ジュエリーの変色は、どの金属でできているかで原因も戻し方も変わります。素材が分からなくても、刻印と変わった色を見れば、家の手入れで戻りそうか、店の作業が要りそうかの見当がつきます。
まず刻印で素材を分ける
刻印は、指輪なら内側、ネックレスなら留め具の近くにあります。ピアスは、ポスト(耳に通す針)や裏側を探します。スマホのカメラで拡大すると読めます。
| 刻印 | 素材 | 家での手入れ |
|---|---|---|
| K18・K10・750 | 金 | 中性洗剤で洗える |
| Pt900・Pt950 | プラチナ | 中性洗剤で洗える |
| K18WG | ホワイトゴールド | 洗える。黄ばみは店で |
| SV925・Silver | 銀 | シルバー用のクロス |
| GP・RHP | メッキ | 乾拭きまで |
| 刻印なし | 分からない | 乾拭きまで |
※洗えるのは、石のない品か、硬い石の品です(下の「家でしてよいこと」)。金の数字は、日本ジュエリー協会の表示規定でK24=999、K22=916、K20=833、K18=750、K14=585、K10=416、K9=375、K8=333(千分率)です。
GPとRHPは、表示規定でGP=金めっき、RHP=ロジウムめっき、PTP=プラチナめっきを表します。めっきの表示は最表面の皮膜金属を表すので、GPの品は表面だけが金で、中の金属は別です。「K18 RHP」のように金の刻印に続くときは、金の上にメッキをかけた品です。
刻印のないアクセサリーは、貴金属でないことがあります。ある修理店は、ブランドやアパレル店のアクセサリーについて「ハイブランドやアパレル店のアクセサリーは、金・プラチナではなく真鍮や亜鉛でできている品が多い」と説明しています。刻印の読み方は刻印図鑑、刻印のない品の素材の確かめ方は刻印がない指輪やネックレスにあります。
色で分かる原因の見当

変わった色を見ると、どの金属が反応したかの見当がつきます。
| 色 | 反応した金属 | 多い素材 |
|---|---|---|
| 全体が曇る | 汚れ(汗・皮脂) | どの素材も |
| 黒 | 銀・割金 | シルバー・K10・メッキ |
| 赤茶・赤っぽい | 銅 | K10・PG・シルバー |
| 緑・青緑 | 銅(緑青) | 真鍮など銅を含む品 |
| 黄ばむ | メッキの剥がれ | WG・RHP |
全体の曇りは、変色ではなく汚れのことがあります。ある販売店は「ゴールドやプラチナは変色しづらいが、汗や油分で曇る」と説明しています。
黒と赤茶は、銀や、金に混ぜた金属(割金)の反応です。ある宝飾店の説明では、金に混ぜた銀や銅(割金)が酸化・硫化して、黒ずみやくすみが出ることがあるとのことです。ある専門店も、金は影響を受けにくいが、割金に銀を使った金や、銅を混ぜたピンクゴールドは変色に注意としています。シルバーの黒ずみは表面の水分が空気中の硫化水素・亜硫酸ガスと化合してできる硫化銀で、あるアクセサリーの店は、シルバーが赤っぽくなる主な原因は、素材に含まれる銅の酸化としています。
緑や青緑は、銅のさびです。辞書の説明では、緑青は、銅または銅合金の表面に生じる緑色のさびです(緑青は「ろくしょう」と読みます)。真鍮は銅と亜鉛を混ぜた合金で、ある工房は真鍮は時間とともに変色すると書いています。
黄ばみは、白いメッキが剥がれて下の色が出たものです。プラチナの広報機関も、ホワイトゴールドのメッキは時間がたつとはがれ、元の色が出て変色したように見えるとしています。銀にメッキをかけた品は逆に黒くなることがあり、あるブランドはメッキをかけたシルバーは、メッキが剥がれた所から硫化が始まって黒くなることがあると説明しています。
素材ごとの詳しい原因と戻し方は、次の記事にあります。
- 金(K18・K10・ピンクゴールド):金が変色・黒ずみしたら
- シルバー:シルバーの黒ずみの落とし方
- プラチナ:プラチナは変色するか
- 真鍮・ステンレス・チタン:真鍮のアクセサリーの黒ずみ・ステンレスやチタンの指輪の変色
- 着けた指や首が黒く・緑になる:指輪で指が黒く・緑になる
自分の品だといくらで直るかは、壊れた所の写真を送って工房に相談できます。
家でしてよいこと
素材が分からないうちは、やわらかい布で乾拭きするところまでにします。刻印でK18・Ptと分かり、石が付いていないか硬い石なら、ぬるま湯と中性洗剤で洗えます。
- 1道具をそろえる容器・40度前後のぬるま湯・中性洗剤(食器用で可)・柔らかいブラシ・タオル
- 2やさしく洗うブラシで内側やすき間をなでる
- 3すすいで拭く洗剤を残さず、布で水気を取る
洗ってよい品は限られます。ある宝飾店の案内では、ぬるま湯で洗えるのは石のない金・プラチナと、ダイヤ・ルビー・サファイアなど硬い石です。エメラルド・オパール・ターコイズは布で優しく拭く程度にとどめます。
メッキの品は、磨いても光りません。あるメッキ加工会社は、金メッキはこすると減ってなくなるので、磨いても光らないと説明しています。漂白剤が付いて変色した品も、家では戻せません。ある専門店は、塩素系漂白剤などの塩化で変色したアクセサリーは、自分では元に戻せないとしています。
店の作業と、公開されている料金
家で戻らない変色は、店の作業で戻すことになります。作業は、汚れを落とす洗浄、銀の黒ずみを取る変色取り、表面を磨く新品仕上げ、メッキのかけ直しの4つです。下の料金は、ほかの工房・宝飾店が公式サイトに載せている最低料金の集計です。
| 作業 | 戻るもの | 公開されている最低料金 |
|---|---|---|
| 洗浄 | 汚れ・曇り | 公開例1は1点500円から |
| 変色取り | 銀の黒ずみ | 公開例2は1,100円〜(税込) |
| 新品仕上げ | 金・Ptの変色 | 6店の中央値2,100円 |
| ロジウムメッキ | WG・RHPの白さ | 6店で1,100円から8,800円 |
| 金メッキ | GPの金色 | 3店で3,300円から4,400円 |
※どれも指輪1点の「〜から」の額で、税込・税別・税の表示なしが混ざります。
新品仕上げは、表面を少し削って変色や小傷を取る作業です。ある工房は、地金を研磨するので、わずかに地金が減るとしています。細い品や、何度も磨いた品は、仕上げの前にその旨を伝えます。作業の中身は新品仕上げにあります。
メッキの品は、全体にかけ直すと色が戻ります。あるブランドも、コーティングした品の黒ずみは、再メッキで元の色に戻せるとしています。料金と持ちは、白いメッキならロジウムメッキのかけ直し、金色なら金メッキが剥がれたらで確かめられます。
かけ直せない素材もあります。あるメッキの店は、受けない素材にタングステン・チタン・アルミ・特殊な合金・プラスチックを挙げ、別の店もステンレスや合金にはメッキできないとしています。
写真で分かること、現物で決まること
写真で分かるのは、どの作業になりそうかの見当までです。中の金属と、削ってよい厚みは、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 刻印の文字
- 変色の色と、全体か一部か
- メッキが剥がれた範囲の見当
現物で決まること
- 刻印どおりの素材か、メッキの下は何か
- 磨いて取れる変色か
- 仕上げで削れる厚みが残っているか
刻印と変色した所を、明るい場所で近くから撮ります。その写真で相談すると、洗浄で戻りそうか、仕上げやメッキが要りそうかの見当が分かります。どの作業にするかと料金は、現物を見てから決まります。
変色を繰り返さないために
汗や水に触れる場面では外します。温泉では、メッキの品も外します。ある専門店は温泉が原因でメッキが剥がれることがあるとし、あるブランドも硫化水素などで黒く変わるおそれがあるので、必ず外して入ると書いています。シルバーは、しまい方でも変わります。あるシルバーアクセサリーの店は、酸化を防ぐため、ティッシュに包んでビニール袋などに入れ、できるだけ空気に触れないようにしまうよう勧めています。
同じ品の変色を繰り返すなら、変色しにくい素材を選びます。
| 素材 | 変色 |
|---|---|
| K24(純金) | しにくい(柔らかい) |
| プラチナ | しにくい |
| ステンレス | しにくい |
| K10・シルバー・真鍮 | しやすい |
※ある工房の説明では純金(K24)は柔らかいが、変色や錆びに強い。プラチナの広報機関は、プラチナは温泉の硫黄分・漂白剤・プールの塩素・汗を気にせず身につけられるとしています。ステンレスのメーカーの説明では、ステンレスはクロムを含むことで、表面に安定した酸化物の膜(不働態皮膜)ができ、破れても自然に補修されるとのことです。
気に入った形の品が真鍮やメッキなら、同じ形をK18やプラチナで作り直す方法もあります。素材の比べ方は指輪の素材の選び方、今の品を溶かして別の形にする方法は指輪を溶かして作り直すにあります。ピアスで針の部分だけを替えたいなら、ピアスのポスト交換へ進んでください。
今日やること
- 1刻印を探す指輪の内側・留め具の近く・ポストの根元を拡大して読む
- 2乾拭きするやわらかい布で拭く。K18・Ptで石がなければ中性洗剤で洗う。酢・重曹・研磨剤は使わない
- 3撮って相談する戻らなければ、刻印と変色した所を明るい所で近くから撮り、「洗浄で戻るか、仕上げやメッキが要るか」を聞く
