ブランドのジュエリーでも、自分で着けるための作り替えを受ける工房はあります。気をつけるのは、作り替えた後にそのブランドの保証と正規店での修理が受けられなくなることがある点です。売る・フリマに出す予定があるなら、話が変わります。
自分で使うなら、失うのは保証と修理
自分で着けるために作り替えるなら、まず確かめるのはブランドの決まりです。ブランドの中には、他の店で手を加えた自社の品を、その後は受け付けないところがあります。
| ブランド公式の書き方 | 作り替えた後 |
|---|---|
| 他社で加工した品は受けない | 正規店で直せない |
| 他社で手入れした品・譲られた品は扱わない | 正規店で直せない |
| 正規以外での加工・修理による損傷は責任を負わない | 保証が切れることがある |
TASAKI は、他社商品・他社で加工した自社商品は受付不可としています。アイプリモは、自社商品のみ。他社でメンテナンスした品・譲渡された品は取り扱わないとしています。ショーメは、正規販売店以外での加工・修理・分解で生じた損傷は責任を負わないとし、正規の店以外で修理された場合、品質が損なわれ、保証の対象外になることがあるとしています。持っている品のブランドが違うなら、公式サイトの「アフターサービス」か「よくある質問」で、他社で加工した品の扱いを探します。
作り替えは、サイズ直しや修理よりずっと大きく手を加える作業です。作り替えた品は正規店に戻れないことがある、と考えて決めます。受けるかどうかはブランドが決めるので、迷うなら作り替える前に正規店に聞いておきます。
元の形のまま直したいだけなら、作り替えではなく修理です。保証が残る品と切れた品の分け方はブランドのジュエリーを正規店以外で直すときで確かめられます。
売る・フリマに出すなら、作り替える前に決める
作り替えた品を売るなら、フリマの規約で出品できないことがあります。メルカリは、禁止出品物に「ブランド品の全部または一部を加工したリメイク品」を挙げています。権利商品のロゴ・デザイン・マークを許諾なく使っていると判断される商品も禁止です。
ロゴを消しても、説明にブランド名を書けば同じ扱いになることがあります。メルカリは、商品名や説明に、権利侵害のおそれがあるブランド名を「xx風」「xx系」「xxタイプ」などと書くことも禁止しています。「元は◯◯の指輪です」と書く出品も、この決まりに当たらないかを確かめてください。違反と判断されると、取引キャンセル・商品削除・利用制限などの措置があります。
法律では、商標法がブランドの名前やロゴを守っています。商標法2条1項1号は、商標を「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」と定めています。つまり、事業として商品を作ったり売ったりする者が使う印です。ロゴなどを付けた商品を売る・ネットで提供することも、同じ法律で商標の「使用」の1つとされています。
侵害には罰則があり、78条は10年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金(両方の場合もある)としています。ロゴを消して形だけ似せた品は、不正競争防止法2条1項3号の他人の商品の形態をまねた商品を譲渡するなどの行為が関わることがあります。
自分の場合がどの条文に当たるかは、条文を読んだだけでは決められません。売る予定があるなら、作り替える前に弁理士か弁護士に聞いてください。売らずに自分で着けると決めたなら、気にするのは前の章の保証と修理だけです。
家族に譲るときも、ブランドの決まりは変わりません。正規店は、譲られた品や他社で加工した品を受けないことがあります。目的で判断するブランドもあり、ミキモトは真珠のネックレスの糸替えの案内で修理は正規品のみ受け、営利や転売の目的と判断した場合は断るとしています。
自分の品を何に作り替えられるかは、写真を送って工房に相談できます。
刻印・ロゴを残すか
ブランドの刻印は、一度消えると元に戻らないと考えます。ある修理店は、ブランドの刻印は、正規店以外の修理店では打ち直せないとしています。別の工房も、メーカー・ブランドの刻印は再刻印しないとしています。
残すか消すかは、作り替えた後に何をしたいかで決めます。
残す
- 元のブランドの品だったと分かる
- 刻印やロゴを避けて加工するので、形の自由が減る
- 売るなら、ロゴの付いた加工品になる
消す
- 形を自由に変えられる
- 元のブランドの品だと示すものがなくなる
- 後から刻印を入れ直すことはできない
刻印やロゴを避けて加工した例もあります。ある宝飾店は、ブランドの指輪のサイズ直しで3号小さくしても、側面のブランドロゴをそのまま残したとしています。別の指輪では、下側の刻印を避けて切ったとしています。残したい刻印があれば、頼む前に写真で場所を示してください。
ブランドの石や地金を使う

ブランドの指輪の石を外して、別の枠に留め直すことはできます。ただし、石を外す作業では、割れたときの補償を受けない店があります。ある工房は、破損の弁償保証は対象外とするサインをしてから石外しをするとしています。
本物と確かめられない品は、受けない工房もあります。ある宝飾店は、類似品・模倣品と判断した品は断るとしています。保証書や購入時の書類があれば、一緒に用意してください。
ブランドの地金を溶かして、新しい品の材料にすることもできます。溶かせる素材は限られ、ある工房はPt950・Pt900・Pt850・K18WG・K18YGは溶かして成形できるとしています。溶かすと元の形にもブランドの刻印にも戻せないので、溶かす前に写真を残しておきます。石を外す作業そのものの料金は指輪の石外しの料金で確かめられます。
費用
ブランド品の作り替えでは、ブランド品であることを理由に追加料金がかかることがあります。ある工房の料金表には「ブランド品は追加料金がかかる」とあります。別の工房は、サイズ直しに10,000円(ブランド基本料・税表記なし)を設けています。サイズ直しそのものの料金の決まり方は指輪のサイズ直しの料金にあります。
作り替えの料金は、ブランドかどうかより、何に作り替えるかで決まります。工房や宝飾店が公式サイトに載せた料金を集めると、指輪をペンダントにする作り替えで、飾り部分だけの最低料金が22,000円から44,000円、チェーン込みの実例が56,800円から102,300円でした。最低料金は税込と税別の店が混ざり、チェーン込みの実例は税込です。どちらも他店の公開例で、同じ金額で作れるという意味ではありません。
| 見積もりで確かめること | 理由 |
|---|---|
| ブランド品の追加料金 | 料金表の額に足される |
| 石を外すときの補償 | 補償しない店がある |
| 刻印を残す加工の可否 | 形の選び方が変わる |
指輪をペンダントにする流れは形見の指輪をネックレスにする費用、指輪から指輪への作り替えは指輪リフォームの値段で確かめられます。
写真で分かること、現物で決まること
写真で決まるのは、方法の候補と見当の金額までです。刻印を避けて切れるか、石が無事かは、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 刻印・ロゴの位置と、避けて加工できそうか
- 石の数と留め方
- 残せそうな部分の候補
現物で決まること
- 刻印を避けて切れる幅があるか
- 爪の下の石の割れ・欠け
- 刻印どおりの素材か、ブランド品の追加料金がかかるか
残したい刻印の場所に印を付け、全体・内側の刻印・石の正面を撮って写真で相談すると、残す前提の案が出やすくなります。そのとき「自分で着けるために作り替えたい」と用途も書き添えます。
作り替えを待ったほうがいいケース
売るかどうかを決めていないなら、作り替える前に、まず決めてください。売らないと決めた品なら、考えるのは保証を手放してもよいかだけです。
今日やること
- 1保証を確かめる保証書の期間と、正規店で無料の修理が残っていないかを見る
- 2残すものを決める刻印・ロゴ・石・地金のうち、残したいものに印を付ける
- 3写真を送る「ブランドの指輪を自分で着けるために作り替えたいです。内側の刻印は残したいです。石はそのまま使えますか」と書いて、全体と刻印の写真を送る
