外で手を入れた品をどう扱うかは、ブランドごとに違います。公式ページに書いているのは、ショーメ・ブシュロン・ハリー・ウィンストンです。
| ブランド | 正規以外で直した品 |
|---|---|
| ショーメ | 保証の対象外になることがある |
| ブシュロン | サイズ直しは公認の店に限る |
| ハリー・ウィンストン | 第三者の作業は保証外(時計) |
| ブルガリ | 保証書と購入店で確かめる |
| ヴァン クリーフ&アーペル | 保証書と購入店で確かめる |
ショーメは、正規の店以外で修理された場合、品質が損なわれ、保証の対象外になることがあるとしています。ブシュロンは、サイズ直しはブシュロン公認のリペアセンターに限るとしています。ハリー・ウィンストンは「正規でない第三者による作業は保証に含まれない(時計の記載)」と書いていますが、これは時計についての決まりです。ジュエリーも同じ扱いかは、購入したサロンで確かめます。
ブルガリとヴァン クリーフ&アーペルは、正規以外で直した品の扱いを公式ページで確かめられませんでした。保証書と購入したブティックで確かめます。修理店の側でも、ある修理店は正規店以外での修理でブランドの保証が無効になることがあると書き、ある宝飾店は他店で修理すると二次加工となり、元の正規店のアフターサービスが受けられなくなる可能性があると書いています。
自分の品だといくらで直るかは、壊れた所の写真を送って工房に相談できます。
正規に出すときに知っておくこと
正規に出すと、作業の幅はブランドの決まりの中に収まります。ショーメの公式の説明では、次のとおりです。
- 直せる幅:調整できる幅は品ごとに決まっていて、耐久性のために制限されている
- 費用:正確な見積もりには、アドバイザーが品を見る事前の査定が要る
- 直した後の保証:アフターサービスの作業は修理日から1年間の修理保証(証明書・請求書の提示が条件)
期間は、ヴァン クリーフ&アーペルの公式の説明で「通常は2週間以内に完了し、作業の複雑さで期間は変わる」とされています。ハリー・ウィンストンは、ジュエリーの補修について補修費用は状態により異なり、状態確認後に見積もりとしています。正規の費用を先に知りたいときは、見積もりを受け取ってから決めます。
ショーメのように、直せる幅を品の強さのために決めているブランドもあります。正規で直せないと言われた幅を正規以外で直すと、強さや見た目が元と変わることがあります。
作りで変わること

同じブランドでも、モデルの作りで正規以外で直せる範囲が変わります。修理店の公開例から分かる点は、次のとおりです。
B.zero1
B.zero1 は、いくつもの輪を重ねたように見える指輪です。ある工房は、B.zero1 は、刻印入りのリング2つと石を留めたリングの3つを、石を留めた後で一体にしていると説明しています。組み上げた後は側面の輪が邪魔をして、石を留める爪を起こしにくくなります。その工房は、折れた爪を直した例で一体にした後は側面のリングが邪魔で爪を起こせず、折れた爪はレーザー溶接で盛って留め直したと書いています。爪の修理の一般的な中身は爪・石座の修理にあります。
サイズ直しは、切って地金を足すのではなく、内側を削って広げる方法になることがあります。
B.zero1 のサイズ直しで確かめる所
- ①バネのような作りか地金を足せるかある修理店の説明:バネ状の B.zero1 は、地金を足す方法だとバネの機構が壊れるため、内側を削って広げる
- ②大きくしたい号数内側を削る幅同じ店の例:内側を削って大きくできるのは、せいぜい2号分
- ③内側の刻印の位置削られるか同じ店の例:内側を削るときは、文字の刻印がある内側の凹みまで削る
- ④抜けないとき切って外せるか同じ店の説明:B.zero1 で切って外せるのは1バンドのリングまで(2か所切る)
ある修理店の例では、内側を削って広げられるのは2号ほどまでです。それより大きくしたいなら、正規で直せるかを先に聞きます。2号以内で、内側の文字の縁が少し削れてもよいなら、正規以外で直す道があります。抜けなくなって切る判断は、指輪が抜けないときの外し方にあります。
アルハンブラなど、貝や石を枠にはめた品
アルハンブラは、白蝶貝やオニキスなどを四つ葉の形の金の枠にはめた品です。枠と貝・石の隙間が小さいので、輪を広げる作業で割れるおそれがあります。ある工房は、白蝶貝のアルハンブラのリングを直した例で、白蝶貝と金の枠の隙間が精密で、広げると枠が当たって割れるおそれがあると書いています。
ある工房は、オニキスのアルハンブラリングの変形直しで「割れても復元も保証もできない」と説明してから作業したと書いています。正規以外で直すなら、割れたときにどうするかを作業の前に決めておきます。全周に装飾が入ったデザインは、装飾が全周に入ったリングや特殊な構造のリングは、サイズ直しが難しい場合があるとする修理店もあります。
ハイジュエリーやヴィンテージの品
細かい装飾の品や古い品は、洗い方にも注意が要ります。ハリー・ウィンストンは、複雑な装飾の品・ヴィンテージ品・エメラルドやパールなど繊細な素材は、専門のクリーニングに出すよう書いています。また、超音波洗浄は多くの宝石に向かないとしています。家庭用の超音波洗浄機には入れないでください。自分でできる手入れはジュエリーのクリーニングにあります。
正規以外で直すときの料金(他店の公開例)
海外ブランドに限って指輪のサイズ直しの基本額を公開していた修理店は、確かめた範囲で3店でした。下の表は、その店などが公開している料金です。
| 作業 | 他店の公開例 |
|---|---|
| サイズ直しの基本額 | 10,000円(3店の中央値) |
| B.zero1 の内側を削る | 15,400円(税込・内側を削る方法) |
| アルハンブラのサイズ直し | 33,000円〜(税込) |
| 切れた輪の溶接と仕上げ | 28,000円 |
| 欠けた部分の復元 | 加工代35,000円+地金・ダイヤ27,000円 |
※ 基本額の3店の幅は5,500円から11,000円です。基本額は、地金代・仕上げ・コーティングが別です。税込と税の表記がない店が混ざります。復元の例は、輪が3か所切れて、ダイヤを留めた部分の一部がなくなった指輪です。
払う額は、基本額に地金と仕上げを加えた総額で見ます。たとえば、ある修理店がホワイトゴールドの B.zero1 を1.5号大きくした例では、白い色を戻すコーティングを含めて18,700円(税込)でした。正規の見積もりと比べるときも、総額でそろえます。ブランドでない指輪のサイズ直しの料金は指輪のサイズ直しの料金にあります。
正規以外に出す前に決めること
正規以外で直すと決めたら、作業の前に次の4つを決めておきます。
写真で分かること、現物で決まること
写真で分かるのは、どの方法になるかの見当までです。
写真で分かること
- モデルと、バネや重ねの作り
- 内側の刻印の位置
- 貝や石と枠の境目の様子
現物で決まること
- 削れる厚みと、広げられる号数
- 貝や石の目に見えない割れ
- 地金の量と総額
正規以外で直すと決めた品は、正面・横・内側の刻印と、貝や石と枠の境目を撮って写真で相談することもできます。モデル名と素材、直したい号数を書き添えると、刻印や石がどうなるかを先に聞けます。
今日やること
- 1保証書と書類を探す保証書・購入時の書類を探し、購入日と無償の調整の期間を確かめる
- 2購入したブティックに聞く「無償で直せる期間は残っていますか。正規以外で直した品は、その後も受けてもらえますか」と聞く
- 3写真を撮る正規で合わなければ、正面・横・内側の刻印・石や貝の境目を撮り、モデル名・素材・直したい号数を書く
