母や祖母から譲られた婚約指輪のダイヤで、新しい婚約指輪を作ることはできます。ダイヤを買わないぶん、払うのは主に新しい枠と加工の代金です。
失礼にならないか
失礼かどうかを決めるのは、決まりごとではなく、譲る人と受け取る人の気持ちです。母から譲られたダイヤを婚約指輪にする依頼を受けているある宝飾店も、相手に失礼なことも決してないと答えています。気をつけるのは順番です。ダイヤを譲る親と、受け取る相手の両方に、注文の前に話します。
きょうだいがいるなら、その指輪を誰が受け継ぐかも先に話しておきます。相手の家族がダイヤを譲る場合も、受け取る本人の希望を先に聞きます。
サプライズでプロポーズしたいなら、母のダイヤを見せて申し込み、枠とサイズは二人で決める方法があります。サイズが分からないまま作ると、あとでサイズ直しが要ります。デザインによってはサイズ直しが難しい指輪もあります(指輪のサイズ直しができないとき)。
ペンダントにするなら、形見の指輪をペンダントにする費用と立て爪の婚約指輪のリフォーム費用で費用の見当がつきます。
いくらかかるか
ほかの工房や宝飾店が公式サイトに出している、ダイヤを持ち込んで婚約指輪を作る料金は次のとおりです。どれも他店の公開例で、同じ金額で作れるという意味ではありません。
| 作り方 | 公開例 | 金額 |
|---|---|---|
| 料金の目安 | 公開例1 | 8万円台〜(税の表示なし) |
| 料金の例 | 公開例2 | 106,700円(税の表示なし) |
| 0.30カラットの作例 | 公開例3 | 130,000円(税込) |
| 見本の一粒の枠 | 公開例4 | 144,100円(税込) |
| 一から作る | 公開例5 | 170,000円+税〜(シンプルな枠) |
※ 公開例1は「〜から」の最低額です。どの例も、ダイヤの大きさや地金の相場で変わります。
見本の枠から選ぶ例や作例(公開例1〜4)より、一から作る例(公開例5)のほうが高くなっています。
母の婚約指輪の石を使い、両脇に小さなダイヤを2つ足したある工房の例では、元の枠の金属を下取り(店が買い取って代金から引くこと)に出し、支払いは81,500円でした(代金93,000円から下取り地金11,500円を引いた額・税の表示なし)。
外す・鑑定し直す・留める費用
枠の代金のほかに、元の指輪からダイヤを外し、鑑定し直し、新しい枠に留める費用がかかります。料金を作業ごとに公開しているある工房では、次のとおりです。
- 外す
- 1,100円〜3,300円(税込)
- 鑑定し直す(ソーティング)
- 3,300円〜7,700円(税込)
- 留める
- 3,300円〜22,000円(税込)
※ ソーティングは、鑑定書を作らずにダイヤの品質だけを調べる簡易な鑑定です。
※ ダイヤの大きさで前後します。枠の代金は別です。
新しい婚約指輪を買う場合と比べるときは、次の3つを並べます。
| 比べること | 母のダイヤで作る | 新しく買う |
|---|---|---|
| 払うお金 | 枠と加工の代金 | ダイヤと枠の代金 |
| ダイヤの質 | 母のダイヤで決まる | 予算で選べる |
| 期間 | 外す・調べる工程が加わる | 店の通常の納期 |
元の枠と、母の結婚指輪の金属
元の枠は、下取りに出すか、返してもらうかを選べます。下取りに出せば、その分だけ支払いが下がります。ある工房は、立て爪の枠の下取りを20,000〜25,000円くらいと案内しています。枠を手元に残したいなら、返却を頼みます。別の店は取り外した地金は返却するとしています。
母の結婚指輪など、使っていない金やプラチナの指輪を新しい枠の材料にしたいなら、最初に聞きます。ある工房は、使わなくなったジュエリーは、地金として使えるほか買い取りもできるとしています。溶かすと元の形と刻印は残らないので、その費用と注意は指輪を溶かして作り直す費用で確かめます。
手元の石でどんな形にできるかは、石と枠の写真を送って工房に相談できます。
ダイヤを確かめる
預ける前に、石の点検を受けます。持ち込みを受ける店のうち、公式サイトを確かめた3店は、どこも作る前に石を見ています。ある工房では持ち込んだダイヤの状態を宝石顕微鏡で確かめることが手順に入り、別の工房では宝石鑑定士がその場で無料の簡易鑑別をすると案内しています。
欠けのあるダイヤは、留め直すときに割れることがあります。ある宝飾店はダイヤモンドでも制作途中で割れることがあると書き、ある工房は加工中に破損した場合の補償は負わないとしています。2店とも、割れても補償しないと書いています。点検のときに「外したり留めたりして割れる心配はありますか」と聞き、心配があると言われたら、そのダイヤを使うかを考え直します。
母の代の鑑定書(ダイヤの品質を評価した書類)があれば、店に見せます。ただし、古い鑑定書は作り直せないことがあります。
- ある鑑定機関の再発行は1冊1,100円(税込)ですが、期限は発行日から1年以内です。
- 米国宝石学会(GIA)は、レポートの再発行はしないとしています。
- 新しく作るなら、ダイヤを指輪から外した状態で頼みます。ある鑑定機関では、新しく鑑定書を作るのはルース(裸石)の状態に限り、指輪などの製品の状態では作らないためです。同じ機関の鑑定書の料金は4,950円(税込・2カラット未満)です。
ブランドの枠で作るなら、鑑定書を求められることがあります。ある宝飾店は、一定の品質(グレード)以上のダイヤでなければ作り替えを受けないブランドがあり、その証明に鑑定書が要ると案内しています。発行元ごとの再発行の条件は、鑑定書・鑑別書は再発行できる?にまとめています。
持ち込みが受けられない条件
親のダイヤでも、石や店の方針によっては持ち込みを受けてもらえません。公式サイトに書かれている条件は次のとおりです。
- 持ち込みのダイヤで作らない:あるダイヤのブランドは持ち込みのダイヤモンドでの製作は受けないとしています。
- その店で買ったダイヤだけ:ある専門店はその店で買ったダイヤだけを新しいデザインに加工するとしています。
- 石の大きさ・形:ある工房は0.2〜1.39カラットの天然無色のラウンドブリリアントカットのダイヤだけを受け付けるとしています。別の店の一粒の枠は0.1カラットより小さい石には対応しないです。
- 最近買ったダイヤ:ある宝飾店はダイヤだけを最近買って枠だけを作る依頼は断るとしています。親から譲られた古いダイヤは、この条件には当たりません。
大きさと形の条件は、鑑定書の数字(カラットと形)で先に分かります。鑑定書がなければ、ダイヤの直径を測っておきます。
預けるときの記録

預けたダイヤが同じ石で戻ってくるか不安なら、預けるときに次の記録を残してもらいます。
預けるときに残してもらう記録
- ①写真ダイヤを拡大して撮るある工房の決まり:加工前に石を15〜20枚ほど撮影して特徴を記録する
- ②大きさ直径と高さを測るある宝飾店の決まり:預かるときにダイヤを拡大して写真に撮り、直径・高さを電子ノギスで測る
- ③預かり書写真と大きさを書き添える品名は「透明石」と書かれることがあり、それだけでは同じ石だと示せない
- ④鑑定書番号と写しを残す鑑定書があれば、預ける前に一緒に見てもらう
預かり書の品名について、ある宝石店の店長は、ダイヤの預かり書には「透明石」と書く(業界の慣習)と説明しています。自分でもスマホでダイヤを撮り、店の人と一緒に傷の位置を確かめてから預けます。
写真で分かること、現物で決まること
写真で分かるのは、どの形の枠に合いそうかと、費用の見当までです。使えるかどうかと総額は、ダイヤを見てから決まります。
写真で分かること
- ダイヤのおおよその大きさと形
- 今の留め方(立て爪など)と枠の素材の刻印
- 合いそうな枠の形の候補
現物で決まること
- 爪の下に隠れた欠けや傷
- 外して留め直せるか
- 元の枠の下取りの額と、確定した総額
指輪の正面・横・内側の刻印の写真と、鑑定書があればその番号を添えて写真で相談すると、どんな枠に合いそうかと費用の見当が先に分かります。そのとき「プロポーズの予定日」と「元の枠は下取りか返却か」も書き添えます。
期間
プロポーズの日から逆算して、早めに動きます。ある宝飾店は、記念日に間に合わせたいなら3〜6か月前に相談を始めることを勧めています。別の工房は、持ち込んだダイヤを外して中央宝石研究所で再鑑定してから作るため、通常より期間が長くなると案内しています。
作り替え全体の段取りと来店の回数は、ジュエリーリフォームの流れと期間で確かめられます。
今日やること
- 1親と相手に話す「母のダイヤで婚約指輪を作りたい」と、親には使ってよいか、相手には気持ちを聞く
- 2ダイヤと書類を撮る指輪の正面・横・内側の刻印と、鑑定書があれば番号を撮る
- 3聞くことを書き出す「枠・外す・留める費用を含めた税込の総額」「元の枠を返してもらえるか」「何月何日までに受け取れるか」
