ルビー・サファイアの指輪は、作り替えに向く石です。割れるかどうかを分けるのは硬さではなく、その石にされた処理です。
処理で変わる作業の注意
ルビーとサファイアは、どちらもコランダムという同じ鉱物です。モース硬度は9で、傷がつきにくい石です。処理は大きく3つに分かれ、どれに当たるかで頼める作業が変わります。
| 処理 | 洗浄機・スチーム | 気をつける作業 |
|---|---|---|
| 処理なし・加熱だけ | 通常は安全 | 炎を使う作業 |
| 鉛ガラスの充填 | 使わない | 洗浄・爪を締める |
| 格子拡散 | 通常は安全 | 削り直し |
※ GIA「ルビーのお手入れとクリーニングガイド」「サファイアのお手入れとクリーニングガイド」によります。
いちばん多いのは、加熱だけの石です。GIAは、ほとんどのルビーは加熱されていると書いています。
加熱だけの石
こうした石は、超音波洗浄機やスチームも通常は安全(未処理・加熱・格子拡散処理の石)とされています。石を外す・留め直す作業も、ふつうに進められる石です。
気をつけるのは炎を使う作業です。GIAは、ホウ酸粉末は、処理していない石でも表面を腐食するとしています。ホウ酸はロウ付け(金属を炎でつなぐ作業)で使われることがある粉です。サイズ直しなど炎を使う作業では、石に何かを塗るのか、外してから作業するのかを店に聞いてください。
鉛ガラスで割れ目を埋めた石
鉛ガラスの充填は、石の表面まで届いた割れ目に、鉛を多く含むガラスを流し込んで目立たなくする処理です。GIAも、鉛ガラスでひび(フラクチャー)を埋めたルビーがあると注意しています。作り替えでは、次の2つに弱い石です。
- 薬品:GIAは、鉛ガラスで割れ目を埋めたルビーは、レモン汁のような弱い物質でもガラスが変質するおそれがあるとしています。
- 研究記事でも、鉛ガラスの充填材は、修理のときの熱にはある程度耐えるが、溶剤とはすぐに反応したと報告されています。
- GIAの案内では、こうした石は充填・染色品は湿った布で拭くだけとされています。
- 留める力:GIAの研究記事に、加熱とガラスの充填をしたルビーが、枠に留める作業のふつうの力で2つに割れた例があるが載っています。職人が爪にふつうの力をかけただけで、石が2つに割れた例です。
この石を預けるときは、「鉛ガラスが入った石です」と最初に伝えてください。伝えておけば、洗浄や爪を締める作業の前に、店が石の扱いを決められます。
色を表面にしみ込ませた石
格子拡散処理は、石の表面近くだけに色をしみ込ませる処理です。GIAは、格子拡散処理品は再カットで色が消えることがあると書いています。傷を消すための磨き直しや、形を整える削り直しは頼まないでください。表面だけに色があるので、削った所から色の薄い部分が出てきます。
処理が分からないとき
処理が分からない石は、作業を決める前に鑑別書を見ます。鑑別書は、宝石の種類と、天然かどうか、どんな処理が見つかったかを書いた書類です。GIAは、独立した鑑別機関のレポートについて鑑別機関のレポートで、天然かどうかと処理の証拠があるかを確かめられるとしています。サファイアでも、鑑別機関のレポートは、天然かどうかと、見つけられる処理を示すとされています。
鑑別書がない石は、鑑別を受けてから作り替えるかを決めます。鑑別書をなくしたときの再発行や、預けるときの照合は鑑定書・鑑別書の再発行と照合で確かめられます。
石の値段と作り替えの費用の釣り合いも見ます。GIAによると、拡散処理・ガラス充填のルビーは加熱ルビーより価値が下がる。ある工房も、鉛を染み込ませて見た目をよくしたルビーが出回っていて、注意が必要と注意しています。鉛ガラスの入った石なら、高い枠を新しく作るより、今の指輪をそのまま使うほうが合うことがあります。
手元の石でどんな形にできるかは、石と枠の写真を送って工房に相談できます。
石を外すときに確かめること

石を外すと、爪の下に隠れていた欠けや割れ目が初めて見えることがあります。GIAの研究記事も、留める前に石をよく調べることが勧められているとしています。
補償のない条件で頼むかは、鑑別書の処理の記載と、石の思い入れで決めてください。ひびや欠けがすでにある石の扱いは、欠けた・割れた宝石はどうするかで確かめられます。
スター石とキャッツアイ
スタールビーやスターサファイアは、丸く山形に磨いた石(カボション)です。星の模様を出すにはカボションに磨く必要がある(GIA)。この山の高さが、作り替えの形を決めます。
GIAは、スターがはっきり出るには、ドーム(山の部分)の高さが石の幅の約3分の2ほど要るとしています。そのぶん石の背が高く、低い枠に収めにくくなります。
留め直しや作り替えを頼むときは、「星が正面の中央に来るように留めてください」と伝えます。
「キャッツアイ」と呼ばれる石は、ルビーやサファイアとは限りません。猫の目のような光の筋が出る石の呼び名で、鉱物の種類は鑑別書の宝石名で分かります。石の種類が分かれば、その石に合った注意を店に聞けます。ほかの石の注意は宝石別の加工の注意と料金で見比べられます。スターサファイアに天然か合成かの迷いがあるときも、光の当て方で見分けようとせず、鑑別書で確かめます。
作り替えの費用と期間
ルビー・サファイアの作り替えの費用は、指輪を指輪にするか、ペンダントにするかで大きく変わります。工房や宝飾店の公式サイトで確かめた他店の公開例は、次のとおりです。
| 作る形 | 中央値 | 公開例 |
|---|---|---|
| 指輪を指輪に | 130,000円 | 5店7件 |
| 指輪をペンダントに | 36,600円 | 3店4件 |
※ どれも下取りを引く前の額で、チェーン代は含みません。税込・税別・税の表示なしが混ざります。
指輪を指輪にする例は、店にある枠に付け替えた44,000円から、周りをダイヤで囲んで作った190,000円までの幅があります。新しい枠を店の既製品から選ぶか、一から作るかが、金額の分かれ目です。ある宝石店のセミオーダー枠(既製の枠に石を留める方式)では、4本爪の指輪が88,000〜132,000円(税込)、シンプルなペンダントが33,000〜88,000円(税込・チェーン別)で、石の大きさと地金相場で変わると注記しています。
- 作り替えの代金
- 65,000円(別途消費税)
※ 他店の1件の例です。元の枠の地金を下取りに出し、その額を引いています。
期間は、既製の枠に付け替えた他店の例で7日〜(料金は65,000円〜(税の表示なし))でした。一から作る場合の期間は別に聞きます。加工代・地金代・石代・下取りの4つで値段が決まる仕組みは指輪リフォームの値段で、色石の指輪をペンダントにするときの作りの違いは色石の指輪をペンダントにするで、ほかの作業の料金は工房の公開料金データで確かめられます。
取り巻きのダイヤとブランド品
ルビーやサファイアの周りに小さなダイヤが並ぶ指輪は、そのダイヤを新しい枠に使えるかを聞きます。全部を使えるとは限らず、ある工房は枠の都合で、元の指輪のメレダイヤをそのまま使えなかった例があると書いています。外したダイヤの使い道はメレダイヤを集めて作り替えるで確かめられます。
ブランドの指輪は、作り替える前にブランドの修理を受けられるかを考えます。ある修理工房は、ブランド品は販売店以外で修理すると保証が受けられなくなると注意しています。元の形のまま直したいなら、先にブランドに聞いてください。カルティエの品はカルティエの修理・サイズ直しで分け方を確かめられます。
写真で分かること、現物で決まること
写真で決まるのは、枠の候補と見積もりの見当までです。処理と石の状態は、鑑別書か現物で決まります。
写真で分かること
- 石の形(面のある石か、丸いカボションか)
- 留め方と、取り巻きのダイヤの数
- 内側の刻印(Pt900・K18)
- 枠の候補と見当の金額
現物で決まること
- 処理の種類(鑑別書か鑑別で)
- 爪の下の欠け・割れ目
- スター石の背の高さ
- 地金の重さと下取りの額
カボションの石は、見積もりに必要な情報が少なくて済みます。ある工房は、カボションの石は縦と横のミリサイズが分かれば見積もりできるとしています。石を正面と横から撮り、鑑別書があればその写しを添えて写真で相談すると、処理の記載に合わせた作業の案から話が始まります。
作り替えないほうがいいケース
ルビー・サファイアは丈夫な石ですが、作り替えが合わない場面もあります。
サイズが合わないだけなら、指輪のサイズ直しの料金と日数で石付きの加算を確かめてから頼みます。石を付けたままのサイズ直しを断られたら、指輪のサイズ直しができないときに次の手があります。爪のすり減りやぐらつきだけなら、指輪の爪の修理代と日数のほうが先です。
今日やること
- 1石と書類をそろえる鑑別書があれば手元に出し、処理の欄に何が書かれているかを見る
- 2写真を撮る石を正面と横から明るい所で撮る。スター石は星が見える向きでも撮る
- 3写真を送って相談する「ルビー(サファイア)の指輪を作り替えたいです。石を外して作業できるかと、下取り前の税込の総額と期間を教えてください」と書いて、写真と鑑別書(あれば)の写しを添えて送る
