父や祖父の指輪を自分の指に合わせる方法は、縮めて着ける・溶かして細い指輪に作り替える・石を外して移す、の3つです。父の指輪と自分の指の号数がどれだけ離れているかで、まず縮められるかが決まります。
号数の差で決まる
父の指輪を娘の指に合わせると、縮める幅が何号にもなります。どこまで縮められるかは、元の号数に対する割合で考えます。
- 父の指輪
- 20号
- 自分の指
- 10号
- 縮める幅
- 10号(元の号数の5割)
※ 号数は計算の仕方を見せるための仮の値です。
ある工房は、元の号数の30%以上を変えるのは大幅なサイズ直しで、真円でなくなるなどリスクが高く、断られることがあると説明しています。別の工房は、5号以上の大きなサイズ変更は、デザインによっては楕円に近い形になる場合があるとしています。ある宝飾店のサイズ表では1号の差は内周で約1mmなので、10号縮めると輪を約1cm切り取ることになります。
大幅に縮めた実例もあります。ある工房は、10号小さくする・7号大きくする大幅な直しの実例がある(石やデザインへの負担が大きい場合は、希望より小さい幅を提案することがある)としています。別の宝飾店には、幅広のシルバーの指輪を17号から10号へ7号小さくし、父から息子へ受け継いだ例があります。縮められるかどうかより、縮めたあとの形が自分の好みに合うかで決めてください。
| 号数の差 | 向く方法 |
|---|---|
| 元の3割まで | 縮める |
| 元の3割を超える | 溶かして作り替える |
| 石付き | 石を移す(縮めるなら爪を点検) |
石付きの指輪を縮めるときは、石の留まり方に注意します。ある宝飾店の説明では、指輪を縮めると、爪が少し開いて石が緩むことがあるとのことです。縮めた後に爪を締め直してもらえるかを、見積もりのときに聞いてください。
縮めて着ける
父の指輪の形を残したいなら、縮めて着けます。輪の手のひら側を切って詰めるので、表の形と石はそのまま残ります。
料金は、他店の公開料金8店の中央値で、小さくする基本料金が2,500円からです(税込・税別が混ざります)。幅の広い指輪や男性用の指輪は、割増や別の見積もりになります。ある店の料金表では幅2.6〜5.0mmは1.5倍、5.1mm以上は2倍で、別の店は巾広・メンズ・石付シルバー・コンビリングは別途見積もりとしています。基本料金に何が加わるかは指輪のサイズ直しの料金と日数で確かめられます。
縮める見積もりで聞くこと
- ①切る位置刻印を避けて切れるかある工房は、刻印のない位置で切るため多くの場合は刻印を残せるとしています
- ②仕上がりの形真円を保てるか大きく縮めるときは、楕円に近くなる場合があるかを聞く
- ③切り取った地金返してもらえるか切り取る重さは号数と地金の増減の計算で目安が出せる
- ④料金幅の割増を含めた総額幅を測って伝えると、割増の有無が先に分かる
幅の広い平打ちの指輪や印台は、縮めても横幅はそのままです。細い指に太い輪が気になるなら、次の作り替えを選びます。大きく縮める直しを断られたときの次の手は指輪のサイズ直しができないときにまとめています。
縮めずに着ける道もある
号数が合わなくても、別の指なら着けられることがあります。ある宝飾店の例では、父の印台(家紋などを彫る面のある指輪)について父の指輪は娘には大きいが、人差し指ならぴったり収まった(縮めずに着けた例)としています。この例では父の印台の面をそのまま残し、娘のイニシャルを彫る提案をしたうえで、全体を磨き直し、預かり期間は12日間でした。
父の指輪をどの指で着けるかを先に試してから、縮めるかを決めても遅くありません。印台の面に名前やイニシャルを彫り足す案は印台リングのリメイクで確かめられます。
自分の品を何に作り替えられるかは、写真を送って工房に相談できます。
溶かして細い指輪に作り替える
父の指輪を溶かして、自分の指に合う細い指輪を作り直す方法です。元の形と内側の刻印はなくなりますが、地金(指輪の金やプラチナ)はそのまま受け継げます。
費用は、他店2店が公開している目安で、指輪1本6万円から10万円です(税の表示なし・足りない地金の代金は別)。公開例では、祖父の指輪1本から、孫や姉妹の分を含めて2本作っています。
| 公開例 | 元の指輪の重さ | できたもの |
|---|---|---|
| 祖父のK18の指輪 | 5.93g | 幅3.5mmの指輪2本 |
| 祖父のK18の平打ち | 約19g | 同じ形の細い指輪2本 |
※ どちらも祖父の指輪を溶かした工房の公開例で、2件とも新しい地金を足さずに作れています。1件目は細身の甲丸(断面が丸い形)、2件目は元と同じ平打ちの形です。
重さの目安として、工房の公開ページで重さが分かったK18の印台は、4件の中央値で約13.7g(13.65g)でした。溶かすと重さは減ります。ある工房の決まりでは、溶かして作るときは、持ち込んだ重さから15%を差し引く(ネックレスは20%)とされています。この中央値の印台から15%減ると、約11.6g(13.65g×0.85=11.6025g)が残る計算です。5.93gから細い指輪が2本できた例と比べると、量の目安がつきます。
足りない分は、新しい地金を足して作れます。ある工房では、父のK20印台リングを溶かし、足りない分のK20を足して鍛造の結婚指輪2本にした例もあります。少ない重さでも作れる場合があり、ある工房の目安では、溶かして指輪を作れる最小の重さはK18で2g(足りない分を店が補う場合は別)とされています。
父の名前や日付の刻印は、溶かすと消えます。同じ文字を新しい指輪の内側に入れ直すことはできますが、父が着けていた刻印そのものは残りません。刻印を残したいなら、溶かさない方法を選びます。溶かすときの目減りの詳しい話は指輪を溶かして作り直すにあります。
石付きの指輪は石を移す

ダイヤなどの石が付いた男性用の指輪は、石を外して女性用の枠に留め直せます。手持ちの石で指輪を作る「〜から」の公開価格の中央値は16店で67,500円、ペンダントは8店で30,000円です(チェーン別・下取り前・税込と税別が混ざります)。
印台のような重い指輪を下取り(店が元の金属を買い取って、代金から引くこと)に出せば、支払いは下がります。ある宝飾店は、大きなプラチナの印台を下取りに出し、娘が受け継ぐ小さなネックレスに作り替えた例を公開しています。指輪1本の枠の下取りの公開例は3店で6,900円から23,000円です。父の指輪を手元に残したいなら、下取りではなく返却を頼みます。
指輪の形のまま首から下げる方法は形見の指輪をペンダントにする費用で確かめられます。
写真で分かること、現物で決まること
写真で決まるのは、方法の候補と見当の金額までです。重さと地金の中身は、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 形(甲丸・平打ち・印台)と幅
- 刻印の文字と位置
- 石の有無と留め方
- 縮める・溶かす・石を移すの候補
現物で決まること
- 重さと、溶かして何本作れるか
- 刻印どおりの地金か
- 大きく縮めた後の形(真円に戻るか)
- 爪の下の石の緩み・欠け
重さは、台所のはかりでおおよそを量れます。概算の重さで受け付ける工房もあります。写真で先に候補を知りたいなら、正面・横・内側の刻印の写真に、重さと自分の号数を添えて縮めるか作り替えるかを相談できます。「形・刻印・石のうち、どれを残したいか」を書き添えると、残す前提の案が出やすくなります。
息子がそのまま着ける
息子が父の指輪を着けるなら、号数の差が数号のうちはサイズ直しで足ります。大きくするときは、他店3店の中央値で基本料金2,500円に、1号ごとの地金代1,000円から3,000円(4店の公開例)が加わります。
大きく広げるときは、方法が変わります。ある工房では、5号以上のアップは要相談で、形を保つため腕交換を勧めるとしています。腕交換は、指輪の輪の部分(腕)を新しく作って付け替える方法です。足す地金の重さは号数と地金の増減の計算で出せます。
作り替えを急がなくていいケース
形見の指輪は、一度溶かすと元に戻せません。迷っているうちは、見積もりと説明を受け取る段階で止めて構いません。
地金の価値を先に知っておきたいなら、地金の価値計算で重さと刻印から目安を出せます。形見の品全体の分け方は形見のジュエリーをどうするかにあります。
今日やること
- 1重さと号数を量る指輪を台所のはかりで量り、自分の指の号数を測る。別の指に合うかも試す
- 2写真を撮る正面・横・内側の刻印を撮り、形・刻印・石のどれを残したいかを決める
- 3写真を送って聞く「父の指輪(◯号・◯g・刻印◯◯)を、◯号の自分の指に合わせたいです。縮める場合と、溶かして作り替える場合の税込の総額を教えてください」と書いて、写真と一緒に送る
