色石の指輪も、ダイヤの指輪と同じように指輪やペンダントに作り替えられます。違いは、石を外す・留める作業で欠けるかどうかと、色をよくする処理の種類です。ルビーとサファイアは硬く、作り替えやすい石です。タンザナイト・ペリドット・トパーズは外す段階で欠けることがあります。
石ごとの違い
色石は、硬さと劈開(へきかい。決まった向きに割れやすい性質)が石ごとに違います。GIAの各宝石の案内と、工房の宝石別ページの記載をまとめると、次のとおりです。
| 石 | 硬さ(モース) | 作り替えで気をつけること |
|---|---|---|
| ルビー・サファイア | 9 | 処理の種類を確かめる |
| トパーズ | 8 | 割れやすい筋がある |
| エメラルド | 7.5〜8 | ひびを埋める処理が多い |
| ペリドット | 6.5〜7 | 縁や角が欠けることがある |
| タンザナイト | 6〜7 | 外す・留めるで割れることがある |
※ 硬さはGIAのお手入れの案内の値です。数字が大きいほど傷がつきにくい石ですが、硬くても割れやすい筋のある石(トパーズ)があります。
ルビーとサファイアはどちらもコランダムという同じ鉱物で、GIAは通常の着用では熱に耐性としています。傷のないルビー・サファイアなら、作り替えで石の側に注意することは少なく、留め方も自由に選べます。
下の4つは、石を外す段階から欠けるおそれがあります。
- タンザナイト:ある工房は石外し・石留めの際に割れたり欠けたりすることがあるとし、割れ・欠けの可能性を事前に了解してもらってから加工するとしています。
- ペリドット:同じ工房は、リフォームでガードル(石の縁)やファセットの角が欠ける可能性があるとしています。
- ミスティックトパーズ(表面に色の膜を付けたトパーズ):同じ工房は、加工で表面のコーティングがはがれるおそれがあり、断る場合があるとしています。
- エメラルド:90%以上がフラクチャー充填(推定)で、充填(ひびを油や樹脂で埋めて目立たなくする処理)を前提に扱います。
石ごとの詳しい注意はエメラルドのリフォーム・タンザナイトは加工で割れる?・宝石ごとの加工できる・できないの一覧にあります。
加熱と充填の処理
色石の多くは、色をよくするための処理がされています。加熱だけなら作り替えに差し支えありません。注意が要るのは、ガラスでひびを埋めた石と、表面近くだけに色を入れた石です。
GIAは、ほとんどのルビーは加熱されているとし、サファイアの加熱も一般に認められた処理としています。タンザナイトも加熱が慣例で、加熱以外の処理はほとんどありません。
一方、拡散処理・ガラス充填のルビーは加熱ルビーより価値が下がる(GIA)。ある宝飾店も、鉛を染み込ませて見た目をよくしたルビーが出回っていて、注意が必要と注意しています。格子拡散処理(表面近くだけに色を染み込ませる処理)のサファイアは、GIAによると格子拡散処理品は再カットで色が消えることがある。こうした石は、削り直しや磨き直しを前提にしないでください。
鑑別書は、石が天然か、どんな処理がされているかを書いた書類です。あれば見積もりのときに見せます。加熱していないと書かれたルビー・サファイアは、GIAによると加熱の証拠がないと鑑別機関が確かめた良質のサファイアは、希少で価値が高いので、扱いを慎重にする理由になります。大粒で高価な石で鑑別書が無いなら、ある宝飾店は鑑別書を取るとしています。
手元の石でどんな形にできるかは、石と枠の写真を送って工房に相談できます。
割れたときの責任と留め方
色石は、加工中に割れても補償されない前提で頼むことになる場合があります。ある工房の規定は、ダイヤ以外の石はダイヤ以外の石は、加工中の損傷や後で見つかった傷の責任を負わない前提で加工するとしています。店ごとの規定なので、預ける前に書面で確かめます。
留め方は、石の欠けやすさで決めます。タンザナイト・ペリドット・欠けのある石は、覆輪留めが向きます。傷のないルビー・サファイアなら、爪留めで構いません。
覆輪留め(ふくりん)
- 石の周りを地金で囲う
- 石の縁が地金に隠れる
- タンザナイト・ペリドット・欠けのある石に
爪留め
- 細い爪で石を押さえる
- 石の縁が外に出て、光が入る
- 傷のないルビー・サファイアに
GIAも、金属や宝石でタンザナイトを囲むセッティングは石の保護に役立つとしています。爪留めにした石は、年数がたつと爪がすり減ってぐらつくことがあります。その直し方は指輪の爪の修理代と日数にあります。欠けやひびがあるルビーは、ある宝飾店によると欠けやひびがあるルビーはデザインによってリフォームが難しい。欠けを整えるリカット(削り直し)について、ある工房は欠けたルビーはリカットで修正することがあるが、1つの石を2つにするのは勧めないとしています。
スター石とカボション

スタールビーやスターサファイアは、丸く山形に磨いた石(カボション)です。GIAによると、星の模様を出すにはカボションに磨く必要がある。
スター石は、枠を低くするために削ることができません。ある工房は、削ると色が抜けるおそれがあるため削れないと説明しています。同じ工房の事例では、石を外すと見えていなかった下部が想像以上に高く、デザインを変えた。カボションの石なら、縦と横の長さ(mm)が分かれば外す前でも見積もりが出ます(同じ工房の案内)。ただし、外してから設計が変わることがあると考えてください。
取り巻きのダイヤと元の枠
色石の周りに小さなダイヤ(メレダイヤ)が並ぶ指輪は、そのダイヤも使えるかを聞きます。全部を使えるとは限りません。
- 使えるものと使えないものに選り分ける工房があります(客のメレダイヤを、使えるものと使えないものに選り分ける)
- 枠の都合でメレをそのまま使えなかった事例、取り巻きの四角いダイヤを輪の部分に使い直した事例があります
- 元の枠の金属は、ある宝飾店によると元のプラチナはデザインによって材料に使えず、下取りになることもある
使わないダイヤや枠を手元に残したいなら、「使わない石と枠は返してください」と最初に伝えます。
費用と期間
他店が公開している事例を、作る形ごとに並べると次のとおりです。
| 作る形 | いちばん安い事例 | いちばん高い事例 | 事例の数 |
|---|---|---|---|
| 指輪を指輪に | 44,000円 | 190,000円 | 6件 |
| 指輪をペンダントに | 15,000円(税別) | 47,000円(税別) | 4件 |
| 中の石だけ替える | 5,000円(税別) | ー | 1件 |
※ どれも工房・宝飾店が公式サイトに載せた実例で、下取りを引く前の額、チェーン代は含みません。税込・税別・税の表示なしが混ざり、2017〜2018年の掲載で「当時の料金」と注記された事例も含みます。同じ金額で作れるという意味ではありません。
指輪を指輪に作り替える費用は、枠の作り方で分かれます。店の既製デザインの枠に付け替えた2件は44,000円から85,000円、石座(石を留める台)を作り変えたりダイヤを足したりした4件は130,000円から190,000円でした。既製の枠は石のサイズで選べる枠が決まり、ある宝飾店はルビーの大きさによっては制作できないデザインがあるとしています。枠の作り方で値段が変わる仕組みは立て爪の婚約指輪のリフォームと同じです。見積もりの行の読み方は指輪リフォームの値段にあります。
いちばん安く済むのは、指輪の輪の部分を切ってペンダントにする方法です。15,000円(税別)の事例はこの方法で、同じ工房は切り取った腕の部分は下取りして安くなると書いています。
- リフォーム代
- 30,000円
- 元の枠の下取り
- −8,000円
※ ある宝飾店の1件の事例で、税の表示はありません。輪の部分を切り離し、底を平らに削ってペンダントにしています。期間は約1か月でした。
下取りを引くと、支払いはそのぶん下がります。別の宝飾店の事例では、43,200円から古い枠の下取りを引いて、支払額は30,000円でした。見積もりでは「下取り前の額」と「下取りの額」を分けて書いてもらってください。下取りのおおよその額は、地金の価値の目安計算で重さから出せます。
期間は枠の作り方で変わります。既製の枠を使う作り替えで空枠を使うリフォームで通常2〜4週間程度(ある宝飾店の目安)、デザインして作った事例で30〜45日、中の石を替えた事例で約3週間でした。
写真で分かること、現物で決まること
写真で決まるのは、方法の候補と見積もりの見当までです。色石は、石を外してから分かることが多い石です。
写真で分かること
- 石の種類の見当と、縦横の大きさ(mm)
- 留め方、取り巻きのダイヤの数
- 大きな欠けやひび、枠の形
現物で決まること
- 爪の下の欠け・ひび(外して初めて見える)
- 石の裏側の形と高さ(枠の設計が変わる)
- 処理の有無(鑑別で分かる)、地金の重さと下取りの額
石の名前・鑑別書の有無・取り巻きのダイヤの数を書き添え、正面・横・内側の刻印の写真で相談すると、留め方と作る形の案が出ます。写真の段階の見積もりは、石を外して欠けが見つかると変わることがあります。
作り替えないほうがいい場合
作り替えは、石を一度外す作業を含みます。割れのリスクに見合わないなら、今の指輪のまま使ってください。
サイズが合わないだけなら、作り替えではなくサイズ直しで足ります。ルビー・サファイアに限った注意はルビー・サファイアの指輪のリフォームにもあります。
今日やること
- 1石と書類を確かめる石の名前・鑑別書の有無・取り巻きのダイヤの数を確かめ、正面と横から写真を撮る
- 2写真を送って相談する「サファイアの指輪をペンダントにしたいです。下取り前の総額と下取りの額、期間を分けて教えてください」と書いて、正面・横・刻印の写真と一緒に送る
- 3割れの扱いを聞く「石を外して傷が見つかったら作業を止めて連絡をもらえますか。割れたときの扱いを書面でください」
