形見のネックレスを使える形にする方法は、元の形のまま直す・チェーンだけ替える・トップを作り替える、の3つです。どれにするかは、着けられない理由がどこにあるかで決まります。
困りごと別の直し方と公開料金
着けられない理由ごとに、頼む作業と料金は次のとおりです。料金は、工房や宝飾店が公式サイトに載せている他店の公開料金を2026年10月に集めたもので、見積もりの額ではありません。
| 困りごと | 頼む作業 | 他店の公開料金 |
|---|---|---|
| チェーンが切れた | 切れた所をつなぐ | 2,000円〜 |
| チェーンが絡んだ | 絡まりをほどく | 1,650円(税込)(公開例) |
| 留め具が固い・壊れた | 引き輪(留め具)を替える | 3,550円〜 |
| 長すぎる | 切って短くする | 1,000円〜(税別)(公開例) |
| 真珠の糸が緩んだ | 糸替え | 2,400円〜 |
| トップの形が合わない | 石を新しい枠に留め直す | 30,000円〜 |
※ 「〜」の付いた額は、各店の最低料金の中央値です。税込・税別・税の表示なしが混ざります。チェーン・留め具はK18かプラチナ、作り替えはチェーン別で、元の金属の下取りを引く前の額です。
修理は数千円、作り替えは数万円からです。形見の形をそのまま残せるのは修理だけなので、修理で着けられるなら、まず修理から始めます。
元の形のまま直す
切れた・絡んだ・留め具の不具合は、どれも元の形のまま直せます。チェーンを切れた所でつなぐ作業は、公開料金で1,000円から7,150円の幅があります。細いチェーンや特殊な編み方のチェーンは、加算や別の見積もりになる店があります。
同じ所が何度も切れるチェーンは、直しても長くは持ちません。ある修理店は、チェーンごと替える目安を「同じチェーンで2回以上切れたら交換を検討」としています。何度も切れるなら、トップだけを残してチェーンを替える方法に進みます。
留め具の近くにK18やPt850などの刻印がないチェーンは、溶接(金属を溶かしてつなぐ作業)を断られることがあります。ある工房は、刻印のないチェーンは溶接せず丸カンでつなぐとしています。古い形見の品には刻印のないものもあるので、刻印がなくても偽物と決めつけず、写真で見てもらいます。
トップの石が爪で留まっているなら、爪のすり減りも一緒に見てもらいます。長く着けていた品は、チェーンより先に爪が傷んでいることがあります。爪の直し方と料金は指輪の爪の修理代と日数にあり、ペンダントの爪も同じ考え方です。チェーンの料金の内訳はチェーン修理の料金、絡まりはネックレスの絡まりをほどくで確かめられます。
自分の品を何に作り替えられるかは、写真を送って工房に相談できます。
長さとチェーンを決める
長さは、今いちばんよく着けているネックレスに合わせると決めやすくなります。そのネックレスを平らに置き、留め具の端から端までを測って、その長さを伝えます。
短くするのは、チェーンを切って留め具を付け直す作業です。ペンダントのトップがチェーンの真ん中に付いているネックレスは、片側だけを切るとトップが中心からずれます。ある工房は、ペンダントが中央にあるネックレスは両サイド2か所を切るため料金が変わるとしています。
切ったチェーンは、形見の一部です。ある修理店は短くするときに切ったチェーンはすべて返すとしていますが、最初に「切った分は返してください」と伝えておきます。一度切ったチェーンは元の長さに戻せないので、迷う長さなら長めに残します。長くする方法や料金はネックレスの長さ調整にあります。
トップを残してチェーンを替える
チェーンが細すぎる・太すぎる・何度も切れるなら、トップだけを残して、チェーンを替えます。新しいチェーンの代金は、他店がペンダントを作った実例から取り出すと11,370円から42,900円です。いちばん安い例(11,370円)と高い例(42,900円)で4倍近く違い、素材・長さ・太さで決まります。
チェーンを替えるときに伝えること
- ①長さ今いちばん着けているネックレスの長さ留め具の端から端までを測って伝える
- ②素材トップと同じ金属かトップの刻印(K18・Pt900など)を見て、同じ金属にするか決める
- ③太さトップの重さに合うかトップの重さと大きさを伝えて、合う太さを聞く
- ④元のチェーン返してもらうか形見のチェーンは下取りに出さず、返してもらう
家にある別のチェーンを使えば、チェーン代はかかりません。ただし、トップのチェーンを通す金具(バチカン)の穴に、そのチェーンの留め具が通らないことがあります。そのときの直し方は、ある宝飾店の説明で金具を削って通す、金具を大きく付け替える、ネックレスをいったん切って通してつなぐです。バチカンを替える料金は他店の公開料金の中央値で7,850円で、詳しくはバチカンの交換・修理の料金で確かめられます。
兄弟で分ける
1本のネックレスを兄弟や姉妹で分ける方法は、3つあります。
トップとチェーンを分ける
- 1人がトップ、1人がチェーンを持つ
- 手を加えないので費用がかからない
- トップを持つ人は別のチェーンを用意する
真珠を2本に分ける
- ロングの真珠ネックレスを2本にする
- 2本目の留め具が要る
- 1本ずつは短くなる
作り替えて2つにする
- トップの石や金属で2つの品を作る
- 元の形は残らない
- 加工代は2つ分かかる
ロングの真珠ネックレスを2本に分けた他店の公開例では、2本それぞれを、珠の間に結び目を作る通し方(オールノット)で糸替えしました。手持ちの留め具を使う場合が6,050円(手持ちの金具を使う場合)、店が留め具を用意する場合が8,690円(店が金具を用意する場合)でした(2023年時点の価格・期間は12日)。真珠ブランドの品は、そのブランドに頼むと自社品でも有料(長さと糸の仕様ごとの加工代に、アレンジ料金が加わる)です。
1つのペンダントを2つの品に作り替えた公開例では、ペンダントをピアスとペンダントに分けて加工代金29,000円+金具代金6,000円+チェーン代19,407円でした(税の表示なし・当時の価格)。
形見のジュエリー全体の仕分け方と家族での分け方は、形見のジュエリーをどうするかで確かめられます。
真珠のネックレスは先に点検する

真珠のネックレスは、使う前に糸を点検します。ネックレスの端を持って下げ、珠と珠の間を見ます。ある真珠店の目安では、珠の間に見える糸が5ミリ以上なら替え時です。
糸が切れて珠がばらけると、直すのに手間がかかります。同じ真珠店は、バラバラになった真珠ネックレスの組み直しは手間がかかり、通常より時間と料金がかかることがあると説明しています。緩んでいたら、着ける前に糸替えを頼みます。
短くするのは、珠を抜いて通し直すだけです。長くするには似た色の真珠を集めて足す必要があり、有料で時間もかかるとされています。本真珠でない品は、糸替えを断られることがあります(ある真珠店の注意書き:模造パール・貝パールは糸替え不可。3mm未満は不可の場合あり)。しまうときは、真珠ブランドの案内のとおり、真珠は他のジュエリーと接しないよう仕切りのある箱で分け、日光・高温多湿・極端な乾燥を避けるようにします。
糸の種類と料金は真珠ネックレスの糸替え、余った珠の使い道は真珠ネックレスのリメイク費用で確かめられます。
トップを作り替える・形見を足す
トップの形が今の服に合わないなら、石を外して新しい枠に留め直します。チェーン別の他店の公開料金の中央値は30,000円からです。石を足して作り替えた公開例では、加工代・足したダイヤ・足りない金属を合わせて76,767円でした(税の表示なし・チェーン別)。
形見のチェーンを溶かして、新しいトップの材料にする方法は向きません。ある工房は、チェーンは溶接箇所が多く、溶かして使う加工には不向きと説明しています。チェーンは溶かさず、そのまま使うか、返してもらいます。
金メッキや真鍮のネックレスは、溶接を使う直しができません。ある修理店も、真鍮・メッキ品は溶接を伴う直しができないとしています。留め具の近くに「GP」「GF」とあれば、メッキか貼り合わせの品です。刻印の読み方は刻印図鑑で確かめられます。
形見の指輪をネックレスに足したい・指輪をペンダントにしたいときの費用と流れは、形見の指輪をペンダントにする費用で確かめられます。
写真で分かること、現物で決まること
修理で済むか作り替えになるかは、写真で見当がつきます。料金が確定するのは、現物でチェーンの素材と傷み方を見てからです。
写真で分かること
- 切れ方・絡まり方と、留め具の形
- 留め具の近くの刻印(K18・Pt850・GP)
- トップの留め方と、チェーンとの太さの釣り合い
- 修理か、チェーン交換か、作り替えかの候補
現物で決まること
- 溶接できる素材か(刻印のない・メッキのチェーン)
- 糸の緩み、爪のすり減り
- 細いチェーンの加算や、同じ所が何度も切れた跡
- 作り替えるときの地金の重さ
撮るのは、ネックレス全体を平らに置いた1枚、留め具と刻印、トップの裏、切れた所や緩んだ所です。写真を送って相談するときに「元の形を残したいです。修理で済むか見てください」と書き添えると、修理で済む案から出てきます。
今日やること
- 1ネックレスを撮る全体を平らに置いて1枚、留め具と刻印、トップの裏、切れた所や緩んだ所を撮る
- 2長さを測る今いちばん着けているネックレスの長さを測り、どこまで短く・長くしたいか書き出す
- 3写真を送って相談する「母の形見のネックレスです。元の形を残して着けたいです。修理で済むか、チェーンを替えるか、税込の総額と期間を教えてください」と書いて、写真と一緒に送る
