離婚した後の結婚指輪は、受け取った側の物で、相手に返す必要は原則ありません。すぐに決めなくても困らないので、指輪の何を残したいか(形・刻印・地金・お金)で、保管する・刻印だけ消す・作り替える・売るの4つから選びます。
指輪を相手に返す必要はあるか
弁護士が答える法律相談サイトの整理では、指輪は贈られた時点で受け取った側の物になるのが原則です。財産分与(離婚のときに夫婦の財産を分けること)でも、婚姻中に相手から贈られた指輪は、受け取った側だけの財産として、財産分与の対象から外れるのが基本とされています。
ただし、返すかどうかを2人で取り決めていた場合や、相手が「共有の財産だ」と主張している場合は別です。財産分与の請求には期限があり、財産分与の家庭裁判所への請求は、離婚の時から5年を過ぎるとできない(民法768条2項ただし書)とされています(弁護士の解説では、請求期限5年の施行日は2026年4月1日で、施行前(2026年3月31日以前)の離婚は従来の2年)。
この期限の中で話し合いが続いているうちは、指輪に手を加えないでください。相手から返すよう求められたら、弁護士に相談します。法律の判断はここでは扱いません。
4つの選び方と残るもの
どれを選ぶかは、指輪に何を残したいかで決まります。
| 選び方 | 残るもの | 費用の出方 |
|---|---|---|
| 保管する | 形・刻印・地金 | かからない |
| 刻印だけ消す | 形・地金 | 数千円から |
| 作り替える | 地金 | 工賃+足りない地金代 |
| 売る | お金 | 重さ×その日の価格 |
※ 刻印消しと作り替えの額は、次の章の他店の公開例です。売る額は「手放すなら」の章で計算しています。
自分の品を何に作り替えられるかは、写真を送って工房に相談できます。
刻印だけ消して着ける
結婚指輪の内側の名前や日付は、刻印消しという修理で消せます。形はそのままなので、右手や別の指に着け直せます。サイズが合わなければ、サイズ直しと一緒に頼みます。
| 他店の公開例 | 料金 |
|---|---|
| 公開例1:浅い刻印 | 2,000円〜(税別) |
| 公開例1:深い刻印 | 6,000円〜(税別) |
| 公開例2 | 刻印消し・入れ直し 基本料金3,000円〜 |
| 公開例3 | プラチナ指輪の内側刻印消し 参考価格2,200円(2023年5月加工) |
※ 税別・税の表示なし・当時の価格が混ざります。刻印が深いほど料金は上がります。
消し方は2つあります。レーザーで表面を溶かしてならす方法と、表面を削る方法です。ある宝飾店のブログには、レーザー消し 3,000円(10文字程度の相場として掲載)とあります。削る方法は内側の金属が少し減るので、細い指輪なら「削らずに消せますか」と聞いてください。
新しく文字を入れ直すなら、公開例1の店ではレーザー刻印(内側)10文字まで7,000円・追加1文字700円(税別)です。消す・入れる料金の決まり方は指輪に後から刻印を入れる・消す料金に、同時に頼むサイズ直しの料金は指輪のサイズ直しの料金と日数にあります。
指輪を作った店に先に聞くと、安く済むことがあります。ある工房は、自工房で作った結婚・婚約指輪は刻印の入れ直し・消去・追加を無償(状態により有料)としています。反対に、購入店以外では刻印の加工を断られることがあると書いている店もあります。
作り替えて身につける

石のない結婚指輪でも、地金(金属)を溶かせば別の形に作り直せます。工房や宝飾店が公式サイトに載せた公開例は次のとおりです。どれも他店の1件ずつの実例で、同じ額で作れるという意味ではありません。
| 作り替えの公開例 | 公開された料金 |
|---|---|
| 結婚指輪をペンダントトップに | 55,000円 |
| 結婚指輪2本を1本の指輪に | 19,800円から44,000円 |
| 離婚後の婚約指輪を普段使いの指輪に | 165,000円 |
※ 税込か税別かが書かれていない例がほとんどです。ペンダントトップの例は、チェーンの代金を含みません。
ペンダントトップの例では、14.7gの幅広のPt900の結婚指輪が、溶かすと11.1gのペンダントトップになりました。同じ宝石店は、地金を溶かして再加工すると3割ほど地金が減る(ヘリ)と注意しています。溶かす作り替えでは、元の重さがそのまま新しい品になるわけではありません。
2本を1本にする例で安いのは、平打ち(断面が平らな形)の指輪です。溶かさずに小さなダイヤ(メレダイヤ)を留めて2本の形を残した別の店の例は、24,000円(K18の結婚指輪2本のアレンジ・メレダイヤ込・税抜・当時)でした。石を足す、デザインを一から起こすと、金額は大きく上がります。2本をダイヤの指輪にした例は、2本の指輪を1本のダイヤリングに 220,000円−下取り地金33,000円でした。
離婚後の婚約指輪の例は、0.5カラットのダイヤを人差し指に着ける幅の広い指輪にしたものです。古い枠(元の指輪の金属部分)とほかのジュエリーを下取り(店に引き取ってもらい、その分を代金から引くこと)に出して、96,000円を代金から引いています。婚約指輪の石を使う作り替えの値段は指輪リフォームの値段で、立て爪の指輪なら立て爪の婚約指輪のリフォーム費用で確かめられます。
写真で分かること、現物で決まること
写真で決まるのは、どの方法が選べるかと、見当の金額までです。刻印が削らずに消えるか、地金がどれだけ取れるかは、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 内側の刻印の素材(Pt900・K18 など)と文字数
- 幅と形(刻印消し・作り替えのどちらが向くか)
- 石の有無と留め方
現物で決まること
- 刻印の深さと、削らずに消えるか
- 地金の重さと、溶かした後に残る量
- 他店で買った指輪を受けられるか
他店で買った指輪は、内側の刻印の写真を添えて写真を送って相談すると、受けられるかと見当の金額を先に確かめられます。「刻印だけ消したい」「ペンダントにしたい」のように、したいことを1つ書き添えます。
手放すなら、地金の価値を目安にする
手放すなら、地金の重さと品位(Pt900・K18 など)で、手元に入る額の見当が付きます。必要なのは、重さと内側の刻印だけです。上のペンダントトップの公開例と同じ指輪で、ある地金商が公表した買取価格で計算すると、次のとおりです。
- 指輪の重さ(Pt900)
- 14.7g
- Pt900製品の買取価格(1gあたり・地金商の公表)
- 7,076円(Pt900製品・造幣局・他社刻印・1g・2026年10月24日に確認)
※ 製品の買取価格の表には、手数料を含むかどうかは書かれていません。価格は毎日変わります。
同じ指輪を、作り替えるならペンダントトップの加工代55,000円を払い、地金として売るなら約10万4,000円が目安です。K18の指輪なら、同じ日の1gあたりの買取価格は16,120円(K18製品・造幣局・他社刻印・1g・2026年10月24日に確認)でした。その日の公表価格で自分の指輪を計算するなら、地金の価値の目安計算に重さと刻印を入れてください。刻印の意味は刻印図鑑で確かめられます。
新しいジュエリーを作る店で下取りに出す方法もあります。下取りは、その店で作る品の代金から引く形で使います。上の婚約指輪の例も、下取りで支払いを下げています。
死別・再婚のとき
亡くなった配偶者の結婚指輪は、2本を溶かして1本の指輪にする、縮めて重ねて着ける、指輪のままペンダントにするの3つの方法があります。残るものと費用は亡くなった夫・妻の結婚指輪はどうする?で確かめられます。
再婚で新しい結婚指輪を作るとき、前の指輪の地金や石を使うかどうかは、相手と話して決めます。使うなら、地金は新しい指輪の材料にする・代金から下取りで引くの2つの頼み方があります。新しい結婚指輪をオーダーで作る費用と流れは、結婚指輪をオーダーメイドで作る費用と流れで確かめてください。
今日やること
- 1指輪を撮って量る内側の刻印を撮り、キッチンスケールで重さを量る
- 2選び方を1つ決める迷うなら保管。身につけるなら刻印消しか作り替え。手放すなら地金の目安を出す
- 3写真を送って相談する「Pt900の結婚指輪(◯g)を、◯◯にしたいです。他店で買った指輪ですが受けてもらえますか。税込の総額と期間を教えてください」と書いて、正面・内側の刻印の写真と一緒に送る
