指に付いた黒や緑の色が、ぬるま湯と石けんで洗って落ちるなら、指輪の汚れや金属のサビが肌に付いたものです。黒・灰色なら化粧品や皮脂の汚れ、銀の黒ずみ、メッキの下地のどれか、緑・青なら銅を含む素材のサビのことがあり、刻印で見当がつきます。かゆみ・赤み・水ぶくれがあるなら、色とは別の問題として指輪を外し、皮膚科で確かめます。
付いた色か、肌の異常かを先に分ける
跡をぬるま湯と石けんで洗って、落ちるかを見ます。落ちれば、肌の上に付いた色です。ある工房は、青い色移りは皮膚にサビが付いただけの汚れで洗えば落ち、金属アレルギーとは別。赤み・かゆみ・水ぶくれが強ければ皮膚科に相談と説明しています。
| 肌の様子 | 考えられる原因 | まずすること |
|---|---|---|
| 黒い帯・洗うと落ちる | 化粧品・皮脂の汚れ | 指と指輪を洗う |
| 黒・灰色(シルバー) | 銀の黒ずみ | 指輪の黒ずみを取る |
| 黒・緑(メッキの品) | 下地の金属 | 刻印を見る |
| 緑・青 | 銅のサビ | 洗って刻印を見る |
| かゆみ・赤み・水ぶくれ | かぶれ | 外して皮膚科へ |
洗っても色が落ちない、痛みや腫れがある、というときも、色移りと決めつけずに指輪を外し、医療機関で確かめます。国民生活センターも、アクセサリーで皮膚にかゆみやかぶれが出たら使用を止め、医療機関を受診するとしています。
黒くなる原因:汚れ・銀・メッキ
黒い跡の原因は、肌の上の汚れか、指輪の金属の色のどちらかです。
化粧品や皮脂の汚れ。 ある宝飾ブランドの職人は、日焼け止め・ハンドクリーム・ファンデーションの成分が肌に残ったまま着けると、皮脂や汗と混ざり、指輪との摩擦で皮膚に黒い帯状の汚れが残ることがあると説明しています。この場合は、クリームがなじんでから着けると減ることがあります。同じ職人はハンドクリームや日焼け止めは、肌になじんで表面が乾いてから指輪を着けるとしています。ある工房も、手洗い後の水分やハンドクリームの油分が金属と皮膚の間に残ると、反応を進めやすいとしています。
銀の黒ずみ。 シルバーの指輪の黒ずみの正体は、銀製品の店の説明では表面の水分が空気中の硫化水素・亜硫酸ガスと化合してできる硫化銀です。ある工房は、銀は空気中の硫黄成分と反応して黒くなり、その黒ずみが指に付くと灰色〜青っぽい汚れに見えることがあるとしています。肌に移る元は指輪の黒ずみなので、指輪の黒ずみを取ります。取り方はシルバーの黒ずみの落とし方にあります。
メッキの下地。 メッキは表面の薄い膜で、すり減ると下の金属が肌に触れます。ある工房は、ロジウムメッキやプラチナコートは数ミクロンしかなく、すり減ると下地の金属が出て、銅や銀を含む下地なら反応すると説明しています。ホワイトゴールドやシルバーの品にも、メッキがかかっていることがあります。ある工房は、ホワイトゴールド・シルバーの製品には通常ロジウムメッキがかかっているとしています。
18金やプラチナでも起きるか
18金でも、黒ずむことはあります。金に銀や銅を混ぜて作るからです。ある宝飾店は、金に混ぜた銀や銅(割金)が酸化・硫化して、黒ずみやくすみが出ることがあると説明しています。K10やK14は、K18より金以外の金属が多くなります。ある販売店は、K10とK18について同じ環境に置いた場合、K18のほうが変色しにくいとしています。
プラチナは、変色の心配が少ない素材です。プラチナの広報機関は、プラチナは温泉の硫黄分・漂白剤・プールの塩素・汗を気にせず身につけられるとしています。プラチナの指輪で跡が付くなら、まず化粧品や皮脂の汚れを疑って洗います。
自分の品だといくらで直るかは、壊れた所の写真を送って工房に相談できます。
緑・青になる原因:銅のサビ
緑や青の跡は、指輪に含まれる銅から出たサビの色のことがあります。ある工房は、銅を含む地金(真鍮・銅合金)は汗や皮脂の成分と反応して青緑色のサビ(銅塩)ができ、皮膚に付くと指が青っぽく見えると説明しています。ある宝飾ブランドも、指が青くなるのは指輪にできた緑青(ろくしょう)というサビが原因のことがあり、真鍮の指輪で起きやすいとしています。
銅を含むかは、刻印で見当がつきます。刻印は指輪の内側か、ネックレスの留め具の近くにあります。
| 刻印 | 素材 | 銅との関係 |
|---|---|---|
| SV925 | シルバー | 割り金に銅が多い |
| K10・K14 | 金 | 金以外の金属が多い |
| GP | 金メッキ | 下地の金属が出る |
| なし | 真鍮のことがある | 真鍮は銅の合金 |
※日本ジュエリー協会の表示規定では、品位925の銀合金はSterling/Sterling Silverと表示できる(割り金は銅が多い)とされています。金の割合は、同じ規定でK24=999、K22=916、K20=833、K18=750、K14=585、K10=416、K9=375、K8=333(千分率)です。GPも同じ規定の記号です(GP=金めっき)。真鍮について、ある販売店は真鍮は銅と亜鉛の合金で、緑青は中の銅から出るサビと説明しています。
金メッキの品は、使ううちに下の金属が出てきます。ある宝飾店も、メッキ加工されたジュエリーは、使用頻度によって年月とともに地金の色が出てくるとしています。
刻印がK18やPt900なのに緑・青になるときは、磨いたときの研磨剤が残っていることがあります。ある宝飾ブランドは、指輪を磨いたときの研磨剤が残っていると、汗と反応して指が青く染まることがあり、内側をよく拭けば防げると説明しています。内側をよく洗って拭けば、止まるかが分かります。刻印の読み方は刻印の図鑑で確かめられます。
かゆみや赤みがあるとき
かゆみ・赤み・水ぶくれは、色が付くこととは別に考えます。金属アレルギーは、すぐには出ないことがあります。皮膚科の説明では、触れてから半日〜数日かけて出る遅延型の反応です。同じ皮膚科は、かゆみや赤みに気づいたら指輪を外して肌を休ませるとしています。
洗剤については、ある宝飾ブランドの職人が指輪と指のすき間に残った洗剤の成分が長く肌に触れると、かゆみや赤み(接触性皮膚炎)を起こすと説明しています。
原因になりやすい金属として、国民生活センターはニッケルによるアレルギーは発症頻度が高いとしています。メッキの品は、下地にニッケルが使われていることがあります。あるメッキ加工の店は、メッキの密着性を高めるため、下地にニッケルを使う場合があるとしています。
メッキやコーティングで防げるか
指輪の表面を覆う方法は、一時的な対処です。皮膚科の説明では、コーティングは使ううちにすり減り、はがれると再び金属が肌に触れるとのことです。同じ皮膚科は、コーティングは一時的な対処で、症状が強いときや膜が傷んだときは素材ごと見直すほうが安全としています。皮膚科で原因の金属が分かった後の指輪の選び方は、金属アレルギーが出た指輪はどうするで確かめられます。
指と指輪の洗い方

指に付いた色は、ぬるま湯と石けんで落とします。ある工房の手順では、ぬるま湯と中性石けんで洗い、落ちにくければベビーオイルやオリーブオイルをコットンでなじませて拭き、その後石けんで洗うとのことです。同じ工房は、漂白剤やクレンザーなど刺激の強いものは皮膚を傷めるので使わないとしています。
- 1ぬるま湯に中性洗剤を溶かす食器用の洗剤でよい
- 2内側を柔らかいブラシでなでる汚れと研磨剤の残りは内側にたまる
- 3すすいで乾いた布で拭く水気を残さずに着ける
メッキの品は、研磨剤入りのクロスで磨きません。ある修理店は、研磨剤入りのクロスで強く磨くと、メッキがはがれると注意しています。洗い方の細かい注意はジュエリーのクリーニングにあります。
跡を付けないためには、肌と指輪の間に汚れや水分を残さないことです。
- 指輪がきつくて汗がこもるなら、サイズを直す(ある工房の説明では指輪がきついと空気の流れが悪くなり、汗や皮脂から汚れにつながるので、汗がこもるならサイズを調整する)
- 角が立った指輪は、内側を丸くする仕上げも選べる(ある職人の説明では指に触れる角を丸く落とした仕上げや、内側に丸みを持たせた内甲丸の指輪は、肌当たりが優しく水抜けもよい)
何号直すといくらかは、指輪のサイズ直しの料金で確かめられます。
洗っても止まらないときの店の作業
洗っても跡が付き続けるなら、指輪の表面に原因が残っています。店に頼む作業は、原因ごとに次の4つです。金額は、工房や宝飾店が公式サイトに載せている料金を集めたもので、どれも最低料金(「〜から」)です。品の状態で上がります。
| 作業 | 向く原因 | 他店の公開料金 |
|---|---|---|
| 洗浄 | 内側の汚れ・研磨剤 | 1点500円から、1,100円〜(税込) |
| 新品仕上げ | 指輪の黒ずみ | 6店の中央値 2,100円 |
| メッキのかけ直し | 下地が出た | 6店で1,100円から8,800円 |
| 素材を替える | 銅・メッキの品 | 品ごとの見積もり |
※洗浄の2件は、1件目が税の表示なし、2件目が税込です。新品仕上げは指輪の最低料金の中央値で、チェーンは4店の中央値で2,000円です。メッキのかけ直しは指輪1本のロジウムメッキの最低料金の幅です。新品仕上げとメッキは、税込・税別・税の表示なしが混ざります。
シルバーの指輪には、メッキをかけて黒ずみを抑える方法もあります。ある工房の説明では、シルバーにロジウムメッキをかけると、さびにくくなる(完全に止まるわけではない)とのことです。メッキの持ちはロジウムメッキのかけ直し、金メッキの品は金メッキが剥がれたらで確かめられます。
繰り返すなら素材を替える
真鍮やメッキの品で、洗っても直しても跡が繰り返すなら、素材を替える時期です。気に入った形を金やシルバーで作り直すことは、仕様によってはできます。費用は形と素材で変わり、品を見てからの見積もりになります。真鍮の品の扱いは真鍮のアクセサリーの変色、今の金の指輪を溶かして作り直す方法は指輪を溶かして作り直すにあります。
写真で分かること、現物で決まること
刻印と肌の跡の写真があれば、原因の見当と直し方の候補までは分かります。素材が刻印どおりか、どの作業で止まるかは、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 刻印の文字(K10・SV925・GPなど)
- 内側のメッキのはがれや変色の場所
- 肌の跡の色と、指輪が当たる所
現物で決まること
- 刻印どおりの素材か
- 洗浄・仕上げ・メッキのどれで止まるか
- 作業の最終の料金
かぶれかどうかは、写真でも店でも決まりません。皮膚科で確かめます。
洗浄で済むか、メッキや作り直しまで要るかの見当を知りたいなら、内側の刻印と、外した直後の肌の跡を明るい所で撮って写真で相談することができます。そのとき、1日に着けている時間と、かゆみがあるかを書き添えます。
ネックレスで首が黒くなるとき
首の跡も、色と刻印で原因を見分けます。留め具の近くの刻印を見て、チェーンと留め具を洗います。黒ずみが取れないチェーンの仕上げは、チェーンの新品仕上げで確かめられます。
メッキのチェーンは、かけ直しを受けない店があります。ある宝飾店は、チェーン類の再メッキは受けていないとしています。メッキのチェーンで跡が続くなら、チェーンだけを金やシルバーのものに替える方法もあります。
今日やること
- 1指と指輪を洗うぬるま湯と石けんで指を、中性洗剤で指輪の内側まで洗い、乾かしてから着ける
- 2刻印を確かめる指輪の内側か、ネックレスの留め具の近く。SV925・K10・K14・GP・刻印なしなら、銅やメッキの下地を疑う
- 3次の手を決めるかゆみや赤みがあれば外して皮膚科へ。色だけが洗っても続くなら、刻印と肌の跡を撮り、洗浄・仕上げ・メッキ・素材替えのどれが要るかを聞く
