思い出の銀のスプーンが指輪になるかは、柄の裏の刻印で決まります。銀そのものでできたスプーンなら、柄を曲げて指輪にできます。銀メッキのスプーンは、芯が別の金属なので、指輪への作り替えには向きません。
刻印で素材を見分ける
スプーンの素材は、柄の裏の刻印でおおよそ分かります。銀メッキも見た目は銀と同じなので、色だけでは決められません。
| 刻印 | 素材 | 指輪に |
|---|---|---|
| STERLING・925 | 銀92.5% | 向く |
| SILVER・SV | 銀92.5%以上 | 向く |
| ライオンの印 | 英国の銀92.5% | 向く |
| 800 | 銀80% | 要確認 |
| EPNS・EP・EPBM | 銀メッキ | 向かない |
| SILVER PLATE | 銀メッキ | 向かない |
| 刻印なし | 分からない | 要確認 |
※ STERLINGとSILVERの表示は日本ジュエリー協会の表示規定、ライオンの印とメッキの印は英国の貴金属の分析所の説明によります。「要確認」は、写真で刻印を見てから決める意味です。
日本ジュエリー協会の表示規定では、品位925の銀合金はSterling/Sterling Silverと表示できる(割り金は銅が多い)とされています。「SV」「SILVER」だけの表示は、925‰以上の銀でなければ使えません。造幣局も、スターリングシルバーを銀の品位(純度)が1000分の925の銀と説明しています。
「800」は、同じ表示規定にある銀の品位(999・990・958・950・925・800)の1つです。800‰未満の品は銀製品と表示できないので、800のスプーンも銀です。ただし925とは銀の割合が違うので、指輪にできるかは写真で見てから決まります。
英国の古いスプーンには、歩くライオンの印が打たれているものがあります。英国の分析所は、この印を銀の純度が1000分の925のスターリングシルバーを示す印と説明しています。同じ分析所は、EPNS・EPBM・Silver Plate などの印は、銀メッキの品を示すとしています。「E.P.」は、あるスプーンリングの専門店の説明ではE.P. は Electro Plate(電気メッキ)の略です。
似せた印に気をつける
銀メッキのスプーンにも、銀の印に見える刻印が並んでいることがあります。英国の銀器の研究団体は、銀メッキの品には、本物の銀に見せるために、ホールマークに似せた印を打ったものが多いと書いています。小さな印がいくつか並んでいても、銀とは限りません。
刻印が読めない、または見たことのない印なら、自分で決めないでください。ある工房は素材が分からない品・品位の刻印がない品は、加工で壊れるおそれがあり受けにくいと注意しています。別の店も、シルバーと刻印があっても、どんなコーティングがされているか分からないものがあるとしています。刻印を明るい所で拡大して撮れば、写真で見当がつきます。
銀メッキのスプーンが向かない理由
銀メッキのスプーンは、中身が銀ではありません。芯は銅やニッケルの合金で、表面だけが銀です。
あるスプーンリングの専門店は、銀メッキ(シルバープレート)のスプーンは芯が銅やニッケルの合金で、きれいな円にしにくく、着け心地が悪くなりがちと説明しています。銀メッキの品は芯が非常に硬く、自分で曲げて調整するのはほぼできないとも書いています。着けてからも、銀メッキのスプーンリングは、何かにぶつけた拍子にメッキがはげやすいとされています。輪を閉じる作業も難しく、ある工房は金・銀メッキのアクセサリーは材質上溶接が難しく、修理できなかったという断りの例を出しています。
銀メッキのスプーンでも、思い出の形を残したいなら、柄の模様を型に取って銀で作り直す方法があります。仕様によってはできますが、型を作る費用がかかり、型取りで元の品に手が入ることもあります。流れはなくした片方や形見と同じジュエリーを作るで確かめてください。指輪にせず、スプーンのまま手元に置くのも1つの答えです。
自分の品を何に作り替えられるかは、写真を送って工房に相談できます。
柄の模様を残す作り方

柄の模様を残すなら、模様のある柄の先を指輪の正面にして曲げます。すくう部分(頭)は切り離し、柄を輪にします。
輪を閉じる形
- 柄の先を正面にして、端と端をつなぐ
- 指の上で模様が正面に来る
- つなぐ熱で、模様の黒い部分(いぶし)が消える
柄をずらして巻く形
- 端をつながず、ずらして重ねる
- ある専門店の説明:柄をずらしながら曲げて、ねじったような形にする作り方がある
- 柄が長くないと巻けない
輪を閉じる形では、端をつなぐときの熱で、模様のくぼみの黒い色が消えます。ある修理工房は、溶接を伴う修理(サイズ直しなど)の後は、溶接の高温でいぶしが消えると説明しています。黒い色を戻すいぶし加工の料金は、同じ工房の公開料金表で1,500円〜(税別)です。
模様をどこまで残すかは、最初の相談で「柄の先の模様と、裏の刻印を残したい」と伝えます。刻印を指の内側に残したいのか、見えなくてよいのかも決めておきます。
自分で曲げる前に知ること
作り方を書いた記事の多くは、柄を火で熱して柔らかくし、酸で洗ってから曲げる手順を載せています。熱を加えると、上の工房の説明どおり模様の黒い色が消えます。銀メッキの柄は硬く、自分では思った形になりません。思い出の1本は、別のスプーンで練習する前に曲げないでください。
サイズは柄の長さで決まる
作れる号数は、柄の長さで決まります。指輪の内側の長さ(内周)より柄が短いと、輪になりません。
号数の表では、11号の指輪は内周51.3mm・内径16.4mmです。同じ表の注記では、1号の差は内周で約1mmです。柄には厚みがあり、ずらして巻くなら重ねる分も要るので、柄の長さは内周より余裕が要ります。
- 1着けたい指の号数を測るふだん着けている指輪があれば、その号数を控える
- 2柄の長さを測る頭(すくう部分)の付け根から柄の先まで、定規で測る
- 3柄の幅と模様を撮る模様のある所が何mmあるかを、定規を当てて撮る
号数は、最初にきちんと合わせます。あるスプーンリングの専門店は、スプーンを丸めて作るので、スプーンリングはサイズの調整が非常に難しいと書いています。スプーンリングのサイズ調整は普通の指輪と作り方が違うため、宝飾店でもあまり積極的には受けないともしています。
後から直すと、模様も切れます。ある修理工房は、指輪のサイズ直しについて、切る所に模様や刻印があると、外側・内側とも、その一部が無くなる可能性があると注意しています。迷うなら、ふだんの号数で測り直してから頼んでください。測り方と号数の表は指輪のサイズ(号数)の表に、ふつうの指輪のサイズ直しの料金の決まり方は指輪のサイズ直しの料金にあります。模様のために直せないと言われたときの道は指輪のサイズ直しができないときで確かめられます。
ペンダントにする道
柄が短くて号数に足りないとき、すくう部分の形も残したいときは、ペンダントにする道があります。
| 残したい所 | 向く形 |
|---|---|
| 柄の先の模様 | 柄の先だけを切ってペンダントに |
| スプーンの形全体 | 小さなスプーンのままペンダントに |
| すくう部分 | 頭を切り離してペンダントに |
※ どの形でも、チェーンを通す金具(バチカン)を付けるか、穴を開けて下げます。
ペンダントなら号数を気にしなくてよく、後からサイズを直す心配もありません。金具の種類と付け替えはペンダントの金具(バチカン)の交換で確かめられます。
費用が変わるところ
持ち込んだスプーンを指輪にする料金は、工房や宝飾店の料金表に出ている例が見つかりませんでした(2026年10月25日に確かめた範囲)。手元の1本ごとに、見積もりで決まります。額が変わるのは、次の作業です。
見積もりで確かめる欄
- ①切る・曲げる頭を切り、柄を輪にする残したい模様と刻印の場所を、写真に印を付けて伝える
- ②つなぐ端をつなぐか、ずらして巻くかつなぐなら、いぶしが消えることと、いぶし直しの代金を聞く
- ③仕上げ磨き・いぶし直しある店の説明ではアンティークシルバーの独特の古びた感じは、修理すると失われる。どこまで磨くかを決める
- ④サイズ後から直すときの扱いふつうのシルバーの指輪のサイズ直しは、他店5店が公式サイトに出した最低価格の中央値で2,000円(税込・税別が混ざる)。スプーンの指輪で受けるか、模様が切れないかを聞く
写真で分かること、現物で決まること
写真で決まるのは、素材の見当と、指輪にできる大きさまでです。曲がるかどうかと仕上がりは、現物を見てから決まります。
写真で分かること
- 刻印の文字と、銀か銀メッキかの見当
- 柄の長さと幅、模様の位置
- 指輪にするか、ペンダントのほうが向くか
現物で決まること
- 刻印がない柄の素材
- 柄の厚みと硬さ(曲がるか、ひびが入らないか)
- 仕上がりの号数と、模様がどこまで残るか
柄の裏の刻印を拡大して撮り、柄の表の模様と、定規を当てた柄の長さを撮って写真を送って相談すると、指輪にできるか、ペンダントが向くか、費用の見当を聞けます。「柄の先の模様と刻印を残したい。号数は◯号」と書き添えると、残す前提の案が出ます。
「違法」と言われる話
「スプーンリング 違法」と検索されることがありますが、加工を法律で禁じているものには硬貨があります。貨幣損傷等取締法には「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない」とあります。スプーンは貨幣ではありません。
ただし、自分の物でないスプーン(飲食店や宿の備品など)は使いません。作ったものを売るときの表示など、判断に迷う点は専門家に確かめてください。硬貨を身につけたいなら、コインをペンダントにする方法があります。
作り替えを急がなくていいケース
銀メッキと分かったスプーンは、曲げずにそのまま残すか、型に取って銀で作り直す道を考えます。柄が短いなら、ペンダントの形で残せます。
今日やること
- 1刻印を読む柄の裏を明るい所で拡大して撮り、STERLING・925・SILVER・EPNS・EP のどれかを見る
- 2号数と柄の長さを測る着けたい指の号数と、柄の付け根から先までの長さを控える
- 3写真を送って相談する「銀のスプーンを指輪にしたいです。柄の先の模様と刻印を残せますか。号数は◯号です」と書いて、刻印・柄の表・長さが分かる写真と一緒に送る
