鑑定書(ダイヤの品質を示す書類)と鑑別書(石の種類を示す書類)は、発行した機関が決めた期限内なら、同じ機関で再発行してもらえます。期限は発行から1〜2年以内で、機関によって違います。GIAのように再発行をしない機関では、番号で内容を照会するか、石を調べ直して新しく作ります。
手元に書類がなくても、まず書類の番号と発行した機関の名前を探してください。買った店の控え・箱・保証書に残っていることがあります。分かれば再発行か照会を、分からなければ新しく作る方法を選びます。
機関ごとの再発行と新しく作る料金
各機関の公式の料金表と案内で確かめた料金です。石の大きさや書類の形で変わるので、条件は表の下に書きます。
| 機関 | 再発行 | 再発行の期限 | 鑑定書を新しく作る | 鑑別書を新しく作る |
|---|---|---|---|---|
| ジャパンジェムグレーディングセンター | 1冊1,100円(税込) | 発行日から1年以内 | 3,960円 | 2,640円(税込) |
| JTL | 鑑定書・鑑別書とも1,650円(税込) | 発行日から2年間 | 4,950円 | 3,850円(税込) |
| GIA | しない | ― | 10,912円 | ― |
※ すべて税込です。ジャパンジェムグレーディングセンターはA4の書類の料金で、鑑定書は枠から外した0.2カラット以上のダイヤが対象です(2カラット以上は追加料金)。JTL(JEWEL TRADING LABORATORY)の鑑定書は2カラット未満、GIAは0.23〜0.46カラットの料金です。GIAの鑑定書は0.15カラット以上の外した石が対象です。
鑑定書・鑑別書・ソーティングの違い
鑑定書はダイヤの品質を、鑑別書は石の種類を示します。どちらにも、石の値段は書かれていません。
鑑定書(グレーディングレポート)
- ダイヤだけが対象
- 重さ・色・透明度・カット(4C)を評価
- 枠から外したダイヤで作る
鑑別書
- すべての宝石が対象
- 石の種類と、天然か、処理の有無を示す
- 指輪に留めたままでも作れることがある
ソーティング
- 業者どうしの取引向けの簡単なメモ
- 表記が簡略
- なくすと再発行されない
ソーティングは、宝石鑑別団体協議会(AGL)の説明ではソーティングは鑑定書・鑑別書と同じように検査するが、業者間取引向けで表記が簡略。一般の人には通常の鑑定書・鑑別書を勧めるとされています。JTLも、ソーティングは再発行しないとしています。手元に残すなら、鑑定書か鑑別書を頼んでください。
色石(ルビー・サファイア・翡翠など)は、鑑別書で処理の有無が分かります。AGLの決まりでは、AGL会員機関の鑑別書は、コメント欄に処理の情報を記載することになっています。
手元の品で何ができるかは、写真を送って工房に相談できます。
なくしたときの再発行
再発行を頼めるのは、書類を発行した機関だけです。買った店ではなく、書類に名前のある機関に頼みます。
再発行の条件は、機関ごとに次のとおりです。
- ジャパンジェムグレーディングセンター:再発行するのは発行日から1年以内の書類に限るとしています。
- JTL:「再発行は、その機関に鑑別・鑑定を依頼した本人からの依頼に限る」としています。買った店が依頼した書類は、自分では頼めないことがあります。
- GIA:「GIAは紛失・破損・盗難のレポートの複写(再発行)をしない」という決まりです。代わりに、「2010年7月1日以降に発行されたレポートはPDF版を表示・ダウンロードできる」としています。
JTLのように依頼した本人しか頼めない機関では、買った店に「鑑定書をなくしました。番号の控えと、再発行の手続きを頼めますか」と聞いてください。
書類がなくても、番号があれば内容を確かめられる機関があります。GIAの鑑定書なら、レポート番号を入れて、機関のデータベースに残る内容と一致するかをウェブで確かめられる。中央宝石研究所は、鑑別書の照会を「宝石鑑別書は過去5年分、宝石ソーティングは過去2年分をウェブで照会できる(2024年7月1日発行分から)」としています。それより前の鑑別書は、照会の対象になりません。
新しく鑑定を頼む
再発行も照会もできないときは、新しく鑑定書か鑑別書を作ってもらいます。ダイヤの鑑定書は、JTLもGIAも、指輪から外した石でないと作りません。
鑑定書のためだけに石を外すと、外す・留め直す作業の代金が加わります。ある工房が公開している石外しと石留めの料金に、鑑定書の料金を足すと次のようになります。
- 石を外す(工房の公開例)
- 1,100円〜3,300円
- 石を留め直す(同じ工房の公開例)
- 3,300円〜22,000円
- 鑑定書を新しく作る(ジャパンジェムグレーディングセンター・0.2カラット以上2カラット未満)
- 3,960円
※ すべて税込。石外しと石留めはダイヤの大きさで上がります。送料は含みません。
リフォームで石を外すときに一緒に頼めば、外す作業が1回で済みます。外した石で指輪を作り替える値段の決まり方は、指輪リフォームの値段で確かめられます。JTLは個人の依頼を受け、郵送でも受け付けています。結果は原則として翌営業日に渡すとしています。
写真で分かること、現物で決まること
写真で決まるのは、どの手続きになるかと、石を外す必要があるかまでです。石と書類が合っているかは、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 書類の機関名と番号(書類があれば)
- 石が指輪に留まっているか、外した石か
- 留め方(爪か、金属で包む形か)と、外しやすさの見当
現物で決まること
- 石の重さ・寸法が書類の数字と合うか
- ダイヤの縁(ガードル)に番号の刻印があるか
- 爪の下の欠け・割れと、石を外せる状態か
石がぐらついている指輪は、鑑定の前に爪の状態も見てもらいます。石が取れる前の直し方は指輪の爪の修理代にあります。
作り替えるか迷っている段階なら、指輪と書類を一緒に撮って相談すると、外す作業と鑑定を1回にまとめる段取りまで含めて考えられます。そのとき「鑑定書を取り直したい」「同じ石か確かめたい」のどちらが目的かを書き添えると、話が早く進みます。
リフォームで同じ石か確かめる

リフォームで石を預けるときは、預ける前に石を特定できる記録を残し、受け取った後にその記録と照合します。店を疑う手続きではなく、行き違いを防ぐための手順です。
- 1預ける前鑑定書の番号と重さを控え、石を写真に撮る
- 2預けるとき店の人と一緒に石の特徴と大きさを確かめ、預かり証に書いてもらう
- 3受け取るとき写真・大きさ・鑑定書と見比べる
- 4気になるとき機関の照会や検証を頼む
預かるときの記録を公開している店もあります。ある宝飾店は、預かるときにダイヤを拡大して写真に撮り、直径・高さを電子ノギスで測るとしています。別の宝飾店は、預かり時に顕微鏡カメラで石の個体識別特徴を撮影・記録する店を選ぶよう勧めています。預かり証の書き方は、石の持ち込みで指輪を作る費用で確かめられます。
石を外す機会があるなら、ダイヤの縁に番号を刻んでもらう方法もあります。GIAでは、天然ダイヤの鑑定書(グレーディングレポート)に加えて、レーザー刻印を選択サービスとして頼める。公式の料金表では、0.15〜0.99カラットのダイヤにレポート番号を刻む料金は2,112円(税込・2026年7月1日から)です。日数は、頼む前に機関に確かめます。
受け取った後に同じ石か確かめたいときは、GIAに手持ちのGIAレポートとダイヤが同じものかを確かめる「レポートの検証」(レポート原本が必要・料金は適用レポート料金の50%)があります。
母の婚約指輪のダイヤを使うなら、母の婚約指輪のダイヤで婚約指輪を作るで手順を確かめてから預けてください。
鑑別に出さなくていい場合
鑑定書や鑑別書は、石の素性を確かめるための書類です。値段を知るための書類ではないので、目的に合わなければ取らなくて構いません。
反対に、天然か処理があるか分からない形見の色石を作り替える前や、高い石を外して別の指輪にする前は、鑑別書か鑑定書を取ってから預けると、受け取った後に照合できます。
今日やること
- 1書類を探す箱・保証書・買った店の控えから、番号と発行した機関の名前を探す
- 2発行した機関に聞く「◯◯番の鑑定書をなくしました。再発行できますか。期限と料金、必要なものを教えてください」
- 3預ける前に控えるリフォームするなら、番号・重さ・写真を控え、店の人と一緒に石を確かめてから預ける
