石の種類が分からない指輪でも、作り替えは頼めます。分からないまま進めてよいかは、石の値打ちを知りたいかどうかと、作業で石に熱をかけるかどうかで決まります。
写真やアプリで分かること、鑑別で決まること
写真で分かるのは、石の色・形・大きさのおおよそと、留め方と、枠の刻印です。石が何の種類かは、写真では見当までしかつきません。
写真で分かること
- 色・形・カットと、おおよその大きさ
- 留め方と、爪の傷み
- 枠の刻印(Pt900・K18など)
鑑別(現物の検査)で決まること
- 石の種類
- 天然か合成か
- ガラス・貼り合わせ石か、処理の有無
天然か合成かが写真で決まらないのは、性質が同じだからです。宝石の研究機関GIAの説明では、合成石は、物理的・光学的・化学的な性質が天然の石と同じで、多くの人は、合成石と採掘された天然の石を見分けられないとされています。
見分ける手がかりは、石の中の小さな内包物や結晶が育った跡の模様です。合成石と天然の石には、内包物や成長の模様にわずかな違いがあり、鑑別士はその違いで見分けるとされ、鑑別では顕微鏡検査などの分析を行い、石の性質を判断し、処理を見つけるとされています。スマートフォンの写真から候補を出す判定アプリも、見た目から推し量る点は写真と同じです。
色が同じでも別の石のことがあります。赤い石なら、スピネルは長くルビーと間違えられてきたとGIAは書いています。ほかにも、合成スピネルは、サファイア・ジルコン・アクアマリン・ペリドットなど多くの天然の宝石に似せて使われるとされ、ガラスは、アメシスト・アクアマリン・ペリドットのような石の模造石として使われるともあります。
石が分からないと困るのは、作業の注意が決まらないこと

作り替えで困るのは、石の値打ちより、作業の注意が石ごとに違うことです。サイズ直しや石外しで、石に熱や力がかかるからです。GIAのお手入れの案内では、エメラルドには熱で既存のフラクチャーが広がるおそれがあり、オパールは高熱・急な温度変化でフラクチャーが入るおそれがあるとされています。フラクチャーは石の中のひびのことです。ルビーは通常の着用では熱に耐性があるとされる石です。
石の種類が分からないと、どの注意に合わせればよいかを決められません。石ごとの注意は宝石ごとの加工できる・できない一覧で確かめられます。種類が分からない石は、この一覧で熱にいちばん弱い石と同じ扱いにしてもらいます。
手元の品で何ができるかは、写真を送って工房に相談できます。
鑑別に出すか、出さないか
鑑別は、石の種類と、天然か合成か、処理があるかを調べる検査です。値段は付きません。ある鑑別機関の説明では、宝石の種類を科学的に特定するのが鑑別書、天然ダイヤの品質を4C(カラット・カラー・クラリティ・カット)で等級評価するのが鑑定書です。別の機関も、鑑別書は全ての宝石が対象、グレーディング・レポートはダイヤモンドのみ(4C)。どちらも価格は書かないとしています。
作り替えの前に鑑別に出す
- 高価な石かもしれない(ルビー・サファイア・エメラルドに見える)
- 作り替えた後に売る・人に譲るかもしれない
- 家族の間で、石の値打ちを確かめてから決めたい
鑑別に出さずに作り替える
- 身につけるのが目的で、値打ちは気にしない
- 小さな石が並んだ脇石で、主役ではない
- 鑑別の費用が、作り替えの費用に比べて重すぎる
ダイヤだと思っていた石が、調べたら別の石だったということもあります。ある宝飾店は、ダイヤモンドだと思っていた石を宝石店が調べたらジルコニアだった、ということはよくあると書いています。作り替えた後で分かるより、前に分かるほうが、デザインや予算を決め直せます。作り替えの値段がどう決まるかは指輪リフォームの値段にあります。鑑別の費用が作り替えの費用の何分の1かを見て、出すかどうかを決めます。
鑑別書とソーティングの費用
鑑別機関の公開料金で、色石の鑑別書1通の基本料金を確かめました。4機関の幅は2,640円から4,400円(税込)、中央値は3,675円です。送料や、処理を詳しく調べる追加の分析は別です。
| 書面 | 分かること | 他機関の公開料金 |
|---|---|---|
| 鑑別書 | 種類・天然か合成か・処理 | 4機関の中央値3,675円 |
| ソーティング(簡易鑑別) | 種類・天然か合成か(簡単な書面) | 1機関の例1石2,750円(税込) |
| 工房の簡易の鑑別 | 種類の見当 | 1工房の例3,300円+送料 |
※ いずれも税込の基本料金です。ソーティングは、鑑別書より簡単な結果の書面で、売るときの証明には向きません。工房の簡易の鑑別は、3,300円+送料で加工を頼む人に限って調べている例です。
期間は、早い機関では原則として翌営業日です。郵送なら、往復の日数が加わります。
枠に留めたまま鑑別できるか
指輪から石を外さなくても、種類の鑑別は受けられます。GIAは鑑別のレポートは、ルース(裸石)でも、指輪などにセットしたままの宝石でも依頼できるとしています。ただし、枠にセットされた石は寸法を測り、重さは量らないので、重さ(カラット)は確定しません。国内の機関では、ダイヤのグレーディング(鑑定)は製品の状態ではできず、ルース(裸石)で持ち込むとしている所があります。
種類を知りたいだけなら留めたまま、ダイヤの等級や正確な重さまで知りたいなら石を外してから、と分けて考えます。石を外すのは、作り替えのときに一度で済ませられます。
鑑別書の再発行や、預けた石と同じかの確かめ方は、鑑定書と鑑別書の違いで確かめられます。
合成石やガラスだったとき
合成石やガラスと分かっても、作り替えをやめる理由にはなりません。譲られた品なら、石の値打ちより、持っていた人の思い出が残す理由になります。ある工房は、譲られた品の石が、宝石だと思ったら合成石やガラスだった、という場合があると書き、続けて合成石やガラスでも、大切にされていた品ならお守りとして持つのも素敵なことだと書いています。
合成石と分かったときは、性質が天然と同じなので、作業の注意も天然の石と同じです。ガラスや貼り合わせ石のときは扱いが変わります。GIAの説明では、ダブレット(貼り合わせ石)は、2つの部分を接合した石です。貼り合わせた石には接着した面があるので、熱と洗浄機をどこまで使えるかを作業の前に聞きます。
キュービックジルコニア(ダイヤに似せた人工の石)だった場合は、GIAによると時間がたつと黄色くなるとされています。黄色みが気になるなら、作り替えのときに石を替える相談ができます。石の替え方は指輪の石だけ交換できる?にあります。
鑑別しないで作り替えるとき
鑑別しないで進めるなら、「石の種類が分からない」とはっきり伝えます。伝えることは次の3つです。
熱を石にかけない直し方は2つあります。熱に弱い石は一度外して保護しながら作業する工房と、熱に弱い石はレーザーロー付けで対応可能と案内する工房があります。
補償の額を石の値段から決める店もあります。ある専門店の補償は店が算出した一般的な市場価格の最大1割まで、上限30万円です。石が分からないと、この額の元になる値段が決まりません。分からないまま預けるなら、補償の扱いを先に書面で確かめます。預ける前には石の写真を撮り、大きさを測ってもらいます。ある工房は、預かり時の撮影画像を客の控えと工房の控えにその場で添付としています。
譲られた指輪を何に作り替えるかは、母や祖母から譲られた指輪を自分用に直すで決められます。立て爪の指輪なら、立て爪の婚約指輪を普段使いの指輪にリフォームする費用に作り方ごとの公開例があります。
今日やること
石の種類は写真では決まりません。それでも、鑑別が要るか、そのまま作業できそうかは、写真で相談できます。明るい所で、石の正面・真横・裏側と、枠の内側の刻印を撮って写真で相談するときは、誰から譲られたか、鑑別書や箱が残っているか、売るかもしれないかを書き添えます。
- 1指輪を撮る明るい所で、石の正面・真横・裏側と、枠の内側の刻印を撮る
- 2分かることを書き出す誰から譲られたか、鑑別書や箱が残っているか、売るかもしれないか
- 3写真を送る「石の種類が分からない指輪を作り替えたいです。鑑別が要るか、熱に弱い石として外して作業できるかを教えてください」と書いて送る
