刻印がPt900・Pt950だけで石の無い指輪なら、温泉に着けたまま入っても、変色の心配はほとんどありません。プラチナの広報機関がそう説明しています。変色しやすいのは、金に混ぜた銀や銅、シルバー、めっきなど、プラチナ以外の部分です。
変色の心配が無くても、温泉ではなくさないために外すほうが安心です。
プラチナが温泉で変わりにくい理由
プラチナは、温泉の硫黄にも汗にも強い金属です。プラチナの国際的な広報機関は、プラチナは温泉の硫黄分・漂白剤・プールの塩素・汗を気にせず身につけられると説明しています。同じ機関のコラムでも、純度の高いプラチナなら、着けたまま温泉に入っても変色の心配はほとんどないとしています。
ただし、指輪のプラチナは100%ではありません。硬さを出すために、ほかの金属(割金)を混ぜています。刻印の数字は千分率で、日本の品位の区分は999・990・950・900・850です。Pt900なら、1割がプラチナ以外の金属です。
| 割金の種類 | 錆びやすさ |
|---|---|
| パラジウム・ルテニウム・イリジウム | 錆びにくい |
| 銅・銀・コバルト | 錆びやすい |
※プラチナの広報機関の説明では、プラチナに混ぜる割金のうち、錆びやすいのは銅・銀・コバルト、錆びにくい割金はパラジウム・ルテニウム・イリジウムです。
同じ機関によると、日本のPt900はパラジウムを割金に用いた素材が主流です。パラジウムは錆びにくい側の金属です。ただ、割金は指輪ごとに違い、同じ機関はプラチナは純度が低いほど錆びやすいと考えられるともしています。割金が多いPt850の品は、気になるなら外して入ります。数字の意味の違いはPt900とはで確かめられます。
着けたままでよいか、刻印で決める
着けたままでよいかは、指輪の内側の刻印で決まります。プラチナに見えても、白い金やシルバーのことがあるからです。
| 刻印 | 温泉では | 理由 |
|---|---|---|
| Pt950・Pt900 | 着けたままでよい | 変色しにくい |
| Pt850 | 気になれば外す | 割金が多い |
| PtとK18が両方 | 外す | 金の部分が変わる |
| K18・K10・PG | 外す | 割金の銀・銅 |
| K18WG・WG | 外す | 中は金の合金 |
| SV925・SV | 外す | 硫黄で黒くなる |
| GP・めっき品 | 外す | めっきが黒くなる |
※PtとK18の両方の刻印は、2つの素材を組み合わせたコンビの指輪です。日本ジュエリー協会の表示の決まりで、複数の素材を使った製品は素材ごとに品位を表示(例 Pt900の部位にPt900、金の部位にAu750)とされています。
金の部分は、温泉の硫黄で黒ずむことがあります。K10の品を作る店の説明は「温泉の硫黄が割金の銀・銅と反応し、くすみや黒ずみの原因に。新品仕上げで磨き直し可」です。シルバーの黒ずみは、ある銀製品の店によると表面の水分が空気中の硫化水素・亜硫酸ガスと化合してできる硫化銀です。めっきの品については、あるアクセサリーの店が、硫化水素などで黒く変わるおそれがあるので、必ず外して入ると書いています。
チタンやステンレスの指輪も、着けたままがよいとは限りません。ある販売店は、温泉での扱いを「ステンレス・チタン・タングステンの品も、温泉ではできれば外す(硫黄成分で変色の恐れ)」として、できれば外すよう案内しています。刻印がPtでも、石が付いていれば次の章も確かめます。
自分の品だといくらで直るかは、壊れた所の写真を送って工房に相談できます。
硫黄泉と酸性泉で、気をつける品が違う
硫黄泉で気をつけるのは銀や銅を含む金属、酸性泉で気をつけるのは酸に弱い石や真珠です。
硫黄泉
- ゆで卵のような臭い
- シルバー・K18・K10・めっき品が黒ずむ
- プラチナだけの指輪は変わりにくい
酸性泉
- 酸が強く、肌への刺激も強い
- 真珠など酸に弱い品を外す
- めっき品・石付きの品も外す
青森県の温泉の案内では、硫黄泉は硫黄泉は硫黄を含んだ温泉で、湯は少し白く濁り、ゆで卵の腐ったような臭いがする、酸性泉は酸性泉は酸による殺菌力が強く、肌への刺激も強い温泉と説明されています。酸の強い温泉の例として、草津町は自町の温泉について「pH2.0前後の強い酸性で、五寸釘を湯川に入れておくと10日ほどで融けて無くなる」と案内しています。この釘は鉄で、プラチナが同じように溶けるわけではありません。それでも、酸に弱い品を持ち込む場所ではありません。
真珠は酸に弱い宝石です。GIA(米国宝石学会)は、真珠は多くの化学薬品と、あらゆる酸で傷むと説明しています。オパールは温度の変化に弱く、GIAによると高熱・急な温度変化でフラクチャーとのことです。露天風呂と脱衣所の行き来のような温度差を避けるため、石付きの指輪は泉質を問わず外して入ります。
プラチナが黄ばむ・黒ずむときの正体
プラチナの指輪が黄ばんだり黒ずんだりして見えるなら、プラチナそのものの変色を疑う前に、汚れか、プラチナではない部分かを確かめます。
黄ばみ・黒ずみの見分け方
- ①全体がくすむ汗・皮脂・せっけんの膜まず家で中性洗剤で洗う
- ②白い指輪が黄色いホワイトゴールドのめっき刻印がK18WG・WGなら、めっきのかけ直し
- ③一部だけ色が違うコンビの金の部分刻印にK18もあれば、その部分の変色
①の曇りについて、ある販売店はゴールドやプラチナについて「ゴールドやプラチナは変色しづらいが、汗や油分で曇る」と説明しています。
②のホワイトゴールドは、プラチナとは別の金属です。造幣局は、ホワイトゴールドは金が主体の白色系の金合金で、本来の「白金」(プラチナ)とは別物と説明しています。プラチナの広報機関も、ホワイトゴールドについてホワイトゴールドのメッキは時間がたつとはがれ、元の色が出て変色したように見えるとしています。黄ばみは、めっきをかけ直して白く戻す方法があります。料金はロジウムめっきのかけ直しで確かめられます。
③のコンビの指輪の金の部分や、金だけの指輪の赤茶・黒の変色は、金が変色・黒ずみしたらで戻し方を確かめます。シルバーの品ならシルバーの黒ずみへ進みます。
家での洗い方と、店に出す線
プラチナの指輪の汚れは、ぬるま湯と中性洗剤で落とします。重曹や酢は使いません。
- 1ぬるま湯に中性洗剤を溶かす台所用の洗剤を少し
- 2浸してから磨く柔らかい筆・ブラシ・綿棒で
- 3すすいで拭く眼鏡拭きのような柔らかい布で
この手順は、プラチナの広報機関の案内(ぬるま湯に台所用中性洗剤を少し溶かして浸し、柔らかい筆・ブラシ・綿棒で磨き、すすいで柔らかい布で拭く)と同じです。同じ機関は漂白剤や強い化学薬品を扱うときは、念のため外す方が安心としています。
洗ってよい品は限られます。ある宝飾店の案内では、ぬるま湯で洗えるのは石のない金・プラチナと、ダイヤ・ルビー・サファイアなど硬い石です。エメラルド・オパール・ターコイズは布で優しく拭く程度にとどめます。
洗っても曇りや黒ずみが残るなら、店の作業を考えます。汚れなら洗浄、細かい傷によるくすみなら新品仕上げ(表面の磨き直し)です。工房や宝飾店が公式サイトに載せている料金は次のとおりで、どれも他店の公開料金の最低額です。
| 作業 | 戻るもの | 他店の公開料金 |
|---|---|---|
| 洗浄 | 汚れ・曇り | 550円〜(プラチナ・ゴールド)/1,100円〜(税込) |
| 新品仕上げ | くすみ・小傷 | 6店の中央値2,100円 |
※新品仕上げは、指輪の最低料金を出している6店の中央値で、税込・税別・税の表示なしが混ざります。プラチナの行を分けて出している店では4,400円(税込)〜でした。
洗浄は、買った店で受けられることもあります。ある宝飾店は、その店で買ったジュエリーはいつでも無料としています。買った店が分かるなら、先にそちらに聞きます。
新品仕上げは表面を少し削る作業です。ある工房は、地金を研磨するので、わずかに地金が減るとしています。くすみが気にならないなら、何度も磨かずにそのまま着けて構いません。料金が上がる条件は指輪の新品仕上げの料金、家で洗える石と洗えない石はジュエリーのクリーニングで確かめられます。
写真で分かること、現物で決まること
洗っても戻らないとき、写真で分かるのは、変色した場所と刻印から見た原因の見当までです。洗浄で戻るか、磨き直しやめっきが要るかは、現物を見て決まります。
写真で分かること
- 刻印(Pt・K18・WG・コンビ)
- 色が変わった場所(全体か一部か)
- 石の有無と種類の見当
現物で決まること
- 汚れか、表面の変色か
- 磨くとどこまで戻るか
- 石を留める爪のゆるみ
内側の刻印と、色が変わった部分を明るい所で近くから撮れば、写真で相談することができます。温泉に入った日と、洗ってみたかも書き添えると、洗浄で足りるかの見当がつきやすくなります。石付きの指輪で、外し着けのときに石のぐらつきが気になったなら、爪・石座の修理も確かめておきます。
温泉で指輪をなくさない外し方

変色の心配が無いプラチナでも、温泉では外すほうが安心です。プラチナの広報機関は、水場は紛失のリスクが高まるので、入浴時は外しておくと安心としています。結婚指輪の会社のコラムも、温泉やお風呂に入るときには外すのがお勧めとしています。
外すのは部屋か、脱衣所に入る前にします。小さなケースか、ファスナー付きの袋に入れ、財布と同じ場所にしまいます。鍵付きのロッカーや部屋の金庫があるなら、そこに入れます。温泉から戻ったら、着け直す前に一度拭いておきます。
今日やること
- 1刻印を確かめる内側の刻印を見る。Ptだけなら着けたままでよく、K18・WG・SV・GPが入っていれば外す
- 2変色したら家で洗うぬるま湯と中性洗剤で洗い、柔らかい布で拭く。重曹や酢は使わない
- 3戻らなければ撮って聞く内側の刻印と色が変わった部分を撮り、「プラチナの指輪が温泉の後にくすみました。刻印は◯◯です。洗浄で戻るか、新品仕上げが要るかを教えてください」と書く
