印台の指輪は、家紋やイニシャルの彫られた面(印面)を残すかどうかで、リメイクの方法が分かれます。面を残すなら、形のまま直して使うか、面だけを切り取ってペンダントにします。面にこだわらないなら、溶かして女性用の指輪や家族の分の指輪に作り直します。
印台リングは、面に印を彫った指輪です。ある工房は、印台リング(シグネットリング)は古代ローマに始まり、手紙の封に押す本人確認の印鑑として使われた。日本では面に家紋を彫ることが多く、三味(しゃみ)の形が定番と説明しています。面の形は、印台の基本の形は三味型・たる型・角型・丸型など。本来は封蝋や署名に使う印章・紋章を彫った指輪といった種類があります。
4つの方法
印台の作り替えは、面をどう扱うかで4つに分かれます。費用と期間は、他店が公式サイトに出した例です。
| 方法 | 面・家紋 | 他店の公開例 | 期間の例 |
|---|---|---|---|
| 形のまま直す | 残る | 4,400円(税込・変形直し+磨き、約3〜4週間) | 約3〜4週間 |
| 面に彫りを足す | 残る | 作り替えの額は公開なし | 預かり12日 |
| 面を切り取ってペンダントに | 残る | 22,000円(税込・ネックレス別売) | 公開なし |
| 溶かして作り直す | 残らない | 指輪1本6万円から10万円 | 約2〜3か月 |
※ 溶かして作り直す額は、印台に限らない公開目安2店(税の表示なし)で、足りない地金の代金は別です。期間は、形のまま直すが同じ公開例、彫り足しがある宝飾店の例、溶かして作り直すがある修理店の説明(溶かして作り直すフルオーダーは一般に2〜3か月かかる(修理店の説明))によります。
印台を作り替えた例で金額まで公開しているものは少なく、費用は面を残すかどうかと、地金を足すかどうかで大きく変わります。内側の刻印(名前・日付・K18などの品位)は、形のまま直す方法と面を切り取る方法では輪の側に残り、溶かすと消えます。
面を残す方法

形のまま直す・彫りを足す
誰かがそのまま着けるなら、変形を直して磨き直すだけで使えます。号数が合わなければサイズ直しも一緒にします。幅の広い印台を何号も小さくするなら、どこまで縮められるかと、余った地金を返してもらえるかを先に聞きます。料金の決まり方は指輪のサイズ直しの料金と日数にあります。
面に何も彫られていなければ、イニシャルを彫り足す方法もあります。ある宝飾店は、印台の形はそのまま、面に手彫りでイニシャルを入れて磨き直し、娘が使う指輪にした(預かり12日間)としています。新しく印台を作るときに家紋を彫る料金の公開例は、家紋・ロゴの彫り 15,000円〜(データ作成込み・要見積り)です。
面に石を足す・彫りを入れるには、面に厚みが要ります。ある宝飾店は、印台の面は裏抜き(裏側をくり抜く)されていることがあるが、厚みが約1.5mmあればダイヤを留める・イニシャルを彫る加工ができると説明しています。
面を切り取ってペンダントにする
面だけを切り取れば、家紋や石の付いた面をペンダントとして残せます。ある工房は、印台の上部(面)だけを糸ノコで切り取り、研磨してバチカンをロー付けすればペンダントトップになると説明しています。プラチナのダイヤ入りの印台をこの方法でペンダントにした例は、22,000円(税込・ネックレス別売)でした。
切り取った後の輪の部分は、使い道を決めます。同じ工房は、印台の面だけを切り取っても、残る地金の重さは大きく変わらない(工房の事例)としたうえで、面を切り取った残りの地金(腕の部分)は、その日の相場で買い取って費用に充てるとしています。印台は地金のほとんどが輪の側にあるので、下取りに出せば費用の多くを相殺できます。形見として残したいなら、下取りに出さずに返してもらうよう頼みます。
自分の品を何に作り替えられるかは、写真を送って工房に相談できます。
溶かして作り直す方法
面にこだわらないなら、溶かして新しい指輪にします。印台は地金が多いので、1本の印台から2本、3本の指輪を作った例もあります。
家族の分の指輪に
- K18の印台から平打ちの指輪を3本(ある宝飾店)
- 父のK20の印台から結婚指輪を2本(ある工房)
女性用の小さな形に
- プラチナの印台を、娘が受け継ぐプチネックレスに(ある工房)
- 純金の印台は溶かさず下取りし、K18でペアの指輪に(ある宝飾店)
公開例の出所は、次の4件です。
- K18の印台メンズリング→平打ちリング3本(内側に誕生石)
- 父のK20印台リングを溶かし、足りない分のK20を足して鍛造の結婚指輪2本にした
- 大きなプラチナの印台メンズリング→娘が受け継ぐプチネックレス。古い印台は下取りして費用を抑えた
- 祖父の純金(K24)印台メンズリング→K18平打ちのペアリング。余った純金は下取りして費用に充てた
結婚指輪を2本作った例で足りない分を同じ品位の金で足しているように、溶かすときは地金が減り、足すなら同じ品位の地金が基本です。違う品位の金や、金とプラチナを一緒に溶かせるかは、店に確かめます。溶かす方法の費用の決まり方は指輪リフォームの値段の「地金代」で確かめられます。
重さで決まる、作れる量
溶かして作り直すなら、まず印台の重さを量ります。重さが分かれば、何本作れるか、地金を足すかの見当がつきます。
公式ページで重さが分かったK18の印台は、次の4件でした。
- K18印台リング 9.4g(16号・1980年代・面11mm角)
- 祖父の形見のK18印台リング 約13g(裏が空洞の手作り品)
- K18印台リング 14.3g(21号・1980年代・面 約8.4×8.6mm)
- K18三味印台 26.67g(7匁強)。摩耗した印台を預かった下金で作り替えた仕上がり重さ
中央値は約13.7g(13.65g)です。ほかの素材では、次の例があります。
- K24(純金)の三味印台リング 約20g(工房の自店製作品)
- K24のダイヤ入り印台リング 約28g(7匁5分。1匁=3.75g)
- 純プラチナ(Pt1000)の鍛造印台リング 約40g(持ち込みのプラチナに新しいプラチナを足して製作)
古い印台は、重さを匁(もんめ)で言うことがあります。
溶かすと、削ったり磨いたりする分だけ減ります。ある工房は、指輪・ペンダントの元枠を下金として使うと、作る時の減り(ヘリ)として元重量から15%を差し引く(ネックレスは20%)としています。別の工房は、減る量を総重量のおよそ10%としています。
- 印台の重さ(4件の中央値)
- 約13.7g(13.65g)
- 作るときに減る分
- 15%(ある工房の基準)
※ 減る率は店で違います。自分の印台の重さで計算し直してください。
見た目より軽い印台もあります。裏が空洞になった印台について、ある工房は裏が空洞の印台は見た目より地金が少なく、その地金だけで新しい印台を作り直すのは難しい(K18を少し足して作った)としています。重さを量らずに「溶かせば足りる」と決めないでください。
地金としての目安
K18の印台なら、地金としての価値も大きくなります。重さの中央値に、K18製品の1gあたりの公表価格を掛けると、次の額になります。
- 印台の重さ(4件の中央値)
- 約13.7g(13.65g)
- K18製品の1gあたりの公表価格
- 16,120円(K18製品・造幣局・他社刻印・1g・2026年10月24日に確認)
※ 計算の仕方は重さ(g)×品位(千分率)÷1000×1gあたりの地金価格です。価格は毎日変わり、店の下取りの額はこの目安とは別に決まります。
自分の印台の刻印と重さで、地金の価値の目安計算に入れて確かめてください。刻印の数字は、K24=999、K22=916、K20=833、K18=750、K14=585、K10=416、K9=375、K8=333(千分率)を表します。
純金・シルバー・石付き・刻印のない印台
純金(K24)の印台は柔らかく、熱にも弱い地金です。ある工房は、純金(K24)の印台はロー付けの熱で指輪のほうが先に溶けることがあり、つなぐ加工が難しいと説明しています。ある修理店は、純度の高い地金を溶かすときは純度の高い地金を溶かすときは、他の金属(パラジウム・ルテニウム・銅など)を少量足すことがあるとしています。純金の印台を作り替えるなら、溶かさずに下取りへ回して、K18で新しく作る方法も比べます。
シルバーの印台は、溶かして作り直す方法に向きません。同じ修理店は、シルバーは溶かしてリフォーム・リメイクするのが非常に難しい素材(修理店の説明)としています。形のまま直して使うか、面を切り取る方法で考えます。
ダイヤなどの石が付いた印台は、溶かす前に石を外します。石を外すときの注意と料金は指輪の石外しの料金で確かめられます。外した石は、新しい指輪やペンダントに留め直せます。
刻印がない印台は、素材を確かめてから方法を決めます。刻印の見方は刻印図鑑で、刻印がないときの調べ方は刻印のないジュエリーで確かめられます。溶かして作る方法全体は指輪を溶かして作り直すにあります。
写真で分かること、現物で決まること
面を残す方法が向くか、溶かす方法が向くかは、写真でおおよそ分かります。作れる量と、面に彫り足せるかは、現物を見て決まります。
写真で分かること
- 面の彫り・石の有無・変形
- 内側の刻印(品位・名前)
- 裏が空洞か(裏側の写真)
現物で決まること
- 重さ(キッチンスケールの写真で見当は付く)
- 面の厚み(彫り足し・石留めができるか)
- 刻印どおりの品位か・石の状態
面・横・内側の刻印・裏側の写真に、量れれば重さと、誰がどんな形で身につけたいかを書き添えて相談すると、面を残す形と溶かして作る形の両方の見当を先に聞けます。
今日やること
- 1刻印と重さを確かめる内側の刻印(K18・Pt900・K24など)を見て、量れればキッチンスケールで重さを量る
- 2残したいものを決める家紋・イニシャル・石・指輪の形・内側の刻印のうち、何を残すか。誰が着けるか
- 3写真を撮る面・横・内側の刻印・裏側を撮り、「父の印台(刻印◯◯・約◯g)を◯◯にしたい。面を残す方法と溶かす方法の両方の見積もりを」と書き添える
