修理やリフォームを断られた品が直せるかは、断られた理由で決まります。設備や作業の難しさ、店の方針が理由なら、直せる見込みが残ります。素材そのものが溶接できない、部品が欠けているといった理由なら、直す以外の道も考えます。
| 断られた理由 | 例 | 直せる見込み |
|---|---|---|
| 素材 | チタン・ステンレス・タングステン | 低い |
| 素材 | メッキ・真鍮 | 熱を使わない修理なら |
| 素材 | シルバー | 設備しだい |
| 作り | 中空・極細のチェーン | 設備しだい |
| 作り | 全周の石・柄 | 追加の料金で |
| 作り | 部品の欠け・元の形が不明 | 低い |
| 石 | エメラルド・オパール・ターコイズ | 石を外せば |
| 石 | 大きなダイヤ・高価な色石 | 店の方針しだい |
| 買った店 | ブランド品・他店の品 | 保証を確かめてから |
| 素材不明 | 刻印がない | 分析してから |
この表は、工房・修理店・ブランドの公式サイトにある「受けられないもの」の記載を、理由ごとに分けたものです。「低い」は、断る理由が素材や部品そのものにあるものです。
断られた理由を聞く
断られたら、その場で理由を1つに絞って聞きます。理由が分かれば、直せる見込みがあるか、直さないかを決められます。
「受けられない理由は、素材、作り、石、他店の品であること、のどれですか」
断られた後に、自分で直そうとしないでください。ある修理店は、瞬間接着剤は強度が足りず、後のプロの修理で金属を傷め費用が高くなることもあると書いています。接着剤やハンダの跡が残ると、直せた品も直しにくくなります。
素材で断られた品
金・プラチナ・シルバー以外の金属は、溶接(金属を熱で溶かしてつなぐ作業)やサイズ直しを受けない店があります。ある宝飾店は、チタン・ステンレス・ニッケル合金・真鍮など金・プラチナ・シルバー以外はサイズ直しできないとしています。別の工房も、ステンレス・真鍮・メッキ・コーティング製品などは修理を受けないと書いています。
チタンやステンレスの指輪は、切ることさえ難しい場合があります。抜けない指輪を切るある修理店は、タングステンは切れない。チタン・ステンレスは切れても、サイズ直しや修理ができないとしています。
メッキの品は、熱を使わない修理なら頼めることがあります。ある修理店は、メッキのアクセサリーは熱を加える修理はできないことが多いが、熱を加えない修理ならできる場合があると書いています。引き輪や丸カン(小さな輪の部品)を差し替えるだけの修理が、これに当たります。メッキの品そのものは18KGPとは、はげたメッキは金メッキが剥がれたら直せるかにあります。
シルバーは、金やプラチナとは事情が違います。ある修理店は、プラチナやゴールドは直せても、シルバーのジュエリーの修理は断る店があると説明しています。別の宝飾店は、他店で購入したシルバー製リングはすべてサイズ直し不可としています。一方で、PtとK18のコンビリング・石付きシルバーリングもコストはかかるが直せるとする宝飾店もあります。シルバーの品は、レーザー溶接(熱が広がりにくい溶接)で直せるかを聞きます。
自分の品だといくらで直るかは、壊れた所の写真を送って工房に相談できます。
作りで断られた品

作りが理由の断られ方は、設備と職人の腕で分かれます。中が空洞の作り、とても細いチェーン、全周に石や柄が入った指輪がこれに当たります。
- チェーン:ある修理店は中空・細すぎる・非常に太いチェーンは修理が非常に難しいとし、別の店はボール・スネーク・0.8mm未満の極細・太すぎるものは直しにくいとしています
- 中空の指輪:ある宝飾店は、中空リングはサイズアップがほぼ不可能としています
- 全周の石・柄:ある修理店は、全周に石が並ぶ指輪や特殊な柄の指輪は、柄合わせが難しく、特殊加工の料金が加わるか断られることがあると説明しています
- 特殊なデザイン:ある宝飾店は、金・プラチナ・シルバーの指輪なら基本は直せるが、特殊なデザインは受けられない場合があるとしています
部品が欠けた品と、元の形が分からない品は、元どおりにはなりにくいです。ある修理店はモチーフの部品の一部をなくした品や、宝石が大きく欠けて破片がない品は、修理を断られる可能性があると書き、元のデザインが分からない品は修理を引き受けないとしています。形見の品で元の形が分からないなら、石や金属を使って別の品に作り替える相談に切り替えます。
チェーンの切れた場所と料金はチェーン修理の料金、全周に石がある指輪のサイズ直しはサイズ直しができないときにあります。
石で断られた品
石が理由の断られ方は、修理の熱や力で石が割れたり色が変わったりするおそれがあるからです。
| 石 | 断られる理由 |
|---|---|
| エメラルド・オパール・ペリドット | 割れやすい |
| ターコイズ・珊瑚 | 熱・酸に弱い |
| 大きなダイヤ・高価な色石 | 店の方針 |
ある修理店は、受付の条件でエメラルド・オパール・ペリドットなど壊れやすい宝石付きは受付対象外としています。ターコイズについては、別の修理店がターコイズは少しでも熱が加わると、含まれる水分が抜けて変色したりひび割れたりすると説明しています。
オパールについては、ある宝飾店がオパールのジュエリーの修理・リメイクを断る店も少なくないと書いています。エナメル(金属に焼き付けたガラス質の色)の飾りも熱に弱く、ある修理店は加工に耐えられない宝石やエナメルの飾りが付いた品は修理できないものもあるが、職人の腕による部分が大きいと書いています。
弱い石の品は、石をいったん外してから金属を直し、最後に留め直すと直せることがあります。外すときに石が欠けたらどうするかを、頼む前に確かめます。
高価な石は、壊れやすさとは別に、店の方針で断られることがあります。ある宝飾店は、1ct以上のダイヤ・高級色石付きの指輪はサイズ直し・修理を受け付けないとしています。石ごとの熱・衝撃への強さは宝石の加工の可否にあります。
ブランド品・他店で買った品
ブランドの品は、順番を間違えると、後でブランドの店に受けてもらえなくなることがあります。先に正規店の保証を確かめ、その後でほかで直すかを決めます。
ブランドの店には、自社で売った品しか直さないところがあります。アイプリモは、自社商品のみ。他社でメンテナンスした品・譲渡された品は取り扱わないとしています。譲り受けた品も、この「取り扱わない」に入るブランドがあります。
逆に、ブランドの品をブランドの店以外で直すと、そのブランドの保証が使えなくなることがあります。ショーメは公式に、正規の店以外で修理された場合、品質が損なわれ、保証の対象外になることがあると書いています。
正規店で断られた品は、ほかで直しても失う保証が少なくなります。ただし、ある修理店は類似品・模倣品と判断した品は断るとしています。ブランドごとの決まりはブランドのジュエリーを他店で修理してよいかにあります。
素材が分からない品
刻印(内側や留め具に打たれた「K18」「Pt900」「SV925」などの文字)がない品は、どの金属で直せばよいかが分からないので断られることがあります。ある修理店は、素材の刻印がない指輪は、どの金属で直せばよいか分からないため、修理を断られることがあるとしています。別の修理店も、受付の条件に素材不明品・品位を示す刻印がない品物は受付対象外と書いています。
素材が分からない品は、先に素材を確かめれば直せることがあります。ある宝飾店は、地金不明の品は分析後に可否判断(分析は有料)としています。
- 公開例1
- 1件700円〜
- 公開例2(郵送可)
- 1か所1,100円(税込)
※ どちらも、品物の表面にX線を当てて金属の成分を調べる方法です。品物は削りません。
※ 公開例2の店は、内部構造・芯材・メッキ層・ロウ材などは判別できない場合があると書いています。メッキの品は正確な数字が出ないことがあります。
まずは自分で刻印を探します。刻印の文字の意味は刻印図鑑、刻印がない品の見分け方は刻印がない金は本物かにあります。
写真で分かること、現物で決まること
断られた品は、写真では受けられそうかの見当までしか分かりません。中の作りと素材は、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 刻印の文字と、壊れた場所
- 石の種類の見当と、留め方
- 断られた理由に当たる所
現物で決まること
- 中が空洞か、刻印どおりの素材か
- 前に直した跡(接着・ハンダ)の有無
- 石を外せるか、熱をかけてよいか
刻印・壊れた所・全体を撮り、断られた理由をそのまま書き添えて相談すると、直せる見込みがあるかの見当が分かります。受けられるかと料金は、現物を見てから決まります。
直さない選び方
素材や部品そのものが理由で断られたなら、直さずに使い方を変えるほうが、費用もかからず、品物も傷めません。
そのまま残す
- 壊れた所に手を付けず、袋に入れてしまう
- 費用はかからない
石だけ使う
- 石を外して別の品に留める
- 金属部分は返却か下取り
金属の価値を見て決める
- 刻印と重さで価値の目安を出す
- 作り替えるか残すかを決める
石が無事なら、別の品に作り替えられます。値段の決まり方は指輪リフォームの値段の決まり方にあります。金属の価値の目安は、刻印と重さを入れると地金の価値の目安計算で出せます。
修理した後にまた壊れた場合は、断られたのとは別の話になります。店の保証で直してもらえるかは修理後の不具合と保証にあります。
今日やること
- 1素材と作りを見る刻印の文字、中が空洞か、全周に石があるか、なくした部品があるかを見て、写真を撮る
- 2断った店に理由を聞く「受けられない理由は、素材、作り、石、他店の品であること、のどれですか」
- 3撮った写真で相談する「◯◯の理由で断られました。直せる見込みはありますか」と、正面・横・刻印の写真に書き添えて送る
